熱中症に関するニュースを聞くことが増えてきました。

熱中症を起こさないために必要な対策をとることが1番ですが、万一倒れてしまった場合、治療費はどのくらいかかるのでしょうか

また、保険は使えるのでしょうか。

今回は、熱中症でも使える保険について、詳しくご説明します。

「熱中症」で支払われる保険金や給付金

まずは、熱中症とはどのような症状なのか

全日本病院協会の公式サイトに、以下のガイドラインが示されています。

参照:全日本病院協会

1段階:現場での応急処置で対応できる軽症

立ちくらみ(脳への血流が瞬間的に不十分になったことで生じる)

筋肉痛・筋肉の硬直(発汗に伴う塩分の不足で生じるこむら返り)

大量の発汗

2段階:病院への搬送を必要とする中等症

頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感

3段階:入院して集中治療の必要性のある重症

意識障害・けいれん・手足の運動障害・高体温(体に触ると熱い。いわゆる熱射病、重度の日射病)

次のケースを例に、どのような保険が支払われるのか見ていきましょう。

A. 熱中症でケガをした場合

通行中に熱中症で立ちくらみを起こし、転倒。負傷したもの

診断:1段階の熱中症(軽症)・亀裂骨折(ひび)

処置:外科・内科併設の医療施設にて診療

熱中症は軽症、経口補水液摂取で回復、骨折は全治4週間程度です。

B. PTA活動中の熱中症

子の所属する学校内で、PTA役員活動中に熱中症を起こしたもの。

診断:2段階の熱中症(中等症)

処置:入院設備のある医療施設にて数時間入院(日帰り入院)

経口補水液摂取に加え、2時間程度の点滴治療を受け、当日中に帰宅します。

C. 自宅での熱中症

1人で過ごす自宅で熱中症になり、長時間発見されなかった。

脱水状態から血液中水分も失われ、脳梗塞をおこしたもの。

診断:3段階の熱中症(重症)・脳梗塞

処置:入院

後遺症状:運動障害・記憶障害・知覚障害

熱中症で支払われる保険金・給付金

熱中症

保険別に、熱中症でも支払われるものを紹介します。

名称、支払い条件は一般的なもので、保険会社によって異なる可能性があります。

※病名以外の支払い条件は満たしているものとする

※2020年6月26日時点での保険商品・法令・税制に基づく

生命保険/死亡保険・医療保険・特定疾病保険・介護保険

生命保険では、例えば「女性特有の部位の疾病で給付金増額」ような、「熱中症だと増額する」保険および特約は、今のところ販売されていません

逆に「熱中症は保障対象外です」という医療保険も、ありません

熱中症でも、その他の病気と同じように、日数などの条件を満たせば支払い対象となります

A.の場合

・ 特定損傷給付金

熱中症治療が経口補水液摂取で済んだ場合は、まず「入院扱い」にはなりません

骨折の場合に支払われる特約をつけている場合は、特定損傷給付金のみ該当となります。

B.の場合

・ 入院給付金

・ 入院一時金

例:入院日額5,000円+入院一時金3万円=3万5,000円

医療費は病院によって異なりますが、熱中症の治療を日帰り入院で受けた場合は、1万円以下ですむことが多いようです。

C.の場合

・ 入院給付金

・ 入院一時金

・ 手術給付金

・ 特定疾病保険金(三大疾病保険金)※脳梗塞による所定の状態で

・ 介護保険金 ※脳梗塞による所定の状態で

※介護保険金については、各保険会社の条件差が大きいため、該当しない会社もあります。

その他

・ 死亡保険金・高度障害保険金

損害保険/傷害保険

傷害保険は「急激かつ偶然な外来事故により被った傷害」、つまりケガの保険です

病気で支払われるものは、ありません

傷害保険のパンフレットや約款等には、「ただし、熱中症、細菌性・ウイルス性食中毒を除きます」と、明記されています。

A.の場合

通常の「転倒による骨折」であれば、「通院給付金」が支払われます。

ただし、転倒の原因が「熱中症によるもの」だと判断された場合は、支払われません

B.C.の場合

傷害保険の支払事由に該当するものはありません。

特約によっては、出る場合もある

ここ数年の熱中症患者の増加に伴い、「支払い対象に熱中症を含みます」とする会社や、別途「熱中症特約」や「熱中症補償保険」を販売する会社が出てきました。

ケガの場合と同様に「熱中症での治療費用」が支払われるものもあれば、「熱中症により障害を負った場合の保険金」が支払われるものなど、保険会社や特約内容によってさまざまです。

団体総合保険

団体総合保険

学校等で団体加入する「こども総合保障」や「学生総合保障」、運動系の習い事先で加入する「スポーツ安全保険」などは、熱中症に対応しているものが多くなっています。

ただし、団体総合保険では「学校や習い事先での活動中」、「活動のための移動中」といった条件がつきます

自宅や外出先での熱中症は、対象外となりますのでご注意ください。

A.の場合

通行中の場合、通常は対象外です。

団体保険に加入していて、その活動に向かう途中であったと認められた場合は支払われる可能性もあります。

B.の場合

一般の保護者ではなく「PTA役員」を引き受けている場合は、所属のPTA団体保険に加入しています。

そのため、PTA活動中の熱中症の場合は、補償対象となります

・通院保険金 1回分 1,000~2,000円程度

もしも、軽症で済まずに入院した場合や、後遺障害が残った場合は次の保険金も該当します。

・入院保険金・手術保険金・後遺障害保険金・死亡保険金(いずれも事故の日から180日以内に、所定の状態になった場合)

C.の場合

何らかの団体保険に加入していても、活動時間外に自宅で倒れた場合は適用外です。

新しい生活様式を守りつつ、熱中症予防にも努めましょう

生命保険の医療保障があれば、熱中症の備えになります。

お手持ちの傷害保険がある場合は、特約や扱いを確認しておくといいでしょう

今年は新型コロナウィルス感染拡大を防ぐための「新しい生活様式」として、マスク着用で過ごす夏になりそうです。

マスク内に熱がこもったり、呼吸がスムーズに行えないことで心拍数や呼吸数、血中二酸化炭素濃度の上昇を起こしたり、これまでの夏よりも熱中症を起こしやすい可能性があります。

十分気をつけて過ごしましょう。(執筆者:仲村 希)