給与ファクタリング」とは、給与債権を業者に買い取ってもらうことで資金の提供が受けられるというものです。

会社などからの給与収入がある方なら、勤務先の会社に知られることなく給与の前借りのような感覚で資金を調達できます

しかし、法外な手数料を徴収されるなどの理由で給与ファクタリングは社会問題になっています。

実際に高い手数料を負担して給与ファクタリングを利用した方もいらっしゃるかもしれません。

給与ファクタリング業者に対して過払い金返還請求ができるのであれば、ぜひ請求したいと思われる方は多いと思います。

そこで今回は、このような過払い金返還請求が可能かどうか、可能としても請求する前に注意すべき点について説明いたします。

ただ、過払い金返還請求が可能だとしても、給与ファクタリングに手を出すとさまざまなトラブルが起こりがちです。

まだ手を出していない方は、決して給与ファクタリングを利用すべきではありません。

給与ファクタリング業者との契約は無効

給与ファクタリング業者との契約は無効

給与ファクタリングの仕組みについて業者側は、給与債権を買い取るものであって、手数料は利息に当たらないと主張しています。

しかし、結論をいうと給与ファクタリングは実質的に貸金取引であり、手数料は「利息」に該当します。

仮に労働者が給与債権を第三者に譲渡したとしても、雇い主は給与を労働者に対して直接・全額支払わなければならないことが労働基準法で定められています。

業者も、融通した資金を回収する際には給与を支払う会社に対してではなく、利用者に対して請求しています。

このように、業者が資金を利用者に提供し、その返済を求める取引は貸金に当たることが明らかです。

このことが何を意味するかというと、貸金取引であれば利息は法律に定められた上限金利の範囲内でなければならないということです。

法外な利息の約定を含む契約は公序良俗に違反するため、無効になることがあります(民法第90条)。

実際の民事裁判での判断

実際、利用者の手数料(利息)の支払い義務が争われた民事裁判では、業者の要求する手数料(利息)は年利換算で1,840%を超えていました。

判決では、出資法の上限金利である年109.5%を大幅に超える無効なものであると判断されています。

出資法では、業者が年利109.5%を超える利息の契約や要求・受領をした場合は

10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金、またはこれらの併科が科せられる

ことになっています。

つまり、出資法の上限金利を超える利息の契約は犯罪なので、明らかに公序良俗に違反して無効となります。

契約が無効であれば業者に支払ったお金は全額取り戻せる

給与ファクタリング業者との契約が無効であれば、既に業者に支払ったお金がある場合、業者がそのお金を持っておく正当な理由はありません

この場合、お金を支払った人は業者に対して、不当利得として支払ったお金を返してもらうように請求できます(民法第703条、第704条)。

返還請求ができるのは出資法の上限金利109.5%を超える部分だけではありません。

契約が無効なのですから、支払ったお金の全額について返還請求が認められます。

サラ金業者(消費者金融)への過払い金返還請求の場合は利息制限法による上限金利(残高により年15%~20%)を超える部分のみに限られるのとは理屈が異なります

まだ支払っていない場合も返済は拒絶できる

まだ支払っていない場合も返済は拒絶できる

業者に対してまだお金を支払っていない場合は、過払い金返還請求はできません。

しかし、業者から振り込まれたお金の返済をする必要はありません。

なぜなら、そのお金は業者の犯罪行為を内容とする契約に基づいて支給されたお金だからです。

このように不法な原因のために給付をした者が、その返還を求めることは認められません(民法第708条)。

業者に対して主張する場合は専門家に依頼した方がよい

・ 給与ファクタリング業者との契約は無効

・ 業者に支払ったお金は全額取り戻せる

・ 業者への返済は拒絶できる

ただし、以上は理屈上の話です。

このような主張を業者に対してしようものなら、過酷な取り立てが始まることでしょう。

給与ファクタリング業者の実態はヤミ金業者なので、脅迫的な取り立てによってお金の回収を図ろうとしてきます。

自分で業者と闘おうとすると、身に危険が及ぶおそれも否定できません

このような実態があるので、

最初から給与ファクタリングには手を出すべきではない

のです。

もし、既に給与ファクタリングに手を出してしまい、返済できずに過酷な取り立てに遭っている場合は、 ヤミ金への対応になれた弁護士や司法書士に依頼することをおすすめします。(執筆者:川端 克成)