近年、個人の資金調達手段として「給与ファクタリング」というものがはやっています。

「ブラックでもOK」、「利息なし」、「最短即日振込」などの謳い文句に惹かれて、給与ファクタリングを利用する人が増えています。

一見すると便利な資金調達方法にも思えますが、給与ファクタリング業者はすべて違法と考えられるので利用はおすすめできません。

この記事では、給与ファクタリングを利用すべきではない理由と、合法的な給与ファクタリング業者などは考えられない理由を説明します。

「給与ファクタリング」を利用すべきではない「3つの理由」

そもそも給与ファクタリングとは

給与ファクタリングとは、次のような仕組みで給与所得者に金銭を融資する取引のことです。

(1) 業者が利用者の給与債権を買い取る

(2) 業者は給与額から手数料を差し引いた資金を利用者の口座へ振り込む

(3) 給料日から数日以内に利用者は業者へ返済をする

(4) 返済できなければ業者は利用者に対して取り立てを行う

このような仕組みは貸金業に該当し、貸金業登録を受けずにこのような業務を営む者は違法なヤミ金業者であることが既に金融庁から発表されています

民事裁判においても、給与ファクタリングは貸金に当たるという判決が言い渡されています。

その判決では、法外な利息を伴う契約は出資法に違反するため無効であり、刑事罰の対象にもなるという判断も示されています。

さらに、給与ファクタリングを装ったヤミ金業者が逮捕された事例も出ています

給与ファクタリングを利用すべきではない3つの理由

このような状況下で、インターネットには既に給与ファクタリングを安易に利用しないよう呼びかける情報が多数流れています。

この記事でも、給与ファクタリングを利用すべきではない理由を改めてまとめてみました。

理由1. 手数料が高い

給与ファクタリング業者の手数料は利用額の10%~30%が相場です。

おおむねこの範囲内で利用額が大きいほど手数料の割合が低くなる傾向にあります。

たとえば、給与額30万円の人が手数料10%で給与ファクタリングを利用すると、手数料3万円を差し引いた27万円が振り込まれます。

返済日は給料日から数日以内に設定されていることが多く、それまでに利用者は27万円全額を業者に返済しなければなりません。

仮に月10%の金利だとしても年利に換算すると120%にもなり、正規の貸金業者からの借金では考えられない暴利です。

理由2. 脅迫的な取り立てをする

利用者が返済できなければ、業者は利用者に対して支払いを催促します。

多くの業者は正当な方法で催促するだけではなく、ヤミ金のような脅迫的な取り立てや嫌がらせをしてきます

さらに、勤務先の会社に連絡されるケースも多く、借金が会社にばれて退職に追い込まれることもあるのです。

勤務先の会社に連絡されるケースも

理由3. 個人情報が悪用されるおそれがある

次の項で詳しく説明しますが、給与ファクタリング業者はすべて違法業者であると考えられます。

違法業者の多くは利息や手数料で収入を得るだけでなく、個人情報を横流しすることによっても金銭を手にします。

個人情報が違法業者の間に出回ってしまうと、次々に悪質な業者から勧誘の電話がかかってきたり、ダイレクトメールが届けられたりします。

違法ではない給与ファクタリング業者は存在するのか

ファクタリング」とは売掛債権の売買を意味する言葉です。

この取引自体は違法なものではありません。

主に中小零細企業や個人事業主などが緊急の資金を調達するために、取引先に対する売掛債権を業者に買い取ってもらう取引はよく行われています。

しかし、個人の給与債権は金銭債権ではなく労働債権であり、ファクタリングの対象にはなりません

給与は、労働者に対して直接・全額支払われなければならないことが労働基準法で定められています。

したがって、給与ファクタリングという仕組みが合法的に成立する余地はありません

業者もそれを分かっているからこそ、返済されない場合に利用者に対して厳しい取り立てを行うのです。

もし、合法的に給与債権を買い取ったのであれば、返済がないときには勤務先の会社から給与を淡々と回収すれば何の問題もないはずです。

どの程度厳しい取り立てを行うかは業者によって異なりますが、すべての給与ファクタリング業者は違法であると考えるべきです。

生活費に困ったときは公的な借入制度を活用する

給与ファクタリング業者は、正規の金融機関による融資のように信用調査をすることなく、すぐに資金を提供してくれます。

そのため、お金に困っている人ほど手を出してしまいやすいという面もあります。

しかし、いったん給与ファクタリングに手を出すと給与の手取額が10%~30%も減ってしまいます

そのうえに、返済できなければ脅迫的な取り立てを受けるなどの深刻なデメリットがあります。

生活費に困ったときには、まず公的な借入制度の活用を考えるべきです。

各都道府県の社会福祉協議会に相談すれば、一定の条件の下に「生活福祉資金」を低利で借りられます

既に他の借金の返済に苦しんでいる場合には、早めに債務整理をして負担を軽くした方がよいと言えます。(執筆者:心優しい元弁護士 川端 克成)