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【子どもの養育費】元夫の両親に請求できる「2つのケース」 方法と注意点

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【子どもの養育費】元夫の両親に請求できる「2つのケース」 方法と注意点

離婚して妻が子どもを引き取った後に元夫が養育費を支払わなかったり、支払う余裕がなかったりしたら母子の生活は苦しくなってしまうことでしょう。

元夫に経済的な余裕がなくても、その両親(子どもの祖父母)には潤沢な資産があるという家庭も少なくありません。

養育費を元夫に請求するのをあきらめて、資産がある元夫の両親に支払ってもらうことは可能なのでしょうか。

原則として祖父母に養育費の支払い義務はない

祖父母に養育費の支払い義務はない

大前提として、子どもの養育費の支払い義務は親にあり、祖父母にはありません

当然といえば当然のことですが、法律上もそのようになっています。

養育費の支払い義務の法的な根拠は民法第766条に定められています。

そこには、離婚後の養育費(子の監護に要する費用の分担)については父母の協議によって定めることとされています。

この規定には「父」と「母」という言葉が書かれているのみで、「祖父母」やその他の親族については書かれていません。

しかし、例外的に祖父母に対して養育費の支払いを請求できる場合もあります。

それは、次のような場合です。

・ 祖父母が連帯保証人になっている場合

・ 祖父母に経済的な余裕がある場合

以降でこの2点について具体的に見ていきましょう。

ケース1:祖父母が連帯保証人になっている

離婚する際に夫が養育費を支払うことを約束し、

祖父母が夫の連帯保証人になっている場合には、祖父母は契約上の義務として夫と同様に養育費の支払い義務を負います。

この場合、約束した養育費を支払わない夫に代わって、祖父母に対して支払いを請求できます

ただし、離婚後に元夫が養育費を支払わなくなったからといって祖父母に連帯保証を求めても、応じてもらうのは難しいことでしょう。

したがって、祖父母に連帯保証をしてもらいたい場合には、離婚するまでに約束を取り付けることが重要です。

離婚協議書に連帯保証についても明記し、祖父母にサインしてもらっておきましょう

ケース2:祖父母に経済的な余裕がある

連帯保証契約がなく、離婚後に元夫が養育費を支払わなくなった場合にも、祖父母に養育費を請求できる場合があります。

祖父母にも親族として孫を扶養する義務はあるからです。

民法第887条1項では、直系血族はお互いに扶養する義務があると定められています。

同条2項では、特別の事情があるときには直系血族を含む三親等内の親族間でも扶養の義務を負わせることができると定めています。

祖父母と孫は直系血族なので、

親である元夫が養育費を支払わないために生活に困窮しているという特別の事情がある際には、祖父母に対して扶養を求めることができます。

ただし、祖父母の扶養義務は親の扶養義務よりも程度が軽いと考えられています。

親子間の扶養義務は自分と同程度の生活を保障する義務ですが、祖父母の扶養義務は自分の生活を犠牲にしない範囲内で孫に最低限の扶助をする義務であると考えられているのです。

つまり、祖父母に潤沢な資産がある場合には扶養の請求が認められる可能性は高いのですが、年金暮らしで生活に余裕がない場合は認められないこともあります。

祖父母に経済的余裕がある

祖父母に対して調停を申し立てることもできる

したがって、祖父母の生活状況などに配慮しつつ扶養を求めてみるとよいことでしょう。

話し合いがまとまらない場合には、祖父母を相手どって家庭裁判所に調停を申し立てることもできます。

この場合は、「養育費請求調停」ではなく「扶養請求調停」を申し立てます

「養育費」を請求できるのは元夫に対してだけであり、祖父母に請求できるのは「扶養」です。

言葉の違いだけだと思われるかもしれませんが、親と祖父母では扶養義務の程度が違うことに注意しましょう。

元夫の両親に資産がある場合には請求してみる

元夫の両親すなわち子どもにとっての祖父母が厚意で養育費を援助してくれるケースはあっても、祖父母に対して法的に養育費や扶養料を請求することは一般的ではありません。

しかし、離婚した妻や子どもにとって、養育費を支払ってもらうことは死活問題です。

養育費を確保するためにできることはやってみるという姿勢も大切ではないでしょうか。

離婚した元夫の両親に潤沢な資産がある場合には、祖父母に請求してみることを検討してみてはいかがでしょうか。(執筆者:元弁護士 川端 克成)

《川端 克成》
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川端 克成

川端 克成

約15年間弁護士をしていましたが、人の悩みは法律だけでは解決できないことに悩み続けて、辞めてしまいました。現在はフリーライターとして活躍中です。読んで役に立ち、元気が出るライティングをモットーに、法律問題に限らず幅広いジャンルで執筆しています。これまでの人生では、ずいぶん遠回りをしてきました。高校卒業後は工場などで働いて二部大学に入り、大学卒業後も工場で働いて司法試験の勉強をしました。弁護士を辞めた後も工場で働きながらライティングの修行を重ねました。そんな人生経験にも基づいて、優しい心を執筆を通じてお伝えするのが理想です。 寄稿者にメッセージを送る

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