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16年ぶりの「養育費算定表」改定 今後の養育費への影響とは

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16年ぶりの「養育費算定表」改定 今後の養育費への影響とは

3組に1組の夫婦が離婚しているといわれており、昔に比べて離婚は身近な出来事になっています。

子供がいる夫婦にとって、離婚を考える際の大きな関心事といえば、「養育費をいくらもらえるのか」ということです。

このような養育費の支払いに関し、2019年12月23日に約16年ぶりに「養育費算定表」が改定されました

今回は養育費算定表が改定されたことによる今後の養育費への影響について解説します。

16年ぶりの「養育費算定表」改定

養育費算定表とは

離婚後の養育費の金額を具体的にいくらと決めるかについて、法律上決まりはありません。

そのため、夫婦が話し合いで決めることができるのであれば、その金額が具体的な養育費の金額になります。

もっとも、離婚を考えている夫婦は、さまざま事情から感情的になっている部分もあり、円満に話し合いで養育費の金額を決められないケースが多くあります

そのような場合に、具体的な養育費の金額を決める基準として利用されるものが、裁判所のホームページで公開されている「養育費算定表」というものです。

養育費算定表は、夫婦双方の収入金額と子供の人数を基準として、婚姻費用(夫婦が生活する上で必要となる全ての生活費)の相場を算定することができるので、簡単に適切な婚姻費用の金額を知ることができます。

裁判所でも広く利用されていた養育費算定表ですが、2019年12月23日に約16年ぶりに改定されることになりました。

今回は、養育費算定表が改定されたことによる影響について解説します

養育費算定表が改定されたことによる影響

従来の養育費算定表は、2003年に作成されたもので、その後16年以上利用されてきました。

しかし、約16年間一切改定はなく、その間の社会情勢の変化、税制等の法改正および生活保護基準の改正などの影響を考慮していないものでした。

そのため、現在の社会情勢等を踏まえると、従来の養育費算定表では、養育費の金額が低すぎるとの批判がありました

そこで、今回約16年ぶりに養育費算定表が改定されることになりました。

今回の改定では、主に

(1) 基礎収入(総収入から、公租公課、職業費、特別経費を控除した、養育費の算定の基礎となる金額)

(2) 子供の生活費指数(成人を100とした場合の子供の生活費の指数)

が変更されることになりました。

基礎収入については、従来が総収入の34~42%とされていたのに対し、38%~52%に増加しました。

また、子供の生活費指数については、従来が15歳以上の子供を90としていたものが85に減少し、14歳以下の子供を55としていたものが62に増加しました。

このように、養育費算定の基礎となる基礎収入が増加したことに伴い、養育費の金額が増加することになり、特に14歳以下の子供がいる家庭での増加が大きくなったといえます。

全体的にみると、従来の算定表と比べて養育費の金額は1万円から2万円ほど増額しています

基礎収入が増加した

改定後の養育費算定表を利用する際の注意点

養育費算定表の改定により、従来の養育費算定表よりも養育費の金額が上がるケースが増えることから、従来の養育費算定表で決めた養育費の金額を変更したいと考える方もいるかもしれません。

しかし、今回の改定は、既に定めた養育費の金額を変更するものではないとされています。

ただし、養育費を定めてからかなり年数が経過している場合には、収入の変化や子供の年齢の変化により、従来の養育費の金額を維持することが相当ではないといえるケースもあると思います

このようなケースでは、事情変更にあたるとして養育費の増額が認められる可能性があります

また今後、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられることになりますが、成年年齢の引き下げは改定後の育費算定表には影響はないとされています。(執筆者:弁護士 山本 静人)

《山本 静人》
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山本 静人

2012年に弁護士登録。弁護士の経験や法律の知識を活かした「弁護士ライター」として法律記事のライティングで活躍中。正確な法律知識を身に着けることは、日常の生活に役立つ武器を手に入れることにつながります。専門的な内容をかみ砕き、ユーザーの皆様の役に立つような記事の提供をしています。 寄稿者にメッセージを送る

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