上場初の日経レバレッジ売り禁止

今回は、今後の市場の動向を占う上で重要となる需給関係について、日経レバレッジの売り禁止に焦点を当てて解説していきたいと思います。

日経レバレッジ 上場後初の 「売り禁止」について

日経レバレッジとは、日経平均と連動する形で運用されている上場投資信託(ETF)の代表格です。

その値動きは、日経平均が±1%動いた場合倍の±2%の値動きをするため、個人投資家などを中心に人気があり売買高でもトップに入るほどの人気商品です。

アベノミクスが始まって以来、日銀によるETF買いなどの対象となっていることからもその需給関係は良好であり、個別銘柄よりも値動きの予想が容易であることも人気に拍車をかけています。

これが今回、上場来初めて売り禁止となりました。

原因は主に2つ存在し以下の通りとなっています。

・ 日銀の大量のETF買いによる浮動株の大幅な減少。

・ 世界株高に伴う信用取引による空売りの増大。

現在のコロナ相場は、超金融緩和により支えられており、大量のマネーが金融市場に流入したことで、もともと少なくなっていた日経レバレッジの浮動株がさらに減少しました

さらに、実体経済が最悪な状態にある中、株式相場はそれに反する上昇を続けていることに違和感を抱いた個人投資家が一部売り方に転じ、日証金にある日経レバレッジの在庫が不足し需要と供給のバランスが大きく崩れてしまったため、今回売り禁止となってしまいました。

現在の株式市場の動向に注目

株式投資をするうえで最も重要なことの1つが、誰が株式市場を形成しているのかという点です。

従来であれば、機関投資家などの大口投資家がマーケットの中心におり、相場を作っていました。

この機関投資家は、需給が一方に大きく偏った時、その偏りをつぶすことで相場の変動率を拡大させ利益を追求します。

しかし、現在の相場環境は、機関投資家が動かすマネー以上の超金融緩和状態が世界的に続いているため、現在のマーケットの中心は機関投資家から各国中央銀行の動向にシフトしている可能性があります

こういった相場環境下では、資金の流入がさらなる資金を呼び込む「呼び水」の役割を果たすため、各国中銀がマネーを供給し続ける限りそう簡単に現在の相場が終わらない可能性がありました。

需給の偏りによる大幅な価格変動に注意

今回の日経レバレッジの売り禁止措置を受け、市場関係者の中で今後の大幅な価格変動予測が多く取り上げられるようになっています

個人的な見解では、前述にあるように需給関係が一方的に偏った場合、出るくいは機関投資家により打たれ、中央銀行のマネーが市場に供給され続ける限りそう簡単には相場の流れは変えることができないものと考えています。

つまり、日経レバレッジの売り残が大きく上昇しているのならば、その売り残をなくすような形で市場関係者は立ち回る可能性があります

この可能性は案外高いのではないかと考えており、まず個別銘柄の信用倍率は低水準を維持しているので需給面で買い残を狙った売り仕掛けにはうま味があまりありません。

日経レバレッジの品貸料が7月から発生しており、現在空売りしている投資家は買い手にコストを支払い続けているため、相場が再度上昇した場合、品貸料の支払いを嫌う投資家が買い戻しに動く可能性が高いです。

この考え方が正しければ、日経レバレッジを空売りしている投資家は将来的に損失を抱えてしまう可能性も考えられるので注意が必要です

また、相場が逆に下落に転じたとしても、日経レバレッジの買い戻しが入る可能性があるので下げは限定的になり、想定したほどリターンを得ることができないケースも十分に考えられます。

そのため、今後の相場を予測する上で日経レバレッジの動向は欠かせないものとなる可能性が高いので、その動向には注目しておいた方がいいでしょう。

価格変動に注意

日経平均構成銘柄上位の値動きに注目

日経レバレッジの売り禁止措置が発動したことにより、現在日経平均構成銘柄上位の値動きに注目が集まりつつあります。

前述の考え方が正しければ、将来的に日経レバレッジの買い戻しが入るため、そうなると組み入れ上位銘柄の株価が再度上昇に転じる可能性があります。

現在の組み入れ上位は、

1位 ファーストリテイリング
2位 ソフトバンク
3位 東京エレクトロン

となっているため、これら銘柄の値動きには注目しておいた方がいいかもしれません

値動きには注目しておく必要あり

今回の日経レバレッジの売り禁止措置は、相場の需給関係から見てもたたかれる可能性が考えられ、相場全体の価格上昇局面における日経平均構成銘柄上の値動きには注目しておく必要があるものと思われます。

特に、ファーストリテイリング(9983)、ソフトバンク(9984)、東京エレクトロン(8035)は構成比率上位3位の銘柄であることから、今後市場の注目が集まる可能性があるので、その値動きは随時追っておくようにした方がいいでしょう。(執筆者:現役証券マン 白鳥 翔一)