近年、奨学金を借りて大学を卒業したものの、その後の返済に苦しむ方が増えているという話を耳します。

新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、今後のこの流れはしばらく続くことが予想されます。

この点について、先日奨学金制度を利用するうえでの注意点が垣間見られる統計を見つけました。

そこで、今回はそのデータをご紹介すると同時に、奨学金を借りる際の注意点および各種制度の内容について記載いたします。

平成30年度奨学金の返還者に関する属性調査結果の概要

紹介するのは、平成30年11月末において奨学金返還を3か月以上延滞している方(以下「延滞者」と記載)と平成30年11月末において奨学金返還を延滞していない方(以下「無延滞者」と記載)を対象に、日本学生支援機構が無作為にサンプル抽出して行ったアンケ―ト結果です。

【奨学金に返済義務があるのを知ったのはいつ?】

返還義務を知った時期

実際にデータを確認すると、延滞者の約半数が申込手続き前に奨学金の返済義務があることを知らなかったという結果になっています。

さらに、貸与終了後に返還義務を知った方は延滞者のうち20.1%で、その半数以上の11.5%は「延滞督促を受けてから」知ったと回答しています。

そして、奨学金申請を決めた時期について延滞者と無延滞者とを比較すると、延滞者の方が高校卒業後に奨学金申請の準備を開始する比率が高いのです。

奨学金制度の中身を知ることの重要性

この結果から、延滞者は無延滞者に比べて奨学金制度の理解が不十分であること、教育資金の準備が遅いという傾向を確認できます。

奨学金を借りる際の注意点としてここから言えることは、できるだけ早い時期に奨学金制度の内容を知るということです。

奨学金の内容を理解することで、

・ 自身の家庭に必要かどうかを判断できる

・ 利用する場合に延滞しないよう対処方法を考え実行しやすくなる

のです。

そこで、各種奨学金の内容について以下で解説します。

各奨学金の内容

奨学金には

・ 借りた後に返済義務のない給付型

・ 返済義務のある貸与型

の大きく2つのタイプがあります。

まずは今回のアンケート実施主体である日本学生支援機構の奨学金を紹介し、その後にその他の奨学金について紹介します。

日本学生支援機構の奨学金

日本学生支援機構の奨学金には、「給付型」と「貸与型」があります。

「給付奨学金」

給付型奨学金

経済的に困難な状況にある低所得者のご家庭のお子さん向けの制度で、返済の義務はありません。

2020年4月に進学・進級する学生から対象者が広がりました

新制度スタート

世帯収入の基準を満たしていれば、成績等の要件なしで支援を受けられます。

また、給付型型奨学金の対象となれば、大学・専門学校等の授業料・入学金も免除または減額されます。

「貸与型奨学金」

次に、上記のアンケート調査の対象となる貸与型の奨学金です。

【1. 第一種奨学金】

無利子で借りることができるのが第一種奨学金です。

無利子である分、一定の選考基準があり、申請しても認められないケースもあります。

【2. 第二種奨学金】

最大年利3%の利子がつくのが第二種奨学金です。

利子の返済義務がある分、第一種より選考基準は緩やかです。

大学・地方公共団体の奨学金制度

大学や都道府県や市町村が独自の行う奨学金制度もあります。

大学や自治体によって条件は異なるため自身での情報収集が必要です。

日本学生支援機構のホームページにて全国の大学・地方公共団体の奨学金制度を検索するページが用意されていますので、こちらを利用して調べてみるとよいことでしょう。

奨学金制度検索

母子父子家庭や経済的に厳しい家庭の場合

母子父子家庭や経済的に厳しい家庭向け奨学金制度

日本学生支援機構は文部科学省所管の組織ですが、厚生労働省管轄にも母子父子家庭や経済的に厳しい家庭を対象に福祉分野の奨学金制度があります

具体的には、全国母子寡婦福祉団体協議会や社会福祉協議会が行っている制度です。

前者はお住まいの地域の役所の担当部署、後者はお住まいの地域の社会福祉協議会に問い合わせることで詳細を確認できます。

新聞奨学生制度

各新聞会社が設けている奨学金制度もあります。

新聞配達のアルバイトをしながら就学することが条件で利用できます。

ほとんどの新聞会社では寮を用意しており、生活費を抑えることができるうえにアルバイトによりお給料(場合によっては賞与も)を受け取れます

また、就職する際の各種サポートまで実施している新聞社もあります。

教育資金は早めに準備

奨学金の大半は返済義務のある「貸与型」です。

奨学金を借りることは、お子さんが社会人になったタイミングで借金を背負わせることでもあります。

奨学金を借りなくても済むように、できるだけお子さんが小さい段階から計画的に教育資金を用意することが理想的です。

また、教育資金などのお金の問題をお子さん自身も自分の事としてとらえ関心を持てるよう、各家庭でお子さんの金銭教育をしていくことも大切です。

こういう心構えも大切にしながら、奨学金について考えるようにしてみてください。(執筆者:佐藤 彰)