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【失業給付金】基礎知識と計算方法をどこよりも分かりやすく解説 「計算の具体例」つき

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【失業給付金】基礎知識と計算方法をどこよりも分かりやすく解説 「計算の具体例」つき

副業の解禁やテレワークの普及などにより、新しい働き方を求めて転職を考えている方も多いのではないでしょうか

そのような方々の中には

「転職したいけど、生活費が心配」

「失業給付で生活できるのか」

という悩みをお持ちの方がいるかもしれません。

本記事では、失業者の方々の再就職を支える失業給付金の計算方法を、どこよりも分かりやすく解説します。

失業給付金の受給資格者

【受給要件】

失業給付金は、離職日以前の一定の期間内(算定対象期間)に、雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)が、次の(1) または(2) の条件を満たす必要があります。

(1) 被保険者期間が離職日以前2年間※に通算して12か月以上あること

(2) 特定受給資格者または特定理由離職者に該当するものであって、(1) により受給資格を得ることができない者は、被保険者期間が離職日以前1年間※に通算して6か月以上あること

※算定対象期間といいます。

表にまとめると次の通りです。

算定対象期間と被保険者期間

特定受給資格者と特定理由離職者の範囲

特定受給資格者とは、解雇や倒産などにより急な離職を余儀なくされた者をいいます。

特定理由離職者とは、特定受給資格者以外の者で、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した者などをいいます。

特定受給資格者または特定理由離職者に該当するかの基準は、次の表の範囲であるかで判断されます。

判断基準の一例

参照:ハローワークインターネットサービス

続いては、8月1日から法改正される被保険者期間の算定方法を解説していきます。

被保険者期間の算定方法

被保険者期間とは、雇用保険に加入していた期間のことですが、ただ単に会社に在籍していた期間というわけではありません

現行

(1) 離職の日からさかのぼって被保険者であった期間を1か月ごとに区分し、この区分された各期間のうちに賃金支払基礎日数が11日以上あるものを被保険者期間の1か月として計算します。

※賃金支払基礎日数が11日未満のときは、被保険者期間に算入しません。

(2) (1) により区分した期間に1か月未満の期間が生じた場合、その期間の日数が15日以上であり、かつ賃金支払基礎日数が11日以上であれば、被保険者期間の0.5か月として計算します。

受給資格を得るには、離職日以前2年間に、この要件を満たした期間が通算して12か月以上必要です(特定受給資格者または特定理由離職者は、離職日以前1年間に、6か月以上必要)。

また、離職日が令和2年8月1日以降の方は、法改正により要件は次の通りです。

改正後(令和2年8月1日以降)

離職日から1か月ごとに区切っていた期間に、賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月、または、賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1か月として計算する。

※赤字の部分が追加されました。

失業給付にとって何日分が支給されるのかをしっておくことは重要です。

続いては、要件別の支給日数を見ていきましょう。

基本手当の所定給付日数

失業給付金が支給される日数は、次の要件によって決まります。

・ 離職理由

・ 離職日の年齢

・ 算定基礎期間(被保険者期間)

・ 就職困難者であるか※

※就職困難者とは次に該当する者です。

1. 身体障害者

2. 知的障害者

3. 精神障害者

4. 保護観察に付された者等

5. 社会的事情により就職が著しく阻害されている者

次の表に当てはめて見ていきます。

(1) 一般被保険者

 一般被保険者

※年齢要件なし

(2) 就職困難者

就職困難者

(3) 特定受給資格者・特定理由離職者(雇止めの場合のみ)

 特定受給資格者・特定理由離職者

以上の知識を踏まえて、失業給付金の具体的な金額を計算していきたいと思います。

基本手当の計算方法

賃金日額の計算式

原則の計算式

※賞与などの3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含めません。

原則の計算で算定した日額が、次のa)とb)に満たない場合は、a)またb)の額が賃金日額です。

最低補償

 
【基本手当日額の計算式】

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(45~80%)

上限額と給付率(令和2年8月1日現在)

先ほどの計算で算定した「賃金日額」と「基本手当日額」は、上限額と下限額が定められています

また、給付率は「年齢」、「賃金日額」によって変動します。

詳しくは、厚生労働省:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへを参照してください。

基本手当日額の計算方法
≪画像元:厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ(pdf)雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ(pdf)」≫

失業給付金の計算事例

では、以上の内容を踏まえて、順を追って失業給付金を計算してみましょう。

【前提】

被保険者:Aさん

年齢:50歳

退職理由:解雇(特定受給資格者に該当)

被保険者期間:25年

被保険者期間6か月間の賃金総額:180万円

(1) 賃金日額を求める

180万円 ÷ 180日 = 1万円

年齢別の上限額も確認します。

(2) 基本手当日額を求める

1万円 × 給付率(50~80%)= 5,954円

給付率の計算方法は厚生労働省のチラシ参照

(3) 所定給付日数の確認

特定受給資格者の表から所定給付日数を割り出す

45歳以上60歳未満の算定基礎期間が20年以上なので、所定給付日数は330日

(4) 失業給付金の総額を計算

5,954円(基本手当日額)× 330日(所定給付日数)= 196万4,820円

(5) 受給期限

(4) で算定した失業給付金の総額を次の期限内に受給する必要があります。

受給期限

計算事例の場合には(3) に該当するので、離職日の翌日から1年と30日までです

以上が失業給付金の総額を算定する流れです。

離職前にシミュレーションしておく

失業給付金の計算方法は少し複雑ですが、本記事を通して計算の仕組みを理解いただけたかと思います。

失業給付金は、自己都合退職の場合、離職後3か月間は支給されないということも覚えておきましょう。

離職してから転職活動する方は、離職前に転職活動の想定期間と失業給付金のおおよその見込み額をシミュレーションして、心に余裕を持った状態で転職活動に励んでください。(執筆者:社会保険労務士 須藤 直也)

《須藤 直也》
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須藤 直也

須藤 直也

大学卒業後、専門商社で7年間営業を経験し、その後現職である運送会社の総務部に転職。そこで労務管理や労働保険・社会保険の手続きなどの実務を経験しながら、社会保険労務士試験に合格。これまでの経験を生かして、生活に欠かせないお金や社会保障に関する正確な情報を発信していきます。 【保有資格】社会保険労務士 寄稿者にメッセージを送る

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