勤め先で企業型確定拠出年金に加入している人は、基本的にiDeCoに加入できません。

そのため老後に受け取る年金を手厚くするには、NISAなどを活用し自分で運用するしか方法がありませんでしが、今年の5月の制度改正で、誰でもiDeCoに加入できるようなりました。

そこで今回は、今年大幅に制度改正されたiDeCoの新制度について詳しく解説していきます。

今回の制度改正のポイント

iDeCoの今回の制度改正のポイント

2020年の5月に年金関連法案が可決され、iDeCoのルールが大幅に改正されることになりました。

今回のiDeCoの制度改正のポイントは以下の3つです。

1. 企業型確定拠出年金に加入していてもiDeCoに加入できる

2. 加入対象年齢が60歳から65歳に引き上げられる

3. 受け取り開始を75歳まで遅らせることができる

これらについて以下で詳しく解説していきます。

企業型確定拠出年金に加入済でもiDeCoに加入できる

今回の制度改正の目玉は、2022年10月より企業型拠出年金に加入している人でもiDeCoに加入できるようになることです。

企業型確定拠出年金に加入していても、iDeCoに加入できます。

ただしその場合は、お勤め先がiDeCoの加入を認めてもらう必要があるなど、使い勝手が悪くiDeCoに加入する人は少ないのが現状です。 

そこで今回の制度改正により、企業型確定拠出年金に加入していもiDeCoに加入したいと思えば、原則として誰でも加入できるようになりました。

企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入の注意点

企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入には、以下のような注意点があります。

1. マッチング拠出との併用は不可

2. 拠出できる金額の上限に達していると加入できない

3. iDeCoに積立できる金額に制限がある

ではまず、1から解説していきます。

マッチング拠出」とは、企業型確定拠出年金において、企業が拠出する掛金に自分自身が掛金を上乗せする仕組みです。

ところがこのマッチング拠出は、やっていることがiDeCoと同じであるため、2つを同時加入はできません

iDeCoも自分の意思で掛金を拠出し、マッチング拠出と仕組みは同じと言えるためです。

続いて2と3を同時に解説していきます。

わかりやすくするために、以下の表を確認してください。

[
他の企業年金がある場合」と「他の企業年金がない場合」の違いを表した表

※「他の企業年金」とは、厚生年金基金や確定給付年金など

まず、企業型確定拠出年金には、拠出金に上限(枠)があることに注意が必要です。

すでにこの上限額を目一杯拠出していると、新たにiDeCoで拠出できません

確定拠出年金に加入している場合、今いくら拠出しているか確認してみるといいでしょう。

「iDeCoの積立額」に関する注意点(事例)

企業型確定拠出年金とiDeCoを併用した場合、iDeCoの積立額に関して注意点があります。

わかりやすくするために事例を用いて解説します。

Aさんは企業型確定拠出年金に加入し、他の企業年金はなしで、現在の掛金が月額2万円です。

AさんがiDeCoに拠出できる枠は、3万5,000円(5万5,000円 – 2万円 = 3万5,000円)となるでしょうか。

この場合は3万5,000円の拠出はできず、月額2万円となります。

このように拠出金の枠が残っていても、確定拠出年金とiDeCoの併用時には、iDeCoの積立額の上限を超えられないと覚えておきましょう。

続いて加入対象年齢と、受け取り年齢の変更について見ていきます。

iDeCoの加入対象年齢と受け取り年齢が変更に

iDeCoの加入対象年齢と受け取り年齢が変更に

現在の制度では60歳までとなっていますが、今回の制度改正で、

2022年の10月より、60歳を超えても厚生年金または国民年金を納めていれば、iDeCoに65歳まで加入できる

ようになります。

たとえば現在55歳で、今iDeCoに加入しても運用期間が残り5年しかなく、加入しても意味がないと思っている人にとっては、メリットは出てきたといえるでしょう。

ただし先述の通り、60歳を超えても「国民年金」と「厚生年金」を納め続ける必要があります

たとえば定年を迎え「再雇用」や「定年延長」などにより、60歳以降も公的年金に加入し働き続けることでiDeCoに加入可能です。

また、iDeCoの受け取り年齢も75歳までに変更になりました

これまでは60~70歳の間に受け取る必要があり、70歳までに受け取らなければ強制的に解約させられました。

これが5年伸びて75歳までに受け取ればよくなります。

しかし公的年金と異なり、受け取る年齢を遅らせたことにより、もらえる年金額が増えることはありません。(運用結果による)

公的年金は受け取る年齢を5年遅らせるだけで、年金の受給額が42%増えます

iDeCoの場合は運用期間が伸びるだけで、もらえる年金が増えないことは覚えておきましょう。

節税をしながら人生100年時代に備える

人生100年時代といわれ、多くの人の「年金」に対する意識が変わってきています。

公的年金だけでは老後を安心して迎えられない可能性もあるため、若いうちに老後の準備をしておいて損はないでしょう。

またiDeCoは老後の資金を作るだけでなく、掛け金を拠出している間は節税ができる制度です。

現役時代にしっかり節税をして、老後の資金作りをしていくこともできるため、今回の制度改正でiDeCoに加入してみるのもいいのではないでしょうか。(執筆者:福森 俊希)