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【コロナ禍で望まぬ解雇】「特定受給資格者」や「特定理由離職者」に失業手当の期間延長 支給される条件と注意点

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【コロナ禍で望まぬ解雇】「特定受給資格者」や「特定理由離職者」に失業手当の期間延長 支給される条件と注意点

会社を退職した場合に頼れるのが、雇用保険から支給される失業手当です。

失業手当は、平均で賃金の6割程度が支給され、それで生活を支え、その間に新しく仕事を探すことになります。

現在、新型コロナウィルス感染症(以下新型コロナ)の影響で、望んでいないのに会社から「仕事がないので辞めてほしい」と頼まれたり、新型コロナに感染した家族の面倒を看るために辞めたりせざるを得ない方もいるでしょう。

そのような離職者に対して、国は「新型コロナウィルス感染症等の影響に対応した給付日数の延長に関する特例」を設けました。

では、どのような人が対象となるのか、注意点などについてみていきましょう。

特例延長給付金について

新型コロナによる60日の特例延長給付について

新型コロナの影響で離職せざるを得ない場合、失業手当を受け取る期間が延長されるかどうか、さらに給付制限の期間があるかどうかが非常に重要な問題になります。

一般的な自己都合退職の場合、3か月(2020年10月1日からは2か月)の給付制限があり、失業手当が支給される期間も、10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。

この特例の対象となる人は、新型コロナの影響により離職を余儀なくされた「特定受給資格者」および「特定理由離職者」(雇い止めの場合に限る)です。

延長される日数は、60日(ただし、30歳以上45歳未満で所定給付日数270日、45歳以上60歳未満で所定給付日数330日の人は30日)となります。

失業給付金の延長について
≪画像元::東京労働局≫

ただし、この特例延長給付は、積極的に求職活動を行っている人が対象となるため、失業認定日に不認定処分を受けたり、現実的ではない求職条件に固執したり、公共職業訓練や職業指導などを拒んだりなどをした場合は、対象となりませんので注意をしてください。

特定受給資格者とは

特定受給資格者とは、会社が倒産したり解雇されたりした方です。

この場合は、雇用保険加入期間が退職前の1年間に通算して6か月以上あることが条件となります。

通算ですので、新型コロナのために1か月で解雇されてもその前に5か月別の会社で加入していれば対象となります。

また、有期労働契約で労働契約書に更新されることが明示されている場合において、更新されなかった方も対象となります。

ただし、有期契約の場合、更新されることが明確に書かれているケースはほとんどありませんので、当てはまらない場合が多いでしょう。

その場合は、次の特定理由離職者に当てはまるケースとなります。

特定理由離職者とは

特定理由離職者とは、期間の定めのある労働契約が満了し更新を希望したにもかかわらず、更新されないことにより離職した方です。

ポイントは労働契約書に更新の条件として「契約の更新をする場合がある」と記載されているが、更新すると明示されていないケースです。

雇い止めと言われています。

また、今回次の方も特定理由離職者の対象となります。

1. 同居の家族が新型コロナに感染したことなどにより、看護または介護が必要となったことから自己都合離職をしたこと

2. 本人の職場で感染者が発生したことまたは本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有すること、妊娠中であること、もしくは高齢であることを理由に感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合離職したこと

3. 新型コロナウイルス感染症の影響で子(小学校、義務教育学校(小学校過程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所認定こども園などに通学、通園するものに限る)の養育が必要となったことから自己都合離職したこと

上記1~3の場合は、離職票に申立書と確認資料(ハローワークで確認)を添付してハローワークに提出します。

有期労働者が特定理由離職者になるための注意点

特定理由離職者になるための注意点

新型コロナの影響で社員を整理する場合、まず初めに有期契約労働者から解雇する会社が多いのが現状です。

その場合重要なことは、「特定理由離職者になるかならないか」ということ

特定理由離職者になれば、3か月の給付制限もなくすぐに失業手当がもらえ、さらに給付期間も長くなります

一般的に会社は、会社都合の離職を嫌いますので契約期間満了で辞めてもらうケースがほとんどです。

ところが、契約期間満了で辞めるのに「退職願」を書かせる会社があります。

退職願を書いてしまうと「自己都合退職」とハローワークで判断されるので「退職願を書いて」と言われたら、「期間満了で辞めるので必要ありません」と断ってください

また、期間満了の1か月前くらいに更新についての話し合いがあります。

会社が「仕事がないので更新できない」と言われても「更新してほしい」と希望を伝えてください

更新できないと言われて「はい、わかりました」と受けてしまうと特定理由離職者にはなれません

できれば文章で渡してコピーを取っておくとよいでしょう。

安易な離職は避けるべし

新型コロナの影響で仕事が少なくなり、残業が減り、「生活が大変だ」と困っている方も多いのではないでしょうか?

だから今の会社を辞めて別の会社に再就職しようと思っている方、ちょっと待ってください。

確かに新型コロナの影響で離職した方の失業手当の受給期間が長くなりました。

しかし、失業して新たな仕事を探そうと思ってもなかなか希望する仕事が見つからないのが現状です。

失業手当が長くもらえるからと安易に離職するのではなく、将来を考えての決断が大切なことは言うまでもありません。(執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵)

《菅田 芳恵》
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執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵 菅田 芳恵

グッドライフ設計塾 代表。大学卒業後、証券会社、銀行、生保、コンサルティング会社勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立開業。その後さらに6つの資格を取得。現在、13の資格に裏打ちされた様々な知識を活かして、企業コンサルティング、研修講演講師、コラム執筆、労働トラブルや資産運用の相談対応、キャリアカウンセリング、心の健康に関するカウンセリング等幅広く活動。 <保有資格>:特定社会保険労務士、1級FP技能士、CFP、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、ハラスメント防止コンサルタント、医療労務コンサルタント、知的財産管理技能士等 寄稿者にメッセージを送る

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