積み立てNISAやiDeCoで取り扱われる投資信託は本来、長期保有するための商品です。

さらに、こうした制度は毎月一定額を買い足し続ける事によって、買い付け価格をばらけさせて、価格の変動リスクを抑える働きをします。

これを投資の用語で、ドルコスト平均法と呼びます。

しかし実際に買付して「長期で保有して毎月一定額を買付する」となると、向き不向きがあることに、証券会社時代の経験を通して気が付きました。

今日は実際にいらっしゃった2人のお客様の経験を通して、積み立てNISAやiDeCoなど「毎月一定額を長期に渡って買付すること」を前提として作られた制度の利用に向いている人と向いていない人を解説したいと思います。

同じ時期に同じ投資信託を買付けた2人の正反対の行動

AさんとBさんは、同じ月に米国株に投資をする投資信託を100万円で買付されました。

しかし、そのすぐ後、リーマンショックによる世界的な株安が起こり、2人の投資信託価格は半分ほどになってしまいました。

Aさんの行動

Aさんは大慌てで電話を掛けてきて

「怖いから、すぐ売ってほしい」

と言われました。

Aさんの投資金額は100万円が60万円ほどになってしまいました。

リーマンショックによる下落を恐れて保有資産の売却を急ぐ人

Bさんの行動

Bさんの行動は全く逆でした。

「今はリーマンショックで米国株が下がっているけれど、何年か経てば米国の株なら元に戻ると思う」

そう話され、Bさんはリーマンショックで相場がずっと下げ基調の中、少しずつ米国の株の投資信託を買い足しました

下げ基調の米国株投資信託を買い続けたBさんのその後

2008年の8月に始まったリーマンショックにより、株価は4年ほど低い水準で推移していました。

Bさんが買い付けた投資信託も基準価格は当初の1万円から大きく下がっており、5,800円~7,000円ほどの水準が続いていました

それでもBさんは毎月8~10万円で、ずっと買付を続けていました。

そしてその後、5年経った2013年、長かった株価の下落基調が終わり、投資信託の基準価格は1万円に戻り、さらに1万3,000円にまで回復しました。

Bさんが5年間でおよそ500万円分買い続けた資産は、基準価格の上昇に伴って評価額が750万円にまでなりました。

反対に、最初の下落で投資信託を早々に手放したAさんはただ損をしただけで終わってしまいました

2人の明暗を分けたものは何だったのでしょうか。

リーマンショックでもつみたて投資を続けて成功

長期投資に「向いていない人」

Aさんは投資信託の価格が下がった途端、売って投資自体を止めてしまいました。

・「長期保有」と思っていても、日々の値動きが気になってしまう

・ 相場が大きく下げた時に、なぜ下がったのかまで考えられず「怖いから手放したい」と思う

以上のような特徴にあてはまる人は、長期保有の投資には向いていないと考えられます。

長期投資に「向いている人」

対してBさんは「なぜ安くなったのか」、「将来はどうなるか」まで考え、「今は世界的な株安で米国株も下がっているが何年かすればまた戻る」と考えて、毎月一定額を買い足し続け、最終的には大きな利益をあげました。

日々の値動きよりも、「将来相場はどうなるか」まで考えて投資を出来る人の方が長期保有の投資には向いているのではないでしょうか。

【注意点1】お金の流れが大きく変わった時は見直しを

Bさんの場合は米国株式に投資する投資信託だったため、将来の見通しも立ちやすかったかと思います。

しかし、これが新興国やリートなど値動きの激しいものに投資をするもので、

「将来的に資金が戻るかわからない」という商品の時には見直しが必要です。

【注意点2】投資信託の運用成績自体が良くない場合

投資信託の預かり資産である純資産額が著しく下落しているような時は注意が必要です。

運用成績がうまくいっているか等、運用レポートで確認するようにしましょう。

つみたてNISAやiDeCoの運用レポート

投資商品の性質を踏まえて長期的な視点を

一時の感情で売買するのではなく「長期的」な視点を持ちましょう。

また、毎月一定額を積み立てるのは「買付価格をばらけさせる事で価格変動のリスクを抑える(ドルコスト平均法)」ためです。

「上がったから売る」、「下がったから止める」という性質の投資商品ではありません。

とはいえ、定期的な見直しは必要です。

相場の状況にあっているかどうか運用レポートなどで確認しましょう。(執筆者:元証券ウーマン 成瀬 なぎさ)