「株式ほどのリターンは期待しないけれど、1%未満の債券投資では物足りない」

といった投資家の方におすすめなのが、家賃を原資に配当を生み出す不動産投信(リート)です。

日本にはJリートがありますが、4割がオフィス用途のためコロナ禍による先細りが見えます。

いわゆる「オリンピック後の地価下落」が既に一部で始まっているため、4%程度の期待利回りですがおすすめはできません。

現在は、経済成長率の高いアジア諸国のリートを集めたアジアリートが、低金利環境も追い風にして注目されています。

コロナ禍の環境においても10%を超える配当利回りの商品が出ていて、その魅力を1年前に採りあげた時からの比較も交えて解説します。

安定配当が魅力の 「アジアリート」について

安定配当が魅力「アジアリート」の現状

コロナ禍でも経済活動を両立させるウィズコロナの時代、2021年以降に経済回復が期待されるこのタイミングで、高配当と値上がり益を期待できるリートに注目が集まっています。

中でも感染があまり広がっていないアジア圏は先進国よりも高い経済成長率への期待があり、投資対象として見直されています

それら2つの要素を併せ持つのがアジアリートです。

その魅力を解説します。

リートの仕組みをおさらい

不動産投信「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとって、REIT(リート)と表現されます。

株式投資信託の一種で、投資家から集めた資金を収益不動産に投資し、その賃料収入を原資に投資家に配当する仕組みです。

最大の投資魅力は、安定的な配当でしょう。

リートはオフィスや商業施設、病院、物流センター、住宅などさまざまな用途に分かれています。

個人のマンション契約とは違って長期契約を結ぶ場合が多く、比較的安定的に賃料を得られます

また、用途が複数あることで、

・ 景気回復局面ではオフィス

・ 景気上昇局面では商業施設や住宅

・ 景気下降局面では病院や物流センター

が主な投資対象となってリート内でも循環しています。

しかし、いつ投資しても良い結果が得られる訳ではありません。

コロナショックによる基準価額の下落は止まり、遠からぬ感染症克服を前提とするならば今が投資のチャンスです。

コロナショックを挟んだ世界のリート指数

世界的にリート指数は2月まで順調に伸びていましたが、3月に入りコロナショックが直撃したホテルや商業施設リートを中心に急落しました。

世界リート指数で見ると3月に-40%まで下落し、現在は-17.4%の水準です。

ちなみに、最も下落率が大きく、回復していないのはJリートです。

世界のリート推移
≪リート指数の年間騰落率(2019.12.30との比較、2020.8.26時点)≫

参照:S&Pジョーンズ・インデックスインベスティング・ドットコム

シンガポール:S&P Singapore REIT (SGD)
米国:S&P United States REIT
ヨーロッパ:S&P Eurozone Property
世界:S&P Global Property
J-リート:東証REIT指数

その中にあってシンガポールリートは下落幅も小さく、回復も早く、世界的に見ても注目に値する値動きです。

シンガポールではコロナ感染対策が徹底されていて、リートの用途もデータセンターや物流施設の割合が大きいため、ウィズコロナ時代にも適合しています。

この特徴は、オーストラリアリートにも当てはまることです。

なお、アジアリートに組み入れられることもある香港リートですが、昨年からの反政府暴動や国家安全維持法を巡り1年ほど下落が止まりませんでしたが、8月に入って下げ止まり感が見えてきました。

コロナ禍で再度時流に乗るアジアリート

リートは経済成長する地域で活発化しやすく、物価上昇に合わせて賃料も上昇するため価格上昇の期待が高まります。

その意味でアジアリートは、米国や欧州、日本よりも期待される地域なのです。

IMFの経済成長率予測は次の通りです。

IMFの経済成長率予測世界経済見通し2020年6月
≪画像元:IMF

また、コロナ禍の金融政策として世界中が低金利となっているので、大きな借入をして物件を購入するリートにとって、利息が減る追い風が数年間続くことも魅力のひとつです。

米国株式のように年初来高値を回復しているバブル的な市場より、安定的な配当を得ながら元本の上昇を期待できるアジアリートの方がこれからの投資にはおすすめです。

なお、アジアリートへの投資は海外向けであるため、

・ 為替リスク

・ カントリーリスク(香港のような治安悪化や各国特有の急変事態)

・ 税制改正など投資リスク

といったリスクが伴いますので各商品の重要事項をご確認ください。

アジアリートの投資信託3選

では、具体的な投資商品を見ていきましょう。

【おすすめ1】アジアリートファンド(日興アセットマネジメント)

アジアリートファンド

シンガポールリート(77%)を中心に、香港リート(20%)およびインドリート(2%)を組み入れる構成です。

7月から引き下げた分配金で計算すると、税引前利回り年15.8%(分配金60円 × 12か月 ÷ 基準価額4,547円 = 15.8%)です。

年初来騰落率(分配後、2020.8.28時点)は-24.5%と横ばい傾向が続いているものの、7月のマンスリーレポートでは香港リートが割安と判断して新規投資をするなど、個別判断の積極的な投資方針です。

【おすすめ2】アジア好利回りリート・ファンド

アジア好利回りリート・ファンド

2016年、2019年、モーニングスターアワード・ファンドオブザイヤー(REIT型部門)の優秀ファンドに選ばれた投資信託です。

シンガポールリート(50%)に加え、オーストラリアリート(32%)と香港リート(9%)など計7か国のリートを組み入れる構成です。

現在の分配金で計算すると、税引前利回り年7.4%(分配金40円 × 12か月 ÷ 基準価額6,430円 = 7.4%)です。

カントリーリスクおよび為替リスクが分散されていることで、年初来騰落率(分配後、2020.8.28時点)は-12.4%と底値から上昇傾向にあり、世界リートを上回る安定感が魅力です。

【おすすめ3】アジアリート戦略オープン(三菱UFJ国際投信)

アジアリート戦略オープン
≪画像元:三菱UFJ国際投信

シンガポールリート(72%)と香港リート(26%)を組み入れる構成です。

現在の分配金で計算すると、税引前利回り年3.4%(分配金30円 × 12か月 ÷ 基準価額1万423円 = 3.4%)です。

年初来騰落率(分配後、2020.8.28時点)は-18.2%と横ばい傾向が続いているものの、為替ヘッジコースもあり為替リスクを軽減することも可能です。

分散投資の観点からもおすすめ

債券以上、株式未満のほどよいリスク・リターンを求めるのであれば、リート投資はウィズコロナの時代にもおすすめです。

昨年末に株価水準を回復していない市場は、ある意味妥当な経済実態を反映しています。

分散投資の観点からも、海外リートをポートフォリオに組み入れてみましょう。(執筆者:銀行・証券・保険業界に精通するシニアプライベートバンカー 中野 徹)