マイナンバーカードの申請手続きはとてもシンプルです。
大まかな流れを把握してしまえば、ほとんど迷うことなくスムーズにマイナンバーカードを受け取れることでしょう。
ただし、1つだけ迷うかもしれないポイントがあります。
それは「マイナンバーカードに電子証明書の機能を付けるかどうか」といことです。
ちなみに、マイナポイントの申込みには「利用者証明用電子証明書」が必要です。
また、新型肺炎に伴う定額給付金をオンラインで申し込む場合には「署名用電子証明書」が必要です。
自分に合った電子証明書を過不足なく付けておかないと、損をしたり手間が増えたりしてしまうかもしれません。
今回は、この少々分かりにくい電子証明書について整理して、押さえておきたいポイントを簡単に説明していきます。
電子証明書の種類とできること

本人確認の必要な手続きをスマホやPCからインターネットを介して手軽にできるようになります。
この電子証明書には次の2種類があります。
(2)「署名用電子証明書」
それぞれにできる内容が異なるので概要を簡単に見ていきましょう。
(1)「利用者証明用電子証明書」
ログインするのにマイナンバーカードが必要となるインターネットのサイトやサービスがありますが、その際に利用されるのが「利用者証明書用電子証明書」です。
「利用者証明書用電子証明書」によって、これらのサイトやサービスを利用できるようになるわけです。
「利用者証明書用電子証明書」でできること
インターネットサイトやキオスク端末などにログインをする際に利用します。
・ 民間のサイト(オンラインバンキング等)へのログイン
・ コンビニ交付サービス利用 など
「利用者証明書用電子証明書」は、マイナンバーカードで何かのシステムにログインしたり、簡単な手続きを行う際に必要になるというイメージを持っておけばよいことでしょう。
覚えておきたいのは、マイナンバーカード発行で最大5,000円相当のマイナポイントを獲得できますが、この申込には「利用者証明用電子証明書」が必要だという点です。
せっかくマイナンバーカードを発行しても、「利用者証明用電子証明書」を付けていないと5,000円を受け取れないので注意しましょう。
その他、
・ 行政手続きに関するさまざまな情報を確認できるマイナポータル
・ 住民票の写しや印鑑登録証明書などの証明書をコンビニで取得できるコンビニ交付サービス
を利用できるようになります。
なお、利用する際にはパスワードが必要ですが、「利用者証明用電子証明書」のパスワードは数字4桁です。

(2)「署名用電子証明書」
「署名用電子証明書」は、インターネット経由で書類などを提出する際に、その書類が確かにマイナンバーカード利用者本人が作成・送信したものであるということを証明する機能です。
書類にハンコを押して提出する部分がインターネット経由でできるようになるというイメージです。
「署名用電子証明書」でできること
インターネット等で電子文書を作成・送信する際に利用します。
・ 民間オンライン取引(オンラインバンキング等)の登録など
「署名用電子証明書」は、マイナンバーカードを使ってオンラインで正式な書類を送付する際に必要になるというイメージを持っておけばよいことでしょう。
たとえば、新型肺炎の10万円の定額給付金の申請をオンラインでする場合には「署名用電子証明書」が必要です。
また、e-Taxを利用してオンラインで確定申告をする場合にも「署名用電子証明書」が必要です。
いずれもオンライン以外の方法でも手続きは可能ですが、「署名用電子証明書」があればオンラインだけで手軽に完了させられるというメリットがあります。
なお、「署名用電子証明書」に使われるパスワードは6文字から16文字で、数字とアルファベットをそれぞれ1文字以上入れておく必要があります。
セキュリティの関係上「利用者証明用電子証明書」よりも長く複雑です。
電子証明書に関する3つの注意点
電子証明書でできることを具体的に紹介してきましたが、こういった便利な側面がある一方でいくつかの注意点もあります。
(2) 利用環境を整える必要がある
(3) 電子証明書の有効期限が約5年
では、それぞれの内容を見ていきます。これらのデメリットに比べて、電子証明書を付けるメリットが大きいかどうかを意識して見ていきましょう。
(1) パスワード管理が必要になる
電子証明書を利用するにはパスワードが必要です。このパスワードはセキュリティ面で非常に重要なので、特に慎重に管理をしなければなりません。
さまざまなサービスでパスワードが必要な昨今において、多くのパスワードを持っている人は多いと思います。
電子証明書を付けることでパスワードが増えてしまうのは、デメリットとも言えることでしょう。
特に「署名用電子証明書」は長く複雑なだけに覚えにくいところがあります。
利用頻度が低いとパスワードを失念してしまいやすくなるため、関連サービスをどの程度使うのかがポイントになってきそうです。
ちなみに、もしもパスワードを忘れてしまった場合には、自治体の窓口に行って再設定の手続きをする必要があります。
また、パスワードを連続で誤入力すると「利用者証明用電子証明書」は3回で、「署名用電子証明書」は5回でロックがかかるようになっています。
この場合にも、やはり自治体の窓口に行ってロック解除の手続きをしなければなりません。
(2) 利用環境を整える必要がある

スマホやPCからマイナンバーカードの電子証明書を利用する場合、実はマイナンバーカードを発行するだけでは関連サービスを利用できません(コンビニ交付サービスについては、PCやスマホを使わないため利用可能です)。
スマホの場合にはマイナンバーカードに対応している端末が限られている点に注意が必要です。そのうえで、サービスに対応するアプリをインストールします。
参照:地方公共団体情報システム機構「マイナンバーカードに対応したNFCスマートフォン一覧 (pdf)」
PCから利用する場合には、「ICカードリーダライタ」や「ICカードリーダライタとして使用できるスマホ」を用意したうえで、最新のドライバーや利用者クライアントソフトのインストールといった設定が必要です。
スマホやPCを使い慣れている人であれば大丈夫だとは思いますが、そうでない場合にはこれらの環境準備はハードルが高いと感じるかもしれません。
(3) 電子証明書の有効期限は約5年
マイナンバーカード自体の有効期限は、発行時点で20歳以上の人の場合に発行後10回目の誕生日までです。
一方で、電子証明書の有効期限は発行後5回目の誕生日までと、少し短くなっています。
継続利用するためには有効期限までに更新する必要がありますが、その際には自治体の窓口に行かなければなりません。
電子証明書を利用する場合には、利用しない場合よりも手間が多くなってしまうというわけです。
どのサイトやサービスを利用するかのがポイント
今回は、マイナンバーカードの電子証明書にスポットライトを当てて、メリットとデメリットを紹介しました。
電子証明書を付けることで利用できるサイトやサービスが増える一方で、手間が増えるという側面もあることが伝わったかと思います。
最大5,000円相当のマイナポイントを獲得したいという人は多いと思いますので、基本的には「利用者証明用電子証明書」は付けておいたほうがよいことでしょう。
ただし、「署名用電子証明書」は、関連サービスを利用しない人でパスワード管理が得意でない場合には無理に付けないほうがよいかもしれません。
自分がどのサイトやサービスを利用するかをイメージしながら、電子証明書を発行するかどうかを決めていくと失敗は少ないと思います。
今後も対応するサイトやサービスは拡大していくはずですので、今後の動向にも注目していきたいところです。(執筆者:貝田 凡太)