離婚する際に養育費の支払いを夫婦間で取り決めても、やがて支払いがストップしてしまうケースは数多くあります。

しかし、養育費の支払い遅れた場合は延滞金が発生します

元配偶者に対して、本来の養育費に加えて延滞金を加算して請求することができるのです。

今回は、養育費の延滞金はどれくらい発生するのか、元配偶者から養育費と延滞金を支払ってもらうにはどうすればよいのかについてご説明します。

養育費の不払いで相手にプレッシャーをかける

養育費にも延滞金がかかる

金銭債務が約束どおりに支払われないときには、延滞金が発生することが民法で定められています。

第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。(引用元:e-Gov

養育費の支払義務も「金銭の給付を目的とする債務」なので、約束どおりに支払われなかった場合には支払義務者に対して延滞金を請求できます

なお、「延滞金」という言葉は、正確には地方税を納期限までに支払わない場合に課せられる徴収金のことを意味します。

一般的な金銭債務を支払わない場合に民法上発生するお金のことは「遅延損害金」または「遅延利息」といいます

ただ、「延滞金」という言葉になじみのある方も多いので、この記事では「延滞金」という言葉に統一してご説明します。

養育費の取り決めがあることが必要

養育費の不払いに対して延滞金を請求するためには、すでに相手との間で養育費の支払についての取り決めがあることが必要です。

取り決めをしていなかった場合、新たに養育費の支払を請求することはできますが、今まで支払われていなかった養育費に対する延滞金を請求することはできません。

なぜなら、取り決めのない過去の養育費を請求することは原則としてできないからです。

養育費というのは親族間の扶養義務に基づいて請求が認められるものです。

今まで請求していなかったということは、養育費なしで生活できていたということになります

過去の養育費を請求できない以上、それに対する延滞金も請求することはできません。

一方、取り決めがある場合は養育費の支払義務が金銭債務として具体化しているので、不払いがあると延滞金が発生するようになります。

延滞金の取り決めはなくても請求できる

「養育費の支払に関する取り決め」は必要ですが、その取り決めの中に「延滞金の取り決め」はなくても延滞金を請求することはできます

通常、サラ金やローンなどの契約書には「返済を遅滞した場合には年〇〇%の割合による延滞金が発生する」と書かれていますが、このような取り決めがなくても延滞金は発生するということです。

延滞金の利率は年3%

毎月の養育費 プラス3%

では、延滞金として請求できる金額はいくらになるのでしょうか。

延滞金について特段の取り決めがない場合、民法上の利率は年3%です。

第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。(引用元:e-Gov

法定利率は以前は年5%でしたが、民法改正によって2020年4月1日以降は年3%に変更されました。

例えば、毎月3万円の養育費を支払うという取り決めをしていて、延滞金の取り決めがなかった場合に養育費が不払いになると、1か月で約75円の延滞金が発生します。

【計算式】

3万円 × 3% ÷ 12=75円

これだけを見ると、大した金額ではないと思われるでしょう。

しかし、養育費は毎月発生します。

月3万円の養育費を1年間滞納すると、延滞金の合計は6,000円近くにのぼります

なお、法定利率を超える延滞利率を取り決めている場合は、その利率に従って計算した金額を請求できます。

養育費と延滞金の請求は内容証明郵便で

元配偶者が養育費の不払いを続ける場合は、養育費に延滞金を加算して内容証明郵便で請求しましょう

単に不払いの養育費だけを請求するよりも、相手に与える精神的プレッシャーが大きくなるので、それだけ支払いが期待できます。

相手が延滞金は支払えないと言ってきたら、「延滞金を免除してあげる代わりに、早急に養育費を支払ってください」という交渉も可能になるでしょう。

それでも支払われない場合には支払い督促などの法的手段をとる必要がありますが、その場合も延滞金を請求できます。

養育費を請求する側も支払う側も延滞金を意識している人はほとんどいないと思いますが、法律上は延滞金が発生しているのです。

なかなか養育費を支払わない元配偶者に対しては、延滞金を加算して請求するとよいでしょう。(執筆者:元弁護士 川端 克成)