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3000万の物件の仲介手数料96万円が「半額もしくは無料」になる背景 業界の動向を解説します

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3000万の物件の仲介手数料96万円が「半額もしくは無料」になる背景 業界の動向を解説します

最近はインターネットが普及し、物件なども不動産仲介会社のホームページから探すようになりました。

そうなると、不動産仲介会社としては物件が探しやすいホームページ作りを目指すわけですが、逆に言えば差別化を図るのが難しくなりました。

そこで登場したのが、今まで不文律とされてきた仲介手数料を割引して顧客を集客する方法です。

今回はこの仲介手数料の割引について、業界の動向などを解説していきたいと思います。

3000万の物件の仲介手数料96万円が 「半額もしくは無料」になる背景

日本は世界的に少数派の「両手仲介」制度を採用

まず、不動産会社の仲介手数料についてです。

仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限額が定められています。

取引額200万円以下:取引額の5%以内

取引額200万円を超え400万円以下:取引額の4%以内

取引額400万円を超える:取引額の3%以内

例えば、1,000万円の物件を仲介してもらった場合、

・ 200万円以下の部分は10万円

・ 200万円を超え400万円以下の部分は8万円

・ 400万円を超え1,000万円以下の部分は18万円

となり、上限の合計は36万円です。

そして、400万円を超える物件の仲介手数料は「取引額 × 3% + 6万円※」と表せるため、業界ではこの式をよく使います。

※6万円 = 200万円 × 2% + 200万円 × 1%

従って、3,000万円の物件を仲介すれば「3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円」の報酬を受け取り、これを売主と買主からもらえるので合計報酬額は192万円です。

売主と買主双方から仲介手数料が受け取れる仕組みを「両手仲介」と呼び、日本では認められています。

このような成功体験から、不動産仲介会社には独立志向の人が多いと言われています。

一部の不動産仲介業者で始まった仲介手数料の割引

今まで仲介手数料を割引くことは自らの首を絞めることになるため消極的な会社が多かったのですが、インターネットなどで勝負する新興不動産仲介会社を中心に、仲介手数料の割引に乗り出すところが出てきました。

仲介手数料を無料もしくは半額にする新興不動産会社

「片手仲介」に特化

売主と買主から仲介手数料を受け取ることを「両手仲介」と説明しました。

それに対して片手仲介とは、例えば売主が不動産業者で買主が個人の場合、売主である不動産業者からは仲介手数料を徴求するけれども、個人からは徴求しない方法です。

これにより個人は仲介手数料が無料となるのですが、この特典を受けるには欲しい物件が上記のような形態でなければなりません。

仲介手数料が実質半額

こちらはインターネットなどで物件の宣伝コストが下がったことが大きな要因となり、実現したサービスです。

上記のように、3,000万円の物件を仲介するだけでも96万円の仲介手数料を支払わなければなりません。

これが実質半額になると、約50万円の費用が削減できます。

不動産購入には何かとお金がかかるだけに、これは嬉しい特典です。

大手不動産仲介会社は静観の構え

では、住友不動産販売や三井のリハウスなど、大手不動産仲介会社の動きはどうでしょうか。

残念ながら、物件数の多さなど大手不動産仲介会社には成約スピードのメリットがあるため、現在のところ変化の兆しは見られません

ただ今後ますますインターネットが物件探しの入り口となる中、仲介会社の規模があまり重視されない時代になるでしょう。

物件の質と報酬のバランスをどう維持するのか、今後の不動産仲介手数料には要注目と言えそうです。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)

《沼田 順》
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沼田 順

沼田 順

1975年、兵庫県生まれ。1994年、神戸商科大学(現・兵庫県立大学)に入学。学生時代の1997年に宅地建物取引主任者試験に合格。翌年の1998年、住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)に入庫。2008年、独立後勉強していたCFP上級資格を取得し翌年の2009年にCFP認定者及び1級FP技能士となる。2014~2015年、大阪大学大学院経済学及び理学研究科 博士前期課程 単位取得。2015年、京都大学法科大学院 法務博士課程 単位取得。 ≪保有資格≫ 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 宅地建物取引士 / 住宅ローンアドバイザー / ビジネス法務エキスパート® / 証券外務員2種 / 銀行業務検定各種 寄稿者にメッセージを送る

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