厚生労働省の調べでは、2020年8月時点でコロナ関連の解雇や雇止めが5万人を突破したことがわかりました。

新型コロナウイルスの影響で、4~6月の経済状況は戦後最悪ともいわれ、雇用環境も悪くなってきています。

このような中、大学や専門学校に通うため、奨学金を借りていた人もいると思います。

奨学金は学校を卒業すると、返済する義務が生じますが、解雇や収入減で返済をすることが困難になることもあります。

そこで今回は、奨学金の返済が困難になってしまった時、猶予と減額できる2つの制度について徹底的に解説していきます。

奨学金の返済が苦しい

奨学金の返済に困った時に利用できる2つの制度

奨学金を返済することが困難な場合、「返還期限猶予」と「減額返還」という2つの制度で返済の負担を軽減できます。

2つの制度

(※)一般猶予の場合

まず返還期限猶予とは一定期間、奨学金の返還を延期してくれる制度です。

どのような理由で返済が困難になったかによりますが、会社員などは年収300万円以下などの条件が設定されています。

一方、減額返還とは一定期間、月々の奨学金の返済月額を減額してくれる制度です。

こちも理由によりますが、会社員の場合は年収325万円以下などの条件が設定されています。

これらの制度についてもう少し具体的に見ていきましょう。

早めに確認しておこう

最長10年間返済を待ってもらえる返還期限猶予とは

奨学金の返還期限猶予には、「一般猶予」と「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予」の2つの制度があります。

ほとんどの方が一般猶予を利用することが多いため、ここでは一般猶予について説明していきます。

なお「猶予年限特例又は所得連動返還型無利子奨学金の返還期限猶予」について詳しく知りたい方は、以下の日本学生支援機構のHPで確認してみてください。

参照:日本学生支援機構

返還期限猶予のうち一般猶予とは、現在奨学金の返済をしているが、返済が困難になったため、一定期間返還することを待ってもらえる制度です。

待ってもらえる期間は、最長で10年間でこの期間は返済しなくてもよくなります

さらに返還を待ってもらえる期間は、利息や延滞金、保証料が発生することはありません

ただし1年以上継続して返還を猶予する場合、1年ごと(毎年)申請が必要であることを覚えておきましょう。

年収などの条件について、以下の簡単な一覧表があるのでご覧ください。

年収などの条件について

傷病中や経済困難な場合は、細かい年収要件が設定されている点に注意しましょう

なお経済困難が理由の場合、2019年11月以前に卒業または退学等した場合が対象者となっている点にも注意してください

申請時に必要な書類は以下の2つです。

(1) 猶予願&チェックシート&マイナンバー提出書

(2) 所得証明書など返済が困難であることを証明できる書類

「猶予願&チェックシート&マイナンバー提出書」については、以下の日本学生支援機構のHPから所定の様式をダウンロードしましょう。

参照:日本学生支援機構

申請してから猶予が開始されるまでの期間ですが、2か月程度かかるため、余裕を持って申請をするようにしましょう。

たとえば12月から猶予を開始する場合は、9月末までに申請を行ってください。

続いて減額返還について説明していきます。

最長15年月々の返還額を減らせる減額返還とは

最長15年にわたって減額できる

奨学金の減額返還とは、当初約束した月々の返還額を最長15年にわたって減額できる制度です。

最長15年にわたり、月々の返還額を1/2から1/3に減額し、減額した期間に応じて返還期間を延長してもらえます

つまり奨学金の金額そのものが減額されるわけではないため、返還期間が伸びてしまうことに注意しましょう。

年収などの条件について、簡単な一覧表があるため以下をご覧ください。

年収などの条件についての一覧表

減額返還は細かい収入条件などはありませんが、

・ 口座振替(リレー口座)へ加入している

・ 申請した時に延滞が発生していない

など、返還期限猶予に比べて条件が少し厳しくなります

申請時に必要な書類は以下です。

(1) 奨学金減額返還願&チェックシート&マイナンバー提出書

(2) 所得証明書など返済が困難であることを証明できる書類

(3) 個人信用情報の取扱いに関する同意書

(4) 口座振替(リレー口座)加入申込書の控え

減額返還の場合は、返還期限猶予と提出する書類の種類が異なる点に注意しましょう。

なお「奨学金減額返還願&チェックシート&マイナンバー提出書」と「個人信用情報の取扱いに関する同意書」については、以下の日本学生支援機構のHPからダウンロード可能です。

参照:日本学生支援機構

減額返還願の提出は、審査などの関係上、希望の減額期間の2か月前までにするようにしましょう

また減額返還願の希望期間が4か月以上先の年月を指定してしまうと、申請を受け付けられないため、申請の際は翌月以降に減額を開始することを記載してください

手続きは余裕をもってしましょう

奨学金の返還が困難になった場合は、速やかに返還期限猶予または減額返還の手続きをしましょう

もし手続きをせずに延滞3か月以上した場合、個人信用情報機関に個人情報が登録されてしまいます

個人信用情報機関に個人情報が登録されてしまうと、住宅ローンなどの借入れをする場合、利用できなくなる可能性があります。

手続きは余裕をもって行うようにしましょう。(執筆者:福森 俊希)