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生活保護世帯の子が大学に進学するために知っておくべき「3つのこと」

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生活保護世帯の子が大学に進学するために知っておくべき「3つのこと」

最近は働き方の多様化が進みつつあるとはいえ、まだまだ大卒とそれ以外とで賃金に格差があるのが実情です。

「貧困から抜け出したい」

「好きな仕事につきたい」

生活保護世帯のお子さんの中にも、このような思いで大学進学を目指している人はたくさんいます。

かつては、生活保護世帯の子どもには「高校を卒業したら働く」ということしか選択肢がありませんでした。

親が生活保護を受給すると子どもが大学に行けなくなるという理由で生活保護を申請せず、借金を重ねた親御さまも少なくないことでしょう。

しかし、今では条件を満たせば生活保護世帯の子どもも大学進学が可能となっています。

決して楽な道ではありませんが、夢をあきらめる必要はありません。

今回は、生活保護世帯の子が大学に進学するために知っておくべき3つのことをを紹介します。

生活保護世帯の子が進学するために知っておくべきのこと

1. 世帯分離と奨学金等の受給が条件となる

生活保護世帯の子どもが大学に進学するためには、まず「世帯分離」をする必要があります。

世帯分離とは、それまで1つの世帯として生活保護を受給していた人のうち、特定の人だけを切り離して生活保護の対象から外すことです。

たとえば、両親と子ども1人の3人世帯の場合、原則として3人で生活保護を受給しなければなりませんが、

大学進学のためであれば子どもだけを切り離すことが認められます


世帯分離をした後も別居する必要はなく一緒に生活できますが、子どもは生活保護の対象外となるため保護費は少なくなります

この仕組みを利用して子どもが大学に進学するためには、奨学金や貸与金を受けることも条件とされています

2. 学費や本人の生活費などは自弁しなければならない

世帯分離をすると子どもは生活保護の対象ではなくなるため、学費や生活費をすべて自分でまかなう必要があります

また、生活保護の医療扶助の対象からも外れるため、国民健康保険に加入して保険料を納めなければなりません

20歳になれば国民年金保険料を納めることも必要です(免除制度を利用できます)。

学費については減免措置、生活費についても奨学金や貸与金で一部をまかなえますが、それでもアルバイトをするのは必須です。

3. 生活保護世帯から大学等に進学している人はたくさんいる

厚生労働省の統計調査によると、生活保護世帯の子どもの大学等(「大学等」には大学の他、短大・専修学校、各種学校を含みます)への進学率は35.3%です。

全体の進学率は73.0%なので、半分以下となっています。

この数字を見ると、生活保護世帯からの大学進学は厳しいように思われるかもしれません。

しかし、見方を変えれば子どもがいる生活保護世帯のうち3世帯に1世帯以上は大学等へと進学しています

楽ではなくても頑張っている人はたくさんいます。

夢をあきらめる必要はありません。

夢をあきらめる必要はない

制度は徐々に改善されつつある

かつては「親が生活保護を受給したために子どもが大学に行けなくなる」というのが現実でしたが、世帯分離の仕組みが認められるようになり、今はそうではなくなっています。

制度の改善と新設

その他にもさまざまな制度が改善・新設されつつあります。

2017年度からは、給付型奨学金の支給が始まりました

2018年には大学等への進学のために世帯分離をしても住宅扶助(家賃の支援)は減額されないように改められ、進学準備金も支給されるようになっています。

さらに、2020年からは給付型奨学金の対象や支給額が拡充され、大学等の入学金や授業料の減免措置も開始されています。

生活保護受給世帯でも夢をあきらめない

昔は生活保護世帯の子どもは高校にも進学できなかったのが、1970年に高校への進学が認められたという経緯もあります。

今後、大学進学についても世帯分離をすることなく認められるようになるかもしれません。

これから大学進学を目指す方や学齢期のお子さまがいる親御さまも、生活保護を受給しているからといって夢をあきらめる必要はありません。(執筆者:元弁護士 川端 克成)

《川端 克成》
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川端 克成

川端 克成

約15年間弁護士をしていましたが、人の悩みは法律だけでは解決できないことに悩み続けて、辞めてしまいました。現在はフリーライターとして活躍中です。読んで役に立ち、元気が出るライティングをモットーに、法律問題に限らず幅広いジャンルで執筆しています。これまでの人生では、ずいぶん遠回りをしてきました。高校卒業後は工場などで働いて二部大学に入り、大学卒業後も工場で働いて司法試験の勉強をしました。弁護士を辞めた後も工場で働きながらライティングの修行を重ねました。そんな人生経験にも基づいて、優しい心を執筆を通じてお伝えするのが理想です。 寄稿者にメッセージを送る

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