人生において、収入額は年齢とともに変化していきます。

定年退職を境に、主な収入源は老齢年金に移行します。

2020年の標準的な夫婦一世帯あたりの年金収入は平均22万円となっており、現役時代に比べて大きく減少するため、家計の支出を見直すことが必要となってきます。

参照:日本年金機構

家計の中で大きな割合を占める支出は住居費です。

年金生活に移行するまでに住宅ローンを完済し、住居費の負担を軽減させることが年金生活を送る上でのカギとなってきます。

繰り上げ返済の仕組みとメリット

住宅ローンの繰り上げ返済の仕組み

住宅ローンの返済期間は最大35年にできます。

そのため、マイホームを取得した年齢によっては何もしなければ年金生活の時も住宅ローンの返済が残りつづけてしまうこととなり、家計への大きな負担となってしまう恐れがあります

そこで、定年退職を迎える前に住宅ローンの繰り上げ返済を行うことで、年金生活時の住居費の負担軽減が狙えます。

住宅ローンの繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」があり、どちらを選んだかによって得られるメリットが大きく異なります。

期間短縮型

繰り上げ返済したお金を、住宅ローンの元金部分に充当します。

月々の返済額は変わりませんが、繰り上げ返済した分の元金と利息分が減少するため、返済期間が多く残っているほど住宅ローンの総返済額を圧縮する効果が大きくなっています

返済額軽減型

繰り上げ返済したお金を、住宅ローンの利息部分に充当します。

利息の総支払額が減少するため、月々の返済の中に含まれている利息分が少なくなり、月々の返済額が少なくなりますが、返済期間を短縮する効果を得られません

タイプごとの繰り上げ返済の効果をシミュレーション

住宅ローン契約から

・ 10年目
・ 20年目

段階でそれぞれ

・ 100万円を繰り上げ返済

した場合です。

期間短縮型と返済額軽減型の住宅ローン減額効果について確認してみたいと思います。

試算の条件

住宅ローンの借入額 → 4,000万円

当初借入期間 → 35年

返済済み期間 → 10年および20年

金利:1%固定

毎月の返済額 → 11万2,914円

繰り上げ返済額 → 100万円

効果をシミュレーション

期間短縮型の場合

返済期間:9か月削減

【返済総額圧縮効果】

・ 住宅ローンの残り返済期間25年の場合 → 約28万円

・ 住宅ローンの残り返済期間15年の場合 → 約15万6,000円

返済額軽減型の場合

毎月の返済額:11万2,914円 → 10万9,134円

【返済総額圧縮効果】

・住宅ローンの残り返済期間25年の場合 → 約13万円

・住宅ローンの残り返済期間15年の場合 → 約7万6,000円

このように早期に繰り上げ返済を行うほど、住宅ローンの返済総額圧縮効果が大きく、シミュレーション条件では、10年で圧縮効果が半減してしまうことがわかりました。

自身の年金生活のスタイルを踏まえ考えよう

シミュレーションの結果、

・ 期間短縮型は住宅ローンを年金生活に持ち込まないために行う

・ 返済額軽減型は年金生活時も住宅ローン返済を行うことを前提とし、許容可能な負担額まで落とし込むことに適している。

自身の年金生活のスタイルを踏まえ、繰り上げ返済のタイプを選択していくことをお勧めします。

また、住宅ローンの繰り上げ返済は、以前であれば窓口手数料などが生じていましたが、現在はネット取引の普及により手数料なしで手軽に行えるようになりました

繰り上げ返済の期間圧縮効果を狙うのであればタイミングも重要になってきます。

少額でもこまめに繰り上げ返済を行っていくことが効果的です。(執筆者:菊原 浩司)