最近の住宅ローン金利は変動金利で0.5%程度、全期間固定金利でも1.5%程度と異常なほどの低金利です。

一方で世界的に先行きの不透明な傾向は強いものの、世界各国の中央銀行が金融緩和を行っているため、世界の株価は高値圏を維持しています。

そこで最近よく言われるのが、

「低金利の住宅ローンを繰上げ返済する余裕があるのなら、その資金で資産運用した方が得だ」

という考え方です。

ただこの考え方は資産運用で失敗せず、一時的な含み損などにも耐えられる投資家向きの人にしか当てはまらないと考えます。
 
今回は世代別に「この考え方が向いている人」と「向いていない人」について考えていきたいと思います。

住宅ローン控除の10年間は運用か、貯蓄か

10年間は繰上げ返済しないのが大前提

・ 住宅ローンの借入金利が1%以下

・ 住宅ローン控除の控除率が現在の1%で継続

上記の条件に当てはまる場合、10年間は繰上げ返済しないのが大前提です。

ここ数年以内に住宅ローンを変動金利で借りた人はほとんどが当てはまっており、この場合は住宅ローン控除が終わるまで繰上げ返済しないことです。

例えば住宅ローンを2,000万円、変動金利0.5%で借りたとします。

住宅ローン控除で消費税10%前の控除限度額は2,000万円(現在は13年で4,000万円)ですから、全額が控除対象金額です。

そして住宅ローン控除の控除率は1%ですから、初年度の概算で控除額が20万円、支払利息が10万円となり、10万円の税金が還付されます

そして住宅ローン控除が終わった後に、今までにためた余裕資金を使って繰上げ返済してください。

控除期間中にためた余裕資金を「運用する」という選択肢

実際のところ繰上げ返済までに10年の猶予があるわけですから、ここで自分の資産運用能力を試してみるのも良いでしょう。

余裕資金とは言え減っては困るお金ですから、毎年コンスタントに3%程度の収益が上げられるのであれば、10年後の繰上げ返済は最小限でも良いかもしれません。

資産運用に向いている人

・ まだ若く投資経験がある独身の人

・ 老後資金にある程度めどが立っている中高年の人など

資産運用に向いていない人

・ 家族がおり住宅ローンの支払い負担が大きい人

・ 投資経験があまりない年配の人など

投資には余裕資金が必要

運用資金は別に確保するのが安全策

こういう話題が上るたびに、一攫千金を夢見て投資ではなく投機を行い、住宅ローンの返済すら困難にしてしまう人がいます。

私個人としては、住宅ローンと運用の資金はわけて、変な欲に惑わされず確実に繰上げ返済することをおすすめします。(執筆者:1級FP技能士、宅地建物取引士 沼田 順)