2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減って副業を始めた人も多いことでしょう。

なかには副業収入だけで本業に匹敵するほど稼いでいる会社員もいるようです。

副業である程度の金額を稼ぐと、気になるのが確定申告です。

実は会社員の副業の場合、開業届を出していても「事業所得」と認められずに「雑所得」とされる場合が多いのです。

詳しく解説します。

会社員の副業収入

本業の給与所得以外の収入が20万円以上あれば確定申告

本業が会社員の人が以下のいずれかに該当する場合は、原則として確定申告の必要があります。

副業に関係があるのは2と3です。

1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人

2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

3 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人

国税庁「タックスアンサー No.1900」

ほとんどの人は副業を「雑所得」または「給与所得」として申告します。

副業がアルバイト等の「給与所得」の場合にはアルバイト先では年末調整を受けないので、年末調整済の本業給与と、アルバイト給与を合体してあらためて確定申告をする必要があります

誰かに雇われずに自分で仕事をしている副業で利益を出した場合には「雑所得」として確定申告をします。

しかし、副業の規模が大きくなってくると

・「事業所得」として「青色申告特別控除」などの税控除を利用したい

赤字が出た際には「給与所得」と損益通算したい

と思うこともあるのではないでしょうか。

開業届があっても「事業所得」と認められない場合

会社員の副業は、単に税務署に「開業届」を出しただけでは「事業所得」として認められず、「雑所得」とされる場合がほとんどです。

たとえば

ライターを本業とする個人事業主が200万円を稼いだら当然「事業所得」として申告できますが、会社員が副業ライターとして200万円稼いだ分は「事業所得」になるとは必ずしも言えない

のです。

会社員という本業があり、副業に割いている時間が本業に比べて少ないという状況であれば「事業として客観的に成立しているとは言えない = 雑所得」と税務署に判断される可能性が高いのです。

最近はこの傾向が厳しくなってきているようで、「給与所得」を「赤字の事業所得」で相殺して、最終的な所得税額を少なくしようとする手法を税務署が警戒しているからだと言われています。

副業でも「事業所得」と認められる場合

副業が順調に収益を伸ばして本業に迫るほど儲かっている、あるいは大きな設備投資をして経費がふくらみ副業が赤字になってしまったという人もいることでしょう。

会社員の副業でも「事業所得」と認められるのはどのような場合なのでしょうか。

その仕事が「事業所得」にあたるかどうかは、最高裁判所の判例や国税不服審判所の裁決などを見ると、次のようなポイントで判断されています。

・ 自己の計算とリスクにおいて、独立して営まれていること

・ 営利性・有償性があること

・ 反復・継続して業務があること

・ 取引に費やした精神的・肉体的労力の程度

・ 人的・物的設備の有無

・ 事業として客観的に成立しているか

参照:国税不服審判所

また、筆者が国税局に確認したところ、

副業の「雑所得」「事業所得」の区分は具体的な金額で区切っているわけではなく、個別の事例ごとに税務署が判断しているため、一律に「年間〇円稼いだら事業所得です」とは断言できない

という回答がありました。

個別の判断に関しては、管轄の税務署に直接問い合わせて確認してください。

管轄の税務署に問い合わせるには

直接税務相談

「自分の副業は事業所得になるのか」と疑問に思ったときには、管轄の税務署に直接相談するのが確実です(対面相談は要予約)。

自分の管轄の税務署は、国税庁のホームページで郵便番号を入力するとすぐに調べられます。

参照:国税庁

自身の副業の状況を簡単にまとめておくと相談する際にスムーズです。

・ 本業の年収と副業の年間売上額

・ 副業の種類や労働時間

・ 副業の外注費や事務所の有無

・ 取引先との契約書や請負書

「事業所得」と認めてられた相談日時と担当者名は記録する

税務署に相談したうえで副業が「事業所得」と認められたときには、相談日時と税務署の担当者名を必ず記録しておきましょう。

確定申告の際に「副業なら雑所得では」と税務署から指摘が入った場合でも、相談履歴があれば落ち着いて対応できるからです。(執筆者:元商工会職員 久慈 桃子)