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2025年から注目される年金の繰上げ受給 その3つの理由を解説

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2025年から注目される年金の繰上げ受給 その3つの理由を解説

公的年金の保険料を納付した期間や、国民年金の保険料の納付を免除された期間などを合算した期間が、原則10年に達している場合には、65歳になると国民年金から、「老齢基礎年金」が支給されます。

この支給要件を満たしたうえで、厚生年金保険に加入した期間が1か月以上ある場合には、65歳になると厚生年金保険から、「老齢厚生年金」が支給されます。

つまり厚生年金保険に加入していた方には、老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金という上乗せがあります。

現在は老齢厚生年金の支給開始年齢を段階的に、60歳から65歳に引き上げしている最中です。

そのため1961年4月1日以前生まれの男性、1966年4月1日以前生まれの女性は、65歳になる前に老齢厚生年金を受給できます。

この65歳になる前に支給される老齢厚生年金は、「特別支給の老齢厚生年金」と呼ばれております。

また特別支給の老齢厚生年金を受給するには、厚生年金保険に加入した期間が1年以上必要になるため、1か月以上の老齢厚生年金より、支給要件が厳しくなっていま。

具体的に何歳から受給できるのかについては、ねんきん定期便などを見るとわかります。

2025年からの年金売り上げ受給 

年金が増額する「繰下げ受給」、早く受給できる「繰上げ受給」

老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給開始を、1か月繰下げ(遅くする)すると、「繰下げ受給」の制度により、65歳から受給できる金額に対して、0.7%の割合で増えていきます

それに対して特別支給の老齢厚生年金は、受給開始を繰下げしても増えないため、所定の年齢から受給する必要があります。

老齢基礎年金と老齢厚生年金を繰下げできる年齢の上限は、今のところは70歳のため、最大で42%(5年 × 12か月 × 0.7%)増額します。

この2つの年金は、一緒に繰下げする必要はないため、どちらか1つだけを繰下げできます

一方で老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給開始を、1か月繰上げ(早くする)すると、「繰上げ受給」の制度により、65歳から受給できる金額に対して、0.5%の割合で減っていきます

繰上げできる年齢の上限は、いずれの年金も60歳のため、最大で30%(5年 × 12か月 × 0.5%)減額します。

この2つの年金は繰下げ受給と違って、一緒に繰上げする必要があるため、どちらか1つだけを繰上げすることはできません

特別支給の老齢厚生年金は繰上げできる

生年月日によっては上記のように、特別支給の老齢厚生年金を65歳になる前に受給できます。

こういった方は特別支給の老齢厚生年金の受給開始を、最大で60歳まで繰上げできます。

1か月繰上げすると、0.5%の割合で減っていき、65歳から受給できる老齢厚生年金も、同じ割合で減額されます。

また老齢基礎年金と特別支給の老齢厚生年金は、一緒に繰上げする必要があります。

ただ64歳から特別支給の老齢厚生年金を受給できる方が、2つの年金を60歳から受給した場合、老齢基礎年金は5年繰上げした場合の減額率が適用されます

それに対して特別支給の老齢厚生年金は、4年繰上げした場合の減額率が適用されるため、2つの年金を一緒に繰上げしても、それぞれの減額率が変わってきます

また特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に達した後は、老齢基礎年金だけを繰上げできます。

繰上げは減少、繰下げは微増という傾向がある

厚生労働省年金局が作成している、「平成30年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、受給開始時期の選択を終了した、70歳の老齢基礎年金受給者の繰上げ・繰下げ状況は、次のようになっております。

年金70歳の繰り上げ繰り下げ受給状況
≪画像元:厚生労働省(pdf)

下部の表を見てみると、「基礎のみ」と記載されているため、老齢厚生年金の上乗せがない、老齢基礎年金のみの受給者の、繰上げ・繰下げ状況を示しているようです。

そのため厚生年金保険に加入する会社員であれば、上部の表の方が参考になると思います。

ただいずれについても傾向は似ており、繰上げは減少、繰下げは微増という感じです。

今後の傾向について考えてみると、繰上げは減少が止まり、繰下げはさらに増加する可能性があります。

この理由として2022年4月から、繰上げした場合の減額率が、0.5%から0.4%に引き下げられます。

また2022年4月から、繰下げできる年齢の上限が、70歳から75歳に引き上げされ、さらに年金額が増えます。

60歳以降の賃金減少をカバーする2つの給付金

2つの給付金

雇用保険に加入した期間が5年以上ある方の、60歳以上65歳未満の賃金月額が、60歳到達時点の75%未満になった場合には、賃金月額の最大15%が「高年齢雇用継続基本給付金」として支給されます。

例えば60歳到達時点の賃金月額が40万円だった方が、60歳以降に24万円になった場合、60歳到達時点の61%以下になります。

このように61%以下になった時は賃金月額の15%が、高年齢雇用継続基本給付金として支給されるため、その金額は月3万6,000円(24万円の15%)です。

支給要件を満たしている場合には、65歳に達する月まで支給されるため、最大で216万円(3万6,000円 × 12か月 × 5年)を受給できます。

一方で60歳以降に退職した方が、雇用保険の基本手当を100日以上残して再就職し、新たに雇用保険に加入した場合には、「高年齢再就職給付金」が支給されます。

この支給要件や金額などは、高年齢雇用継続基本給付金とほぼ同じになります。

ただ高年齢再就職給付金が支給されるのは、基本手当の支給残日数が100日以上200日未満の場合、再就職日の翌日から1年を経過する日が属する月までになります。

また基本手当の支給残日数が200日以上ある場合、再就職日の翌日から2年を経過する日が属する月までになるため、高年齢雇用継続基本給付金より受給できる期間が短くなります

繰上げ受給が注目される3つの理由

高年齢雇用継続基本給付金と高年齢再就職給付金の支給率は、上記のように最大で、賃金月額の15%になります。

この15%が2025年4月から、10%に引き下げられるだけでなく、政府は2つの給付金を、いずれは廃止したい意向のようです。

また段階的に実施してきた、老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げが、男性は2025年に完了するため、65歳になるまでは無年金の時代がやってきます

これらに加えて2025年は、戦後すぐの第一次ベビーブームに生まれた「団塊の世代」(約800万人)が、後期高齢者(75歳)になります。

そのため社会保障費の急増が懸念されており「2025年問題」と呼ばれております。

この問題が周知されるようになると、公的年金が持続できるかわからないので、早く受給しておこうと考える方が、現在より増えるかもしれません

これまでに紹介した「2つ給付金の改正」、「支給開始年齢の引き上げの完了」、「2025年問題」の3つにより、2025年から繰上げ受給が注目される可能性があります。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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