株主優待に興味があっても、株を買った後に株価が下がって損をするのは避けたいと思います。

このような時に、「クロス取引」という方法を用いれば、株価下落のリスクを抑えながら株主優待を獲得できます。

そこで今回は、株主優待狙いの取引をする場合に、株価の下落リスクを回避する「クロス取引」について詳しく説明していきます。

クロス取引とは?

株主優待銘柄は「権利落日」に株価が下がる傾向がある

株主優待をもらうには、権利確定日の2営業日前の「権利付最終日」までに株式を保有しておく必要があります。

たとえば2020年11月末日が決算の銘柄は以下のようになります。

優待株は権利落ち日に株価が下がる傾向

株式を購入すればすぐに株主になれるわけではなく、引渡し期間にどうしても2営業日かかってしまいます

そのため11月末日が株主優待の権利確定日となっている場合は、11月26日までに銘柄を購入する必要があるのです。(2020年の場合)

そして人気の株主優待銘柄については、権利付最終日が近づくにつれて株価が上昇していく傾向があります。

これは株主優待を得るために、銘柄を購入する人が増えて需要が増すためです。

そして権利付最終日の翌日の「権利落ち日」になると、株価が急落してしまう傾向があります。

これでは、せっかく株主優待をもらっても株価が下がってしまい、含み損が発生してしまいます。

そこでこのような含み損を避けるために用いる方法が、「クロス取引」という方法です。

「クロス取引」で値下がりリスクを抑えられる

「クロス取引」とは株式の現物買い注文と、信用取引で売り注文を同じ銘柄・価格で行う取引方法です。

たとえば優待銘柄であるA株100株を権利付最終日に現物で1株=1,000円で買い、同時にA株を100株を信用取引で1株=1,000円で売り注文をします。

そして権利落ち日にA株が1株=900円に下がったとしましょう。

・ 現物買い:(900円-1,000円) × 100株=10,000円の損失

・ 信用売り:(1,000円-900円) × 100株=10,000円の利益

=現物買いの1万円の損失が、信用売りの1万円の利益と相殺される

こうすることで、もしA株の株価が下がったとしても、信用取引で売り注文をしているため利益が相殺されます。

株を保有していないのにどうして株を売れるのか、疑問に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。

これが信用取引と呼ばれるもので、株を保有していなくても証券会社から株を借りることで、このような取引が成立します。

クロス取引を行うには「信用取引口座」が必要

多くの方は証券口座を開設する際に、「特定口座」を開設されると思います。

しかし特定口座では信用取引を行えず、別途「信用取引口座」を開設する必要があるのです。

そして信用取引口座の開設は、文字通り「信用」という言葉が付くことから、個人情報などから審査が行われます。

審査に落ちてしまうと信用取引口座を開設できませんが、よほどのことがない限り、開設することは可能です。

証券会社によって審査基準が異なるため、気になる方は証券会社のHPなどで確認してみましょう。

クロス取引の3つの注意点

クロス取引には3つの注意点がある

信用取引で売り注文を行えばクロス取引ができるため、株主優待目当てでも株価の下落リスクを避けられます。

しかしクロス取引には3つの注意点があります。

【クロス取引の注意点】

1. 貸株料が発生する

2. 逆日歩に注意

3. 配当金はもらえない

1. 貸株料が発生する

まず1の貸株料とは、信用取引で証券会社から株を借りる場合、借りている期間に応じて発生する手数料です。

貸株料は証券会社や銘柄によって異なり、値動きの大きい新興市場の銘柄の方が高くなる傾向にあります。

中には年10%の貸株金利を支払う銘柄もあるため、信用取引を行う際はよく確認しておくといいでしょう

2. 逆日歩に注意

続いて2の逆日歩です。

逆日歩とは、信用売りに対する需要が増している時、証券会社で貸せる株がなくなると発生する手数料のことです。

証券会社は貸せる株に限度があり、足りなくなれば機関投資家などから株を借りてくる必要があります。

特に人気のある優待銘柄は、逆日歩になることもあるため注意が必要です。

3. 配当金はもらえない

そして最後に3の配当金がもらえない、むしろ支払う必要が出てきます

信用売りをしていると、株を借りた証券会社に対して配当相当額(配当調整金)を支払わなければなりません。

この配当調整金は、通常の配当金を受け取るタイミングと同時に支払うため、クロス取引では株主優待をもらえても、配当金を受け取れないことを覚えておきましょう。(執筆者:福森 俊希)