コロナウイルス感染症の影響で住宅ローンの返済条件を変更されている方が増えています。
その住宅ローンを中高年で利用開始される方が以前よりも増えているというデータもあります。
そこで今回は、中高年で住宅購入する方に向けてそのポイントと注意点を書いてみたいと思います。
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目次
老後も住宅ローンを返済する人が増加する見込み
2020年10月5日の日本経済新聞朝刊の報道によると、2020年度の住宅ローンの利用者のローン完済計画の平均年齢が73歳であるということです。
これは、代表的な住宅ローンであるフラット35を提供する住宅金融支援機構の資料の2000年度から直近までの利用状況の調査結果から判明したデータです。
ここ20年間で平均年齢が5歳上昇しているということで、高齢期まで住宅ローン返済を継続する方が今後も増加していくことが予想されます。
中高年で住宅購入する場合の注意点
このような状況も踏まえて、中高年で住宅購入する場合の注意点を購入に至る前の時系列に沿ってまとめてみました。
具体的には以下の4点です。
1. そもそも買う必要があるのかを再度検討する
まずは、そもそも住宅を購入する必要があるのかどうかの検討が必要です。
一般的に言って、特に地方ではまだ、住宅はローンを組んででも「家を購入するのが当たり前」とされている傾向にあります。
そのような状況では自分では本当は購入したくないのに、周囲に流されて購入しているだけというケースもないとは言えません。
また、コロナ禍で今後の先行きも不透明な中では、長期間のローンを組むことのリスクが以前に増して高まっていることも事実です。
では、高齢期も賃貸物件に住めばよいのかというと、必ずしもそうとは言えず、その場合にも注意点があります。
賃借料は老後の生活資金の中で安い費用とは言えないうえに、物件を借りるハードルも若い時に比べて高くなる傾向にあります。
このように、購入する場合、賃貸でこのまま住み続ける場合、いずれのケースでも注意点があるのです。
これらの点も踏まえながら、
ことが大切です。
2.「終の棲家」の視点で購入する
冷静に考えて購入する判断をした場合には、次に住宅ローン完済後にその住宅をどうしたいのかも含めて、物件選びをするとよいことでしょう。
老後に住宅ローンを完済する場合、
ことが大切です。
今の生活重視での購入の場合、通勤やお子さんの教育を意識して選ぶ視点も重要になることでしょう。
しかし、老後生活を意識し物件を選ぶ際とは違った観点が必要になるので、これらと分けて考えることが重要です。
具体的には、駅から近い、病院や薬局が近くにある、などといった視点も意識した地域や立地を選ぶことを意識しましょう。
3.「借りられる金額=返済できる金額」ではない
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物件のおおよその検討がついて、実際に住宅ローンを組む際には金融機関からの借入額に注意が必要です。
具体的には、
です。
お金を貸す金融機関からすれば、たくさん貸したほうが商売になります。
また、今の金利情勢では住宅ローンは金融機関にとって収益源の1つです。
こうした背景から、支払い余力以上のお金を貸す傾向はないとは言えず、コロナ禍で返済条件を変更される方が増えているのもその裏打ちだと考えることもできます。
4. 老後のローン返済を少しでも軽くできないかを調べる
金融機関からの住宅ローンの借入を検討する場合には、普段利用している金融機関以外でもっと有利に借入できるところはないかのも検討するとさらによいことでしょう。
・ 頭金を用意してローン金利が安くなるところはないか
など、いろいろな条件で複数の金融機関を検討すると、より有利な条件での借り入れができるかもしれません。
生活の方向性が明確になってプラス
住宅購入は人生最大の買い物の1つです。
ご自身がそのような生活をしていきたいのか、ご家族で話し合うこと自体も今後のライフプランを検討するうえで有意義です。
仮に購入しないという判断をした場合にも、今後の生活の方向性が明確になってプラスになります。
中高年で住宅購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。(執筆者:元証券会社勤務 佐藤 彰)