「Go To Eat」「Go To トラベル」は利用しましたか。

利用者には「お得感」があり、地域や飲食店を助ける一石二鳥の取り組みですが、実は課税対象であることはご存じでしょうか。

安くなるからと大盤振る舞いしすぎると、年末調整や確定申告で泣くことになるかもしれません

今回は、「Go To Eat・トラベル」をどのくらい使うといくら税金がかかるのかを詳しくお話しします。

Go To Eat・トラベルの何が課税対象なのか 他の「一時所得」がある場合には要注意

Go To Eat・トラベルの「何が」課税対象なのか

Go To Eatは農林水産省、Go To トラベルは国土交通省観光庁が管轄する事業です。

それぞれの公式サイトで「国による支援額は税務上、利用者個人の一時所得として所得税の課税対象である」ことが明らかになっています。

参照:国土交通省 観光庁「Go To トラベル事業 Q&A 集(11月2日時点)(pdf)

参照:農林水産省「Go To Eat キャンペーン事業に関するQ&A (pdf)

Go To キャンペーンの仕組み

何が課税対象なのかをお話しする前に、それぞれの仕組みをおさらいしましょう。

なお、情報は2020年11月5日時点のものです。新型コロナウイルス感染症の動向により変更される可能性があります。

Go To Eat キャンペーンとは

Go To Eat
≪画像元:農林水産省

コロナウィルス感染症予防対策を徹底している飲食店や生産農家の支援策です。利用者にとっては安く食事ができる嬉しいキャンペーンです。

具体的な支援策内容は次の通りです。

プレミア付き食事券

購入額の25%が上乗せされた食事券の販売

【利用方法】前もって食事券を購入し、登録飲食店で支払時に使用(おつり対応不可)

【割引額】実質25%オフ

【購入制限】1回の購入は2万円まで

オンライン飲食予約ポイント

オンライン予約して利用した飲食店で、次回以降に利用できるポイントが付与される

【利用方法】提携予約サイトを経由して登録飲食店を予約、来店確認することで付与

【ポイント額】昼食時間帯500円分・夕食時間帯1,000円分

【ポイント付与上限】1回の予約あたり10人分(最大1万円分)

Go To トラベル キャンペーンとは

Go To トラベル
≪画像元:Go To トラベル事務局

観光地や周辺地域の活性を助ける支援策です。こちらも、利用者にとっては安く旅行ができる嬉しいキャンペーンです。

具体的な支援策内容は次の通りです。

旅行代金割引

国内旅行を対象に、宿泊・日帰り旅行代金の35%を割引

【利用方法】旅行代理店、予約サイト、あるいは対象宿泊施設に直接申し込み

【割引額】旅行費の35%※

【利用上限】1人1泊2万円まで(日帰り旅行は1万円)

※旅行費とは、「宿泊費」または「宿泊+交通セットプラン価格」、あるいは「日帰り交通費+旅先で消費する食事や観光体験セットプラン価格」のこと。セットプラン以外に個別手配する交通費等は対象外。

地域共通クーポン

上記旅行期間中に、旅行先および隣接都道府県で利用できるクーポン券

【利用方法】対象旅行申し込みに伴い配布

【割引額】対象旅行代金の15%(1,000円単位の商品券、端数は四捨五入。おつり対応不可)

課税対象になるのは「国からの支援金」

利用者の手元に現金として渡らないため「支援金」と言われてもピンとこないかもしれません。

具体例を通して、支援金がいくらになるのかを見てみましょう。

例1:「Go To Eat」25%分のプレミアがついた商品券を2万円分購入した場合

【プレミア商品券販売価格】2万円

【利用金額】2万5,000円分

【支援金】5,000円

例2:「Go To Eat」対象店舗を予約して、夕食時間帯に利用。4名分のポイントを付与

1,000円 × 4名分 = 4,000円

【支援金】4,000円

例3:「Go To トラベル」宿泊費+交通費セットプラン 2泊3日で4万円。大人2名で利用

4万円 × 2名 = 8万円

【35%割引後支払額】5万2,000円(割引額2万8,000円)+ 12,000円分のクーポン

【支援金】割引額2万8,000円 + クーポン1万2,000円 = 4万円

一時所得で受け取った額が50万円以上になった場合に課税対象

支援金は、一時所得として所得税の課税対象になります。

しかし、全額に課税されるわけではありません。一時所得から課税対象金額(課税所得)を算出する方法は次の通りです。

課税所得 =(一時所得合計額 – 特別控除50万円)× 1/2

参照:国税庁

たとえば、前述の例1~3を全て利用した場合の支援金合計額は4万9,000円ですが、特別控除額50万円と相殺できる範囲での利用ならば、所得税が課されることはありません

では、いくら以上だと課税されるのかを考えてみましょう。

課税される可能性のある使い方

少し強引な設定ですが、たとえば、長男家族と次男家族を誘って豪勢に旅行した場合、あるいは家族分のポイントを連日貯め続けた場合などには金額が大きくなります。

例4:「Go To トラベル」宿泊費+交通費セットプラン 大人2万円 小人1万円。大人6名、小人4名、7泊8日で利用

(2万円 × 6名 + 1万円 × 4名)× 7泊= 112万円 

【35%割引後支払額】72万8,000円(割引額39万2,000円)+ 16万8,000円分のクーポン

【支援金】割引額39万2,000円 + クーポン16万8,000円 = 56万円

【課税所得金額】(56万円 – 50万円)× 1/2 = 3万円

例5:「Go To Eat」6人家族で、昼夜ポイント付与を60日分くり返した場合

昼食時500円 × 6人分 + 夕食時1,000円 × 6人分)× 60日 = 54万円 

【支援金】54万円

【課税所得金額】(54万円 – 50万円)× 1/2 = 2万円

課税所得が生じても申告義務のない場合もある

計算上はこの3万円・2万円に所得税がかかりますが、給与所得者の場合、一時所得の課税所得金額が20万円以下の際には申告義務はありません

課税所得金額が20万円を超えるには、一時所得が90万円必要です。

支援金を90万円受けるには、

Go To トラベルで旅行費用180万円使う

もしくは

Go To Eatで90万円分のポイントを貯める

のいずれかです。

1回あたり1人あたりの上限金額も設定されているため、例4~5のように「大人数」で連泊あるいは連日利用しなければそこまでの金額には届きません

なかなか難しそうですね。

他の一時所得があったときには要注意

すまい給付金

一時所得の計算では、Go To関連以外の一時所得も全て合算します。もし、他の一時所得がある場合には合計額に注意が必要です。

どのような収入が一時所得になるのか

一時所得とは「労働の対価以外で受け取る継続性のない所得」を指しています。国からの給付金の他には次の5つが該当します。

・ 懸賞や福引きの賞金品

・ 競馬や競輪の払戻金

・ 法人から贈与された金品

・ 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

・ 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等

生命保険や損害保険の満期が重なった場合は要注意

一時所得は「その収入を得るための出費」をマイナスして考えます。

つまり、生命保険・損害保険の一時金・満期返戻金額から、受取時までの保険料払込総額を引いた差額が「一時所得額」です。

近年の低金利では50万円以上増える保険は望めなくなりましたが、金利がよかった時代に加入した個人年金や終身保険などの「お宝保険」では満期金・返戻金が保険料総額を大きく上回る可能性が高いため、気をつけましょう

すまい給付金を受け取っていた場合も要注意

国土交通省管轄の住宅取得時の負担軽減対策である「すまい給付金」は最大額が50万円で、こちらも税法上は「一時所得」です。

もしも、すまい給付金を受け取っている場合には、他の一時所得が加算されて50万円を超えた分が課税所得です。気をつけましょう。

特別定額給付金は非課税

いわゆる「コロナ給付金」「10万円給付金」と呼ばれている「特別定額給付金」は非課税です。

6人家族が受け取った場合は50万円を超えてしまいますが、税金の対象にはなりませんのでご安心ください。

通常の範囲で利用する分には気にしなくても大丈夫

「Go To Eat・トラベルの給付金に所得税がかかる」とは言っても、それだけで課税対象になるほど使うことはなさそうです。

ただし、他に一時所得があるかどうかだけは確認しておいいたほうが安心です。

せっかくのキャンペーンです。感染症対策を心がけたうえで、お得に楽しみましょう。(執筆者:仲村 希)