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親知らずの「抜歯」で「給付金」が支払われる保険、支払われない保険

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親知らずの「抜歯」で「給付金」が支払われる保険、支払われない保険

親知らずを抜いたことはありますか。

乳歯が永久歯に生え変わる際には自然に抜けることが多いですが、親知らずは歯科医や口腔外科で抜いてもらう場合がほとんどです。

その処置は、実は「抜歯手術」というれっきとした手術です。手術費用は医療保険の支払対象になるのでしょうか。

今回は、「抜歯」で支払われる保険、支払われない保険について、詳しく解説します。

親知らずの「抜歯」で 「給付金」が支払われる保険

手術給付金が支払われる条件を確認する

まずは、手術を受けた際に支払われる給付金の基本的な条件を確認しましょう。

医療保険の手術給付金というのは「治療を目的とした手術」にのみに支払われるものであるというのが大前提です。

検査のための手術や美容整形目的の手術などは給付金の支払対象外です。

しかしながら、治療を目的としているにも拘らず、「支払対象外手術」としてあらかじめ除外されているものがあります

「支払対象外」手術一覧

・ 創傷の処理:切り傷などの傷口を縫い合わせる術

・ 皮膚切開術:皮膚を切開して、膿瘍(うみ)を体外に出す手術。魚の目やタコを切除する術

・ デブリードマン:壊死などの損傷した組織や異物などを傷口から除去する術

・ 骨・軟骨・関節の非観血的整復術、非観血的整復固定術および授動術:脱臼などで、骨や関節のずれを戻す術や、骨折などで添え木やギプスで固定するメスを用いない術

・ 外耳道異物除去・鼻内異物摘出術:耳や鼻の中から、異物を取り出す術

・ 抜歯手術:虫歯や親知らず、歯周病治療などで歯を抜く術

保険会社によって表記が異なる場合はありますが、ほとんどの会社で共通しています。

約款だけではなく、パンフレットなどにも記載されていることが多いので一度は確認しておきましょう。

支払対象外手術でも給付金が支払われる場合

保険会社や保険商品によっては「支払対象外」よりも優先される別の条件が設定されているものがあります

たとえば、次のような保険です。

「入院を伴う手術は、内容を問わず給付金支払い対象」という保険

通常の抜歯手術は外来で行われることが多いですが、歯の状態や年齢、健康状態などによっては入院を伴う場合があります。

「入院を伴う手術」という条件が「支払対象外」よりも優先される保険では、抜歯手術でも給付金が支払われます。

ただし、

・ 入院の何日目からが支払対象になるのか

・「日帰り入院」は対象になるのか

を確認しておくことが大切です。

「これらの手術(対象外手術)を外来で受けた場合は、給付金の対象外」と書かれている保険

表記は異なりますが、「外来時:対象外」「入院時:支払対象」という意味は同じです。

また、このように「入院を伴うか否か」が給付金支払条件である保険では、親知らず以外の抜歯、抜歯以外の手術でも支払対象です。

約款に「別途支払い対象手術」が記載されている保険

「給付金の支払対象となる手術名」が約款に明記されているタイプの保険があります。

そこに「抜歯手術(埋伏歯)」と書かれていた場合には、顎の骨や歯肉に埋まっている親知らず(埋伏歯)の抜歯のみに給付金が支払われます

通常の抜歯では、支払われません。この場合の入院の有無は、保険ごとの別途支払条件によります。

抜歯以外の手術も同時に行われた場合

状況によっては、抜歯だけではなく他の手術を同時に受けることがあるかもしれません。

時期を同じくして2種類以上の手術を受けた場合には、いずれか1種類のみに手術給付金が支払われます

もしも、もう一方の手術が給付金支払い対象手術であれば、そちらの給付金が支払われます。

しかしながら、「親知らず(埋伏歯)」は顎の骨や歯肉に埋没しているため、そもそもが骨の開削を伴う大がかりな手術になる可能性が高いです。

自分では「大きな手術だ」「他の手術も行った」と感じても、診療報酬点数表上「抜歯手術」の範疇の場合には支払対象には該当しません

参照:一般社団法人 生命保険協会「[事案 23-90]手術給付金請求 (pdf)

保険内容と手術内容の確認をする

保険内容と手術内容の確認をする

もしも、入院を伴う抜歯手術や歯肉に埋まっている親知らずを抜歯する大がかりな手術を受けて、まだ給付金を請求していない場合には手持ちの保険内容を確認しましょう。

手術の証明書類があるかどうかの確認

正式な術名が分からないと、支払対象かどうかを判断できません。

また、「日帰り入院」で受けたつもりが「外来」だったということにならないためにも、まずは手術の証明書類を探しましょう

診断明細書や手術同意書などが残っていると、術名や日程、入院かどうかなどが分かります。

過去3年以内の請求は、今からでも遅くない

保険金や給付金の請求は3年以内であればいつでもできます。

(消滅時効)
第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

保険法 第五章 雑則

保険会社によっては、

契約が継続中で、請求に必要な書類が整っているなどの条件を満たせば、3年以上経っていても請求できる

場合があります。

ただし、病院のカルテ保存義務は5年(医師法第24条第2項)です。あまりに時間が経っている場合には、手術の書類を整えることが難しいかもしれません。

支払対象かどうかの確認

手術名が分かったら、お手持ちの保険が支払条件に合致しているかどうかをチェックしましょう。

手術給付金の支払対象外であった場合にも、入院を伴っていれば「入院給付金(日額・一時金)」の対象となる可能性が残っています。

忘れずに確認しましょう。

痛い思いをした分の給付金をしっかりと請求する

以前、親知らずを抜歯したことがある人やこれから抜歯する可能性がある人は、ぜひ手持ちの保険を確認してください。

生命保険は数年ごとに大きな改定が行われますが、年に数度マイナーチェンジもされています。

見直しや追加をしていないと、契約内容には反映されません。パンフレットではなく、お手持ちの保険内容を見ることが重要です。

分からない場合には相談窓口などで聞いてしまうと簡単です。

せっかく加入しているので、受け取るべき給付金はしっかりと請求しましょう。(執筆者:仲村 希)

《仲村 希》
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仲村 希

仲村 希

国内大手保険会社にて生命保険募集人と損害保険代理店を兼務、外資大手生命保険会社では顧客相談室クレーム対応係に着任。たくさんのお客様のお話をうかがって、保険に対する誤解が根深いことを痛感しました。退職後は「保険ってわからない。めんどうくさい」を少しでも解消できればと、保険記事の執筆を開始。ファイナンシャルプランニング2級技能士。 寄稿者にメッセージを送る

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