自営業者・会社員・公務員などの区分に関わらず、条件を満たせば受給できる公的年金が「老齢基礎年金」です。

「老齢基礎年金」の満額は約78万円で、定年後のゆとりあるセカンドライフを送るのに欠かせない資金だと言えます。

本記事では、「老齢基礎年金」を満額受給できる条件や計算方法について解説していきます。

10年に満たない場合の合算対象期間、免除期間がある場合の計算例

「老齢基礎年金」は「フルベンション減額方式」

「国民年金」の保険料は収入に応じて変動するのではなく、一律1万6,540円(令和2年度)です。

従って、「老齢基礎年金」は、納めた保険料に比例して将来の年金額が増加していく仕組みではありません

20~60歳までの40年間のすべての期間に保険料を納付した場合に満額が支給され、

未納期間がある場合には、満額から未納期間分を減額する「フルベンション減額方式」という仕組み

をとっています。

「老齢基礎年金」の計算式

「老齢基礎年金」の計算式は次のとおりです。

【「老齢基礎年金」の計算式】

「老齢基礎年金」の計算式

【月数の評価】

(1) 保険料納付済期間の月数

(2) 1/4免除期間の月数 × 7/8※

(3) 半額免除期間の月数 × 3/4※

(4) 3/4免除期間の月数 × 5/8※

(5) 全額免除期間の月数 × 1/2※

※平成21年4月以降の値

上記の計算式の通り、480月に満たない場合にはその分が減額されます。

「老齢基礎年金」の受給要件

年金額の計算方法も大切ですが、年金の受給要件も頭に入れておきましょう。次の「老齢基礎年金」の受給要件を確認してください。

「老齢基礎年金」を受給するには、次の (1) ~ (3) のすべての要件を満たす必要があります。

【「老齢基礎年金」の受給要件】

(1) 65歳に達した者

(2) 保険料納付済期間または保険料免除期間を有していること

(3) その期間を合算して10年以上であること

(2) は、次の期間を合算して期間を満たす必要があります。

合算可能な期間

次の「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」を合算して10年以上あれば条件を満たせます

それぞれにどういった期間が該当するのかを見ていきましょう。

保険料納付済期間

・ 第1号被保険者として保険料を全額納付した期間

・ 第2号被保険者のうち20歳以上60歳未満の期間

・ 第3号被保険者としての期間

保険料免除期間は、第1号被保険者のうち、保険料の納付が全額もしくは一部免除された期間を言います。

具体的には次のようなものが、免除期間に該当します。

保険料免除期間

・ 全額免除期間
・ 3/4免除期間
・ 半額免除期間
・ 1/4免除期間

一部免除の場合には、それぞれの免除されていない部分の保険料が納付された場合に限り、保険料免除期間となります。

以上の期間を合算して10年以上あれば受給要件を満たすことになりますが、それでも10年に満たない場合があり得ます。

その場合には、次の合算対象期間も通算して10年以上の期間があれば「老齢基礎年金」の受給権を得られます

受給要件の期間が10年に満たない場合

合算対象期間はカラ期間とも呼ばれ、受給要件の期間には反映されますが「老齢基礎年金」の支給額には反映されないことに注意が必要です。

主な合算対象期間

主な合算対象期間を見ていきましょう。

昭和61年4月1日以後の期間

・ 国民年金に任意加入することができた期間(60歳未満の期間に限る)

・ 第2号被保険者の20歳未満の期間および60歳以後の期間

昭和36年4月1日以後昭和61年3月31日以前の期間

・ 国民年金に任意加入することができた期間

・ 昭和36年4月1日以後に日本に住所を有さず、日本国籍を有していた20歳以上60歳未満の期間

・ 昭和36年5月1日以後、20歳以上65歳未満の間に日本国籍を取得し、次の (1) または (2)の期間のうち20歳以上60歳未満の期間

(1) 昭和36年4月1日から昭和56年12月31日までの日本に住所を有していた期間のうち、国民年金の被保険者とならなかった期間

(2) 日本に住所を有しなかった、昭和36年4月1日から日本国籍を取得した日の前日までの期間

以上を踏まえて、実際に「老齢基礎年金」の計算を例に沿って解説していきます。

「老齢基礎年金」の計算例

「老齢基礎年金」の計算例

480月分のすべての期間で保険料を納付していれば、令和2年分の「老齢基礎年金」は満額の78万1,700円です。

満額の場合

【前提】保険料納付済期間:480月

「老齢基礎年金」の計算式に当てはめると(100円未満四捨五入)

78万900円 × 1.001 × 480/480月 = 78万1,700円

免除期間がある場合

【前提】
保険料納付済期間:240月

半額免除期間:120月

「老齢基礎年金」の計算式に当てはめると(100円未満四捨五入)

78万900 × 1.001 × 330/480月※ = 53万7,400円
※半額免除期間の月数評価

120月 × 3/4 = 90月

240月(保険料納付済期間)+ 90月(半額免除期間)= 330月

免除期間がある場合には月数評価の計算が必要なので、しっかりと押さえておきましょう。

保険料の免除期間にある人は算出方法が煩雑

ここまでをおさらいすると次の通りです。

・「老齢基礎年金」は、保険料の未納分を減額する「フルベンション減額方式」

・ 保険料免除期間を有している場合は、月数評価が必要

・「老齢基礎年金」は、保険料納付済期間と免除期間を合算した期間が10年以上必要

・ その期間が10年に満たない場合でも、合算対象期間を通算して10年以上あれば受給権を得ることが可能

・ 合算対象期間は、受給要件の期間には通算されるが、年金額には反映されない

「老齢基礎年金」は、個人事業主でも会社員でも保険料を払っていれば受給できるため、ほとんどの人が知っておくべき知識だと言えます。

特に保険料の免除期間がある方は、算出方法が煩雑です。本記事を役立ててください。(執筆者:社会保険労務士 須藤 直也)