社会保険料の中で健康保険料と厚生年金保険料は、一年間同じ給与の額で計算されています。

毎月給与の額は変わるのにおかしいと思ったことはありませんか?

社会保険料の計算は会社が標準報酬月額を使って毎月給与から天引きしていますが、その計算の基となる標準報酬月額を自分で調節することは可能です。

そこで、まずは社会保険料の標準報酬月額がどのように決まるのか、そしてそれを調節する方法をご紹介します。

* 報酬額とは給与のことで、社会保険料では報酬という言葉を使用するので、以下の文章では給与ではなく、報酬という言葉を使用します。

健康保険料と厚生年金保険料

健康保険と厚生年金の金額ってどうやってきまる

厚生年金保険料は、全国一律の保険料率ですが、健康保険は大きく2つに分かれます。

1. 大企業が運営する会社独自の健康保険組合で、保険料率等は会社により異なります。

2. 主に中小企業が加入する協会けんぽで都道府県ごとに保険料率は異なります。

そこで健康保険については、加入者が多い協会けんぽについて説明します。

健康保険料と厚生年金保険料は、1年間同じ報酬額で計算されます。

雇用保険料は、毎月実際に支払われる報酬額で計算されるので、月によって保険料は異なります。

1年間同じ報酬額とはどのように計算される?

毎月同じ報酬額は標準報酬月額といい、まず報酬月額を算出します。

報酬月額とは、4月、5月、6月の実際に支払われた報酬額の平均です。

ここで使用される報酬額は、基本給だけでなく各種手当や残業代も含まれます

この報酬月額をいくつかの等級に区分された標準報酬月額等級にあてはめて標準報酬月額を決定し、この額に保険料率を乗じて保険料が計算されます。

また会社は、毎年7月1日~10日の間に報酬月額等を記載した算定基礎届を日本年金機構に提出し、この届に基づいて1年間の標準報酬月額が決定されます。

参照:日本年金機構厚生年金保険料額表(pdf)

【例】

4月 報酬額(給与) 30万円
5月 報酬額(給与) 34万円(残業代4万円)
6月 報酬額(給与) 32.6万円(残業代2.6万円)

合計 96.6万円

 96.6万円 ÷ 3か月=32.2万円

・ この場合の報酬月額は32.2万円

・ 標準報酬月額は、31万円以上~33万円未満の等級に当てはまる32万円

・ この32万円に保険料率をかけて毎月の健康保険料と厚生年金保険料が決定

・ 保険料の半分は会社が負担

5月と6月の残業で毎月の報酬額が異なっていますが、残業がなければこの場合の報酬月額(報酬額の平均)は30万となり、標準報酬月額は30万円となります。

注意したい報酬月額

ここで認識していただきたいのは、報酬額とは実際に支払われたもので、報酬月額とは、4月、5月、6月の3か月の平均額です。

この報酬月額の等級から標準報酬月額が決定します。

報酬額は毎月残業時間によって変わりますが、標準報酬月額は大幅に報酬額が変化しない限り1年間同じです。

健康保険料と厚生年金保険料の計算の基となる報酬です。

私たちが気を付けたいのが、この標準報酬月額を計算するときに使われる4月、5月、6月の報酬額です。

報酬の中で基本給や各種手当は、ほとんど変動はありませんが、残業代は月により変動します。

4月、5月、6月に残業が多ければ、自然と報酬月額が高くなり、標準報酬月額も高くなります。

残業が少なければ標準報酬月額は低くなります

毎月同じように残業があれば、標準報酬月額と報酬額にそれほど差はありません。

しかし、残業が月によって異なる場合には、毎月の報酬がそれほど高くはないのに、高い保険料を支払うことになります。

健康保険料と厚生年金保険料は残業代がカギ

健康保険料と厚生年金保険料は、4月、5月、6月の報酬額の平均で決まるのであれば、その3か月の残業を調節することで、標準報酬月額を低くできます。

ただし、4月、5月、6月と言っても、実際に報酬が支払われるのは、翌月の会社が多いため、実際には3月、4月、5月の報酬額で平均を算出している会社が多数です。

そこで、会社がどの3か月を用いて計算をしているのか確認をする必要があります。

健康保険料と厚生年金保険料の計算の仕組みが理解できても、個人で残業を調節するのは難しいです。

この仕組みを利用して、会社自体が社会保険料を安くするために、あえて計算期間の残業を調節している会社もあります

社会保険料は、会社も半分負担しているので安くなれば経費削減につながるからです。

この計算期間の残業が他の月と比べて少ないと感じたら、会社自らが調節しているかもしれません。

ただし、厚生年金保険料を安くしてしまうと将来もらえる年金も減ってしまいます

厚生年金は、支払った保険料と加入期間から年金額が計算されるからです。

したがって、保険料と年金のバランスを考えることも必要です。(執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵)