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【2024年~従業員数51人以上の企業に適用範囲拡大】パート社員が「社会保険」に加入するメリット

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【2024年~従業員数51人以上の企業に適用範囲拡大】パート社員が「社会保険」に加入するメリット

2020年5月29日に「年金制度改正法」が成立して、社会保険の適用が拡大されることになりました。

これまでは、従業員数501人以上の企業が対象でしたが、法改正により、2022年10月は従業員数101人以上、2024年10月には51人以上に拡大していく予定です。

「うちの会社は小さいから大丈夫」と思っていても、2024年10月には多くの中小企業が対象になります。

そこで、パート社員にとって社会保険に加入することでどんなメリットがあるのかを説明します。

社会保険が適用されるパート社員

パート社員であっても、企業と常用的使用関係にある場合には加入しなければなりません。

常用的使用関係にあるかどうかは、労働時間と労働日数の両方が正社員の3/4以上ですが、これはあくまでも目安で就労形態、勤務内容等から総合的に判断します。

また、従業員数501人以上か、500人以下でも労使が社会保険に加入することに合意すれば、正社員の労働時間および労働日数が3/4未満であっても以下の4つの要件をすべて満たすパート社員は社会保険に加入しなければなりません。

・ 週の労働時間が20時間以上

・ 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)

・ 雇用期間が2か月超見込まれる

・ 学生以外

なお、従業員の人数は、現在はパート社員を除く正社員でカウントしていますが、2022年10月からは、正社員+加入要件を満たすパート社員の人数で判断されます

「パート社員が多いから大丈夫」とはなりませんので、注意が必要です。

扶養の範囲内で働きたい場合

扶養の範囲内で働きたい場合

パート社員の場合、配偶者の扶養の範囲内で働きたいという希望は多いものです。

しかし、社会保険の適用拡大に伴い、扶養の範囲内である130万円未満であっても加入せざるを得ないケースがでてきます

そのために扶養で働こうと思うのであれば106万円未満で働くしかありませんが、今までと比べて収入が減ってしまいます

そこで、あえて従業員数51人未満の会社に転職を考えるのも1つの方法かもしれません。

しかし、果たして転職は可能でしょうか。確かに仕事を選ばなければ転職は可能ですが、今までの経験を活かせなければ当然のことながら時給は低くなってしまいます。

やはり転職は最もまずい選択と言えるのではないでしょうか。

社会保険に加入するメリット

社会保険に加入するメリットは、ずばり「厚生年金保険」と「健康保険」の被保険者になれるということです。

人生100年時代と言われ、老後破産という言葉も聞かれます。

豊かな老後の基本は公的年金です。公的年金には「国民年金保険」と「厚生年金保険」があります。

扶養のままで働くと確かに第3号被保険者として保険料を支払わなくても国民年金に加入していられますが、国民年金保険料を納めて得られる「老齢基礎年金」の受給額は令和3年度の満額で年間約78万円です。

しかし、

「厚生年金保険」に加入することで65歳以降両方の年金制度から年金が支給される

のです。

「厚生年金保険」のよいところはそれだけではなく、病気やけがで障害を負った際に「障害厚生年金」が支給されるのですが、これが手厚い保障で安心です。

確かに国民年金にも「障害基礎年金」がありますが、1級と2級しかありません。つまり、障害が軽い場合には支給されないのです。

ところが、「障害厚生年金」は3級まであり、さらに障害の程度が低い場合には「障害手当金」という一時金もあります。障害を負った場合には安心ですね。

さらに、

健康保険の被扶養者ではなく、被保険者になることで「傷病手当金」の対象

にもなります。

「傷病手当金」は、私傷病で会社を休まざるを得なくなった際に休業4日目からお給料の日額(正確には標準報酬日額)の約2/3が最大1年半支給されるという制度です。

さらに、この

「傷病手当金」は非課税ですので実際にはほぼ給料の額と変わらない金額が支給される

のです。

実は、この「傷病手当金」があるので、民間の医療保険に加入する場合には最低の保険料でよいと言われているほどです。つまり、医療保険の保険料負担も少なくなるわけです。

社会保険加入のデメリット

社会保険加入のデメリットには、保険料負担があげられます。お給料の約15%が「厚生年金保険料」と「健康保険料」として徴収されます。

また、配偶者の扶養から外れることにより配偶者の税金が増える可能性があります。

ただし、配偶者控除の他に103万円を超えた場合には配偶者特別控除の対象となります。控除できる金額は段階的に減少しますが、給与収入150万円までは納税者本人の所得から控除できます。

配偶者特別控除

配偶者の合計所得金額により納税者の所得から控除される金額が変わってきます。

配偶者特別控除の額は段階的に減少
≪画像元:bengo4.com

勤務時間を増やして自分自身の収入と年金を増やす

2024年の社会保険加入拡大を見据えて扶養から外れてもっと働く時間を増やしてみませんか。

一般的に多くの企業は、扶養の範囲内で働きたいというパート社員の扱いに悩んでいます。年末になると収入の調整をして休むパート社員が多くなるので困るというものです。

そこで、今から少しずつ働く時間を増やしていくのはどうでしょうか。パート社員の場合、1年契約で更新を繰り返している方が多いと思いますので、その更新の際に「もっと働きたい」という希望を伝えます。

企業も働く時間が長いパート社員にはいろいろと配慮していますので待遇は今よりぐっと良くなり、さらには正社員への道も開くかと思います。

社会保険加入拡大を1つの契機として、自分自身の収入と年金を増やして豊かな老後を目指してみませんか。(執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵)

《菅田 芳恵》
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執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵 菅田 芳恵

グッドライフ設計塾 代表。大学卒業後、証券会社、銀行、生保、コンサルティング会社勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立開業。その後さらに6つの資格を取得。現在、13の資格に裏打ちされた様々な知識を活かして、企業コンサルティング、研修講演講師、コラム執筆、労働トラブルや資産運用の相談対応、キャリアカウンセリング、心の健康に関するカウンセリング等幅広く活動。 <保有資格>:特定社会保険労務士、1級FP技能士、CFP、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、ハラスメント防止コンサルタント、医療労務コンサルタント、知的財産管理技能士等 寄稿者にメッセージを送る

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