現在、株取引と同じように、REIT(リート)が注目されています。
いわゆる大家さんが家賃収入を得られる不労所得の不動産投資には、憧れる方がいるかもしれません。
しかし、リスクと物件選定や管理維持の労力を考えて躊躇している方もいることでしょう。
一方で、REITには、
・ 少額から投資ができる
・ 管理などの維持はしなくてもよい
などの特徴があります。
コロナ禍において大きな利益の出たREITもありました。
実際に投資してプラスの出た筆者が、J-REITの魅力と運用益を紹介します。
目次
REIT(リート)とは
REITは、「Real Estate Investment Trust」の略です。
不動産投資信託のことで、投資家からお金を集めてビル、マンション、商業施設、ホテルなどを購入して利益を分配する金融商品で、1960年にアメリカではじまったと言われています。
具体例:「森ヒルズリート投資法人 (3234)」
わかりやすく、「森ヒルズリート投資法人 (3234)」を例に説明します。

1口あたり15万5,200円で、分配金の利回りは3.75%です。

「森ヒルズリート投資法人 (3234)」の不動産ポートフォリオは、オフィスビルだと、六本木ヒルズ森タワー、アーク森ビル、後楽森ビル、赤坂溜池タワー。住宅だと六本木ファーストプラザ、六本木ビュータワー、商業施設だとラフォーレ原宿等々です。
つまり、15万円で六本木ヒルズのオフィスビルや六本木の住宅、ラフォーレ原宿のような商業施設の出資者になれてしまうというわけです。
一方で、直接、アパートやマンションといった不動産を購入すると大きな金額が必要です。
また、メンテナンスなど管理が必要で、ローンを組む人もいるほどです。
その点、REITでは少額から不動産投資ができるのです。しかも、株のように売買でき、物件選びや管理は専門家に任せておけるのです。
日本版REIT(以降、J-REIT)は、不動産投資をしてみたい人のファーストステップとしてもおすすめです。
J-REIT(リート)のメリット・デメリット
まずはメリットから見ていきましょう。
J-REIT(リート)のメリット
J-REITにはメリットも多いと言えます。株の取引をしたことがある人なら証券口座を保有していると思いますので、すぐに挑戦できます。
1. 少額から投資できる
不動産投資というとマンションやアパートを購入するために数千万円~数億円が必要な印象ですが、J-REITには株を買う程度の金額で挑戦できます。
投資1口あたりは数万円~10万円未満で挑戦できるJ-REITもちらほらあります。
2. 売買が簡単
証券会社の口座があれば、売買は簡単です。
J-REIT銘柄の4桁の数字(コード)を入力すると検索できます。銘柄名の一部からも検索できます。指値、成行で注文できます。
ネット証券など証券会社によっては、売買手数料がかからないことさえあります。
3. J-REITの多くのジャンルから選べる
J-REITは、投資先も豊富です。
総合型のほか、住居用マンションに投資する、商業施設に投資する、中には老人ホームに投資するリートもあります。
コロナ禍が続くと考えた時でも、物流や住居であれば需要はあるとも考えられます。
また、投資1口当たりの金額が安い時こそ、分配金利回りが高くなるため、長期的な視点で考えると買い時と考える人もいます。
4. 決算期を組み合わせて分配金を毎月もらうことも可能
日本株は、3月末、9月末決算が多いようです。
しかし、J-REITは決算期が銘柄ごとにわかれていて、いつ分配金をもらえるかは銘柄によって違いがあります。
これを利用して、日本株や米国株、今回紹介するJ-REIT、ETF、投資信託などを組み合わせて保有することで、毎月の分配金や配当金収入も見込め、経済的自立をして早期退職する「FIRE」に近づくことも可能です。
5. 分配金が3%~4%以上のREITも多い
REITでは、保有数に応じて分配金が支払われます。分配金は高配当株と同じか、それよりも高いこともあります。
2021年5月時点では分配金が3%~4%のREITも多く、筆者が購入した2020年の頃には7%台の高い分配金のREITもありました。
過去に「ほったらかし投資」として高配当株投資をおすすめしましたが、コロナ禍で減配や無配になった銘柄をREITに乗り換えるなど選択肢を増やしていくのもよいかと思われます。
REIT(リート)のデメリット
元本割れのリスクがあります。購入したからといって、必ずしもプラスになるわけではありません。
また、不動産投資をされている方からすると、分配金が少ないと感じられるかもしれません。
J-REITの選び方

最も難しいのが、J-REITの銘柄選びと買うタイミングです。
銘柄一覧が日本取引所グループのページにありますので、まずは参考にしてみてください。
また、筆者が個人的に参考にしているのが、価格、前日比、分配金利回り、タイプのわかるJAPAN-REIT.comの「不動産投信情報ポータル」です。
個別銘柄のページには、商業施設を中心に投資する「商業施設主体型」、オフィスビルに投資をする「事務所主体型」、ホテルに投資をする「ホテル主体型」のほかに「総合型」や「複合型」、太陽光発電や再生エネルギーに投資する「インフラファンド」もあります。
決算は年2回が多いのですが、まれに年1回の銘柄もあります。
また、REIT指数連動型ETF(REIT指数に連動する上場投資信託)の掲載ページもあります。ETFでは年4回、年6回の分配です。
初心者にも見やすく分かりやすいのが特徴です。
筆者のREIT購入・運用体験談
ここからは、筆者のREIT購入体験をお話します。
キャピタルゲインを狙えてインカムゲインもある
2020年6月に「タカラレーベン不動産投資法人 (3492)」を10株購入しました。
結論から申しあげますと、平均取得単価が9万3,019円で、現在は11万4,300円であるため、21万2,810円のプラスです。

もちろん、評価額が上下すると元本割れ、マイナスになる可能性もありますが、現時点ではプラスなので売ることでキャピタルゲインも狙えます。
なおかつ、分配金を受け取れるインカムゲインもあるのです。
「タカラレーベン不動産投資法人 (3492)」の確定分配金は2021年2月期には3,100円でした。
保有数に応じた分配金が支払われ、予想分配金は年間5%以上と高配当株と並ぶほどです。
私の取得額である1口9万円台で計算すると年間7%近くの利回りです。
「投資主優待制度」もある
また、株主優待制度ならぬ「投資主優待制度」もあります。
2021年2月末日の投資主優待は、ヤマダホールディングスの「お買い物優待券」500円相当(税込1,000円ごとに1枚利用できる)5枚でした。
タカラレーベン不動産投資法人のチャート

参考までに、購入時点から現在までのチャートを掲載します。
現在がバブルなのかもしれませんので、今後の動きを注視する必要があります。
ただし、評価額がマイナスになったとしても、半期ごとの分配金や投資主優待をもらえるなら長期保有もよいように思います。
購入時期を見極めてREITでプラスに
筆者がREITを購入したのはよいタイミングだったのかもしれません。
紹介した銘柄以外のREITも、2021年5月時点では、おおむねプラスの評価です。
今後も評価が下がらないことを期待したいのですが、下がったとしても、J-REITには半期や3か月ごとの分配金、投資主優待がもらえる銘柄もあります。
短期売買はもちろん、長期的投資でインカムゲインも狙えるため、こまめな売買をしないタイプの投資家にもおすすめできます。(執筆者:節約への情熱は誰にも負けない谷口 久美子)