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【米国ETF】過去の金利上昇局面におけるパフォーマンス分析から、今後の投資戦略を考察

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【米国ETF】過去の金利上昇局面におけるパフォーマンス分析から、今後の投資戦略を考察

景気回復にともない、米国の長期金利がじわりと上がっています。

米国株式市場は「バブル」との指摘もあり先行きが不透明で、今後の投資戦略に迷うところです。

「米国ETF」は、特にこの2年間高いパフォーマンスを上げてきましたが、銘柄選定を間違えると長期に低迷しかねません

「米国ETF」といえども万能の神ではないのです。

そこで、過去の金利上昇局面における「米国ETF」のパフォーマンスを分析することにより、今後の投資戦略を考察することにしました。

過去10年間に3回経験した金利上昇

「米10年国債」の利回り上昇局面
≪画像元:Morningstar Japan
※2021.5.21アクセス、赤線は筆者が追加

こちらのグラフは、過去10年間の「米10年国債」の利回りです。

これを見ると、3回の上昇局面がありました。2013年、2016年(第4四半期)、2018年です。

なお、現在の金利水準は依然として極めて低い状態にありますが、相場はトレンドであり波動です。

金利がどのように動こうとしているのか、その動的傾向のなかでETF相場をとらえることが重要です。

金利上昇局面での「米国ETF」のパフォーマンス

それでは過去の金利上昇局面で、「米国ETF」はどのような動きを見せたのでしょうか。

2016年の上昇は短期に終わっていますので、2013年と2018年を分析します。

サンプルとしてバンガード社の代表的なETF12銘柄を取り上げました。

バンガード社の代表的なETF12銘柄

2013年の動き

2013年の騰落率

まず、2013年の騰落率(2012年比)をみるとこちらのグラフとおりです。すべての銘柄が高いパフォーマンスを示しています。

上位3銘柄は、

1位:一般消費財 (VCR)

2位:ヘルスケア (VHT)

3位:資本財 (VIS)

です。

下位3銘柄は、下から

12位:公益事業 (VPU)

11位:通信サービス (VOX)

10位:素材 (VAW)

です。

通信サービス (VOX) はアルファベット、フェイスブックなど今をときめく成長企業がありながら、なぜ11位に低迷したのか不思議に思うかもしれません。

2018年9月米株セクターの分類変更があり、この際にアルファベット、フェイスブックが情報技術 (VGT) から通信サービス (VOX) に移ったのです。

変更前の通信セクターは、AT&Tなどの通信会社が中心だったのです。

特殊事情のある11位:通信サービス (VOX) を除いて考えるとして、9位は何かというとエネルギー (VDE) でした。

2018年の動き

2018年は米国株低迷の年

2018年は米国株低迷の年でした。多くのETF銘柄がマイナスに沈んでいます。

上位3銘柄は、

1位:ヘルスケア (VHT)

2位:公益事業 (VPU)

3位:情報技術 (VGT)

です。

下位3銘柄は、下から

12位:エネルギー (VDE)

11位:素材 (VAW)

10位:通信サービス (VOX)

ですが、通信サービスを例外として除くと9位は資本財 (VIS)です。

米国ETF 2021年~2022年投資戦略のヒント

2013年、2018年の上位3銘柄と下位3銘柄をもう一度表にまとめます。

2013年、2018年の上位3銘柄と下位3銘柄

ヘルスケア

ヘルスケア (VHT) は2013年が2位、2018年が1位という見事なパフォーマンスです。

VHTの主要投資分野は、ヘルスケア機器24%、医薬品23.9%、バイオテクノロジー18.5%という構成です。

ヘルスケアは、2021年以降も注目のセクターです。

一般消費財

2013年の1位は、一般消費財 (VCR) でした。

上の表にはありませんが、VCRは2018年ランキングでも4位に入っています。

一般消費財セクターとは、自動車メーカー、アパレルメーカー、デパート、レストランチェーンなどが対象で、景気の影響を受けやすい分野とされます。

米国はコロナ感染症が収束し、今後は一般消費の盛り上がりが期待されますので、目の離せないセクターです。

資本財

気になるのが、資本財 (VIS) です。

2013年は上位3位に入っていましたが、2018年には一転して9位に転落しました。

資本財セクターは、産業向けの製品、運輸、サービスなどが対象で、ボーイング、キャタピラー、アメリカン航空などがその代表格です。

2021年~2022年には世界経済の回復が予想されています。

設備投資や国際貿易が復調するなかで、資本財が受ける恩恵は小さくないと考えられます。

エネルギー、素材

2013年、2018年ともに9位~12位に低迷したのが、エネルギー (VDE) と素材 (VAW) です。

一部にはエネルギー関連に逆張り投資の動きもあるようですが、余裕資金と勇気が必要です。

各セクターの今後の動きで見極める

米国ETF価格は、金利だけで動くわけではありません。

世界の政治情勢、国際競争力、技術革新やイノベーション、産業構造の変化などさまざまな要素に左右されます。

2021年~2022年の米国株式は、これまでのように堅調に推移するか疑問視する向きもあるようです。

こうしたときこそ過去に学ぶことが大切です。

ヘルスケアセクター、一般消費財セクター、資本財セクターがどのような動きをみせるのかが興味深いところです。(執筆者:根元 直角)

《根元 直角》
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根元 直角

根元 直角

企業に44年間勤務し、定年退職したシニアです。会社では営業、調達、人事などやってきました。投資歴は半世紀近くになりますが、記憶に残るのは失敗談ばかり。その果てにたどり着いたモットーは「投資は楽しむことが一番。」フリーライター活動を通じて、皆さまに私の投資哲学をお話しします。 寄稿者にメッセージを送る

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