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「失業保険」と65歳までの間に支給される「老後の年金」 両方受給する方法

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「失業保険」と65歳までの間に支給される「老後の年金」 両方受給する方法

失業保険とは退職後にハローワークで手続きをして一定の要件に当てはまった場合に給付される手当(正式には基本手当、以下失業保険)です。

失業保険と65歳までの間に支給される老後の年金は両方同時に受給することはできません。

実務上、失業保険を受ける場合、年金の方が支給停止されます。

今回はどのような年金を受ける場合どのように手続きをすると両方受給でき、またはどのように手続きすると年金が止まってしまうのかを解説してまいります。

「失業保険」と「老後の年金」どちらも受給したい

失業保険と調整対象となる年金とは

端的には65歳前に支給される「老後」の年金であり、さらに細かく言うと「特別支給の老齢厚生年金」が調整対象となります。

なお、特別支給の老齢厚生年金とは65歳前に厚生年金から支給される老後の年金と考えください。

そして、65歳から支給される老齢厚生年金は失業保険と調整されません

また、遺族年金や障害年金も失業保険との調整対象にはなりません

そもそも遺族年金や障害年金は若年層であっても支給対象となる場合もあり、老後の所得保障という意味合いで支給される年金ではありません。

そこで、なぜ老後の年金と失業保険が調整されるかと言うと、老後または失業後の生活保障という観点から、年金と失業保険で二重に保障するという考え方は適切でないということです。

両方受給対象となる場合はどのように判断すべきか

多くの場合、両方受給できる場合は金額が多い方を受給するという判断になろうかと考えます。

年金額であれば最寄りの年金事務所、失業保険であればハローワーク(給与額が把握できていることが前提ですがインターネットでも概算は算出可能)で算出可能です。

そこで給付額が多い方の手続きをするという判断です。

失業保険の方が多い場合はハローワークで求職の申し込みを行います。

しかし、年金事務所には年金の請求書を提出しておくことが必要です。

調整についてはハローワークへ求職の申し込みをした月の翌月から調整開始となり、失業保険の所定給付日数分の受給が終了した月または失業保険の受給期間が経過した月のいずれか早い時期までの間年金が支給停止となります。

年金の方が多い場合はハローワークへ求職の申し込みを行わないことです。

例えば44年特例に該当するケースは年金の方が多いというケースが見受けられます。

44年特例についてはこちらの記事をご参考にください。


実際に年金が支給されない期間とは

実際に年金が支給されない期間とは

求職の申し込みをした月の翌月から年金は支給停止されますが、失業保険はすぐに受給できるわけではありません

7日間の待期期間、給付制限期間(令和2年10月から原則2か月)は失業保険を受給できません。

しかし、失業保険の所定給付日数を受け終わった時点または受給期間が満了した時点で「事後精算」が行われ、年金の支給停止が「解除」になり、年金がさかのぼって支払われます

具体的には待期期間・給付制限期間についてはその期間中には失業保険も年金も支給されませんが事後精算により結果として年金が支給されることとなります。

事後精算は実際に失業保険を受けた日数に応じて年金の支給停止解除月数を割り出します。

事後精算

支給停止解除月数=年金の支給停止月数-失業保険を受けた日数/30日

(1未満の端数は1に切り上げ)

手続きのポイント

「65歳到達月」は特別支給の老齢厚生年金が支給されます。

これは年金の支給とは「支給事由の生じた日の属する月の翌月」から「権利が消滅した日の属する月」まで支給されるためです。

よって、65歳支給の老齢厚生年金が支給されるのは65歳1か月です。

すなわちハローワークへの求職の申し込みは65歳到達月の翌月に行うことで年金と失業保険の両方を受給することができます。

失業認定日が65歳1か月にある場合、認定を受ける必要のある期間の中に1日でも65歳到達月が含まれている場合は特別支給の老齢厚生年金(65歳到達月の年金)は支給停止となるために注意が必要です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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