日本の公的年金(国民年金、厚生年金保険)は原則的に、高齢者の方が受け取る年金を、その時の現役世代が納付する保険料で賄う、世代間扶養で成り立っているのです。

また、現在の日本のように少子高齢化が続くと年金を受け取る高齢者が増えて、保険料を納付する現役世代が減っていくのです。

【国民年金保険料】 納付額を安くするチャンスは 2月・3月・7月

年金財政のバランスをとる政策

こういった中で年金財政のバランスをとるには、「受け取る年金を減らすか」「納付する保険料を増やすか」のいずれかを選択する必要があります。

政府は現役世代が納付する保険料を増やしてバランスをとってきたのですが、保険料の負担が増えるほど現役世代は生活に余裕がなくなります。

そこで、年金を受け取る高齢者にも負担を求め、世代間の公平化を図るようにしたのです。

具体的には、現役世代が納付する保険料に上限を設定し、この上限で賄える範囲内に年金額を抑えるようにしたため、高齢者の受け取る年金が減ってしまう場合があるのです。

また、国民年金については、2004年度に月額1万3,300円だった保険料を所定の上限に達するまで、毎年4月に280円ずつ引き上げていきました。

このような理由で2005年4月から開始された国民年金の保険料の引き上げは、2017年4月に所定の上限に達したために終了を迎えたのです。

引き上げが終了したといっても、月額で1万6,610円という2021年度の国民年金の保険料はかなり高いと思うので、次のようなチャンスを活かして、少しでも安く済ませたほうが良いのです。

前納割引を受けたい場合には2月がチャンス

国民年金の保険料は一般的には、所定の納付書を使って現金で納付しますが、口座振替やクレジットカードでも納付できます。

いずれの納付方法でも、6か月前納、1年前納、2年前納を利用すると保険料が割引されます

また、クレジットカードや現金より口座振替のほうが、次のように割引額が大きくなるのです。

口座振替のほうが割引額が大きくなる

たとえば、4月から口座振替やクレジットカードによる納付で、前期(4月~9月)の6か月前納、1年前納、2年前納を利用したい場合、直近の2月末までに手続きを済ませる必要があります。

また、4月から現金による納付で2年前納を利用するための手続きは、直近の2月1日から可能です。

この手続きは4月末まで可能ですが、保険料の納期期限が4月末(土日祝日の時は翌営業日)になるため、早めに手続きしたほうが良いのです。

なお、口座振替やクレジットカードによる納付で、後期(10月~翌年の3月)の6か月前納を利用したい場合、直近の8月末までに手続きを済ませる必要があります。

2月ほどではないにしろ、8月も国民年金の保険料を安くするチャンスなのです。

追納を安く済ませたい場合には3月がチャンス

日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の方は、学生、無職、収入が低下した方でも、国民年金の保険料を納付する必要があります。

ただし、学生の方は申請を行って「学生納付特例」を受けると、保険料の納付が猶予されるため、在学中に保険料を納付する必要はありません。

また、無職や収入が低下した方は申請を行って、各種の免除(全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除)や、納付猶予を受けると保険料の全部または一部を納付しなくても良くなります

しかしながら、保険料を納付しなかった期間の分だけ、原則65歳から支給される老齢基礎年金が減ってしまうため、金銭的な余裕ができた時に追納したほうが良いのです。

特に、「学生納付特例」と「納付猶予」を受けた期間は、各種の免除を受けた期間より追納の優先度が高くなります。

「学生納付特例」「納付猶予」追納の優先度が高い理由

各種の免除を受けた期間には国庫負担(税金の投入)があるため、たとえば全額免除を受けた期間に対して追納しなかったとしても、その期間は保険料を全額納付した場合の1/2の「老齢基礎年金」を受給できます。

一方で、「学生納付特例」と「納付猶予」を受けた期間には国庫負担が全くないため、追納しなかった場合には、その期間の「老齢基礎年金」がゼロになってしまうのです。

国民年金の保険料を追納できるのは、日本年金機構から追納が承認された月の前10年以内にある「学生納付特例」「各種の免除」「納付猶予」を受けた期間です。

追納するのは当時の保険料ですが、「学生納付特例」「各種の免除」「納付猶予」を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると当時の保険料に加算額が上乗せされるのです。

また、上乗せされる加算額は、年度が経過するごとに金額がどんどん増えてしまうのです。

従って、追納するのが遅れて加算額が上乗せされた方は、3月末までに追納を済ませると、新年度が始まる翌月の4月以降に追納するより、納付する保険料を安くできるのです。

一部免除で保険料を安くしたい場合には7月がチャンス

国民年金の保険料を前納すると上記のように保険料が安くなるため、加入者の負担が軽減されます。

ただし、収入の少ない方の場合には、1~2年分の納付資金を準備するのが難しいこともあると思います。

こういった方が保険料を安くしたいと思った際に利用を検討してほしいのが、3/4免除、半額免除、1/4免除などの一部免除です。

所定の申請を行ってこれらの免除を受けると、

月額で1万6,610円という国民年金の保険料の金額が、

3/4免除は「4,150円

半額免除は「8,310円

1/4免除は「1万2,460円

に変わります。

また、一部免除を受けた期間には前述のように国庫負担があるため、たとえば半額免除を受けたとしても、その期間の「老齢基礎年金」は半分にはならないのです。

「老齢基礎年金」の金額に反映される具体的な割合は、

3/4免除は「5/8

半額免除は「6/8

1/4免除は「7/8

です。

このように、一部免除は前納より保険料が安くなり、かつ「老齢基礎年金」の減額を抑えられるメリットの多い制度だと思うのですが、あまり利用されていません。

扶養家族がいない会社員の場合、次の表の中に記載されているように、前年の所得が約158万円(年収だと約251万円)以下であれば、いずれかの一部免除を受けられる可能性があります。

免除等の種類
≪画像元:札幌市

一部免除を受けられる要件を満たしているにもかかわらず、何らかの理由で利用していない方はかなり多いと推測されます。

一部免除などの各種の免除では、原則的に「7月から翌年の6月まで」の1年を単位にして日本年金機構の審査を受けます。

こういったルールであるため、新たな1年の申請が可能になる7月は国民年金の保険料を安くするチャンスなのです。

申請は郵送でも可能

なお、申請はお近くの市区町村役場の窓口だけではなく、郵送でも可能であるため年金事務所まで行く必要はありません。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)