老後の貴重な収入源として上位にあがる年金は可能な限り多くもらっておくことで安心した老後生活にも繋がると考えます。

現在は働きながら年金をもらうことも決して珍しいことではなく、報酬などとの兼ね合いで年金がカットされてしまう在職老齢年金についても気にされる方が増えています。

今回は、月途中で就職した場合の在職老齢年金にフォーカスをあて解説してまいります。

年金のしくみをわかってないと大きな損になる

在職老齢年金とは

2階建て年金制度の2階部分である厚生年金から支払われる老齢厚生年金をもらえる方が、厚生年金に加入しながら一定額以上の報酬を得ている場合に年金がカットされるという仕組みです。

カットされた分の年金は将来的に返ってくることもありません

現行の法律では老齢厚生年金、月々の給与と直近12か月間に支払われた賞与を月額に換算した相当額を合算し28万円(2022年4月~47万円)を超えると超えた部分の半額がカットされるという仕組みです。

【事例】

定年退職

厚生年金の資格を喪失

再度現場へ復帰し厚生年金に月途中で加入

定年退職後に、一度厚生年金の資格を喪失し、引退生活を楽しんだのち、再度現場へ復帰し厚生年金に月途中で加入した場合を検討します。

更に再就職先の賃金締め切り日が15日であったとして、その翌日の16日に就職したとします。

厚生年金の被保険者期間

資格を取得した日から資格を喪失した日の月の前月までが厚生年金の加入期間として算入されます。

よって、事例のように16日に再就職し、厚生年金の資格を取得した場合、その月は厚生年金に加入した月としてその月の1日から加入した場合と同様に扱われるということです。

当然、保険料も日割りされることもなく1日から加入した場合と同様に算定されます。これは健康保険も同じ理屈です。

月途中就職の場合の在職老齢年金の仕組みとは

厚生年金の加入期間の取り扱いを鑑みると在職老齢年金も同じ理屈と考えてしまいますが、結論としては厚生年金の加入期間とは異なる考え方です。

しかし、お察しのとおり月途中就職の場合、契約内容にもよりますが、労務の提供のない日がある以上は、賃金の支払い義務はありませんので、日割り計算による給与支給とすることが一般的です。

すなわち、1日から在籍している場合よりも給与額は低くなることでしょう。

それに輪をかけて年金もカットされてしまうと生活に支障をきたすことも想像に難くありません。

在職老齢年金の考え方として老齢厚生年金の受給権者が被保険者である日が属する月となっていますが、「被保険者である日」とは前月以前から引き続き被保険者の資格を有する者に限ると規定されていることから、今回のように初めて被保険者になった日が属する月は在職老齢年金の適用はされないという理解となります。

保険料の徴収

保険料とかいっきにひかれちゃうからね

保険料の徴収は雇用保険料と異なり、翌月の給与から徴収となっております。

採用月から給与が支払われるようは場合(当月支給)、採用月は社会保険料(厚生年金・健康保険)の徴収は行われず、翌月の給与から徴収されます。

注意点として、当月払いの給与形態の場合は退職月の翌月に基本給の支払いがない(支給されるのは残業代のみとなることが一般的)ことがあり、法律上、退職月に2か月分の保険料徴収が可能とされています。

雇用保険料はその月から徴収され、社会保険料は翌月から徴収されるという点はおさえておきましょう。

長く働くことが一般的となった現代においてはどのような場合に収入から引かれるものが発生するのかなど、想定外とならないための知識の整備は必要です。

保険料の徴収のされかたを例にあげましたが、社会保険と労働法制上の保険の仕組みは異なる考え方が採用されており、定期的に知識をつけていきたい部分です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)