ETFとは、上場投資信託(Exchange Trade Fundの略称)のことで株式と同様に東証などの取引所で売買される投資信託です。

運用は、インデックス(株式や債券などの市場全体の動きに連動する指標や指数等)に連動することを目標にしている金融商品です。

上場しているファンド本数は、JPX日本取引所グループの調べよると2021年9月17日現在246本で、投資信託(約6,000本)や株式(4,000本弱)と比べ圧倒的に少ない上場に止まっています。

その他、証券会社によっては、米国や新興国など数多くの銘柄に投資できるETFもあります。

ここでは、ETFの仕組みや特徴、株式や投資信託とどこが違うのか、また、なぜ中長期の資産運用に適しているのか、などについて触れてみます。

中長期投資に向いている

ETFの主な仕組み

ETFは、株式と投資信託を足して2で割ったような機能をイメージすると分かり易いと思いますが、株式や投資信託には分類されない独立した金融商品の一つです。

取引市場は?

ETFを取引している日本国内での市場は、東京証券取引所や名古屋証券取引所などです。

売買単位は?

売買単位については、ETFの銘柄によって異なりますが、1口、10 口、100口などが一般的です。

最低限必要な売買資金は?

売買資金は、2万円くらいから買える銘柄が多いので少額投資も可能です。

ネット証券などでは、ワンコイン以下または貯まったポイントで売買ができる所もあります。

市場の取引時間は?

東京市場の場合、株式と同様に立会い(売買)は午前9時から11時30分の前場と午後12時30分か3時の後場までの時間に取引が行われています。

売買注文の方法は?

売買注文は、株式と同じ、証券会社の窓口で直接注文するほか、電話や口座登録済みのネット上での注文も可能です。

注文の内容は、銘柄(上場しているファンド名)、売り買いの区分、口数(株数)、値段(株価)などです。

値段については、取引条件を付けることができます

それは、値段を指定する「指値」と相場の成り行きに任せる「成り行き」注文が一般的です。

課税方法は?

ETFの運用に関わる税金については、株式や投資信託と同様に、売却益(キャピタルゲイン)と配当金や分配金などの収益(インカムゲイン)に対してそれぞれ所得税と住民税(20.315%復興特別所得税含む)が掛かります

ETFには2つの価格がある

ETFは株式と投資信託の2つの機能を持ち合わせているため、株式の株価と投資信託の基準価額の2つの価格が存在しています。

株式は売り買いの需給関係によって決まり、投資信託は保有資産の終値をベースに算出されるので、株価と基準価額は必ずしも一致しません

その価格差は乖離率と呼ばれ、ゼロに近い方が無難といえます。

この率は、銘柄の選定や売買のタイミングなどを判断する際の参考材料としても活用されます。

ただし、売買価格は、2つの価格があっても取引時間内の株価が基準となります。

ETFの主な特徴(メリットとデメリット)

ETFの主なメリットやデメリットについては、次のような点が挙げられます。

まず、メリットとしては、

・ 分散投資が期待できる、

・ 売買や保有に関わるコストが安い、(ただし、売買を頻繁に繰り返す場合は、その都度販売手数料等がかかるので注意が必要)

・ 売買が株式と同様にリアルタイムで取引できる

といった点です。

一方、デメリットについては、

・ 自動積立が一部を除いてできない

・ 分配金が一部を除いて自動的に再投資できない

・ 2つの価格があり仕組みが複雑である

といった点です。

ここでは、メリットとして挙げている分散投資について取り上げてみます。

リスク分散に最適なETF

ETFの利点は、さまざまな国の業種や株式、債券指数などの銘柄をひとまとめにした幅広い銘柄数のファンドがほとんどなので、投資信託以上に分散投資に向いていることになります。

たとえば、国内株式、先進国の株式、新興国の株式というように世界各国の株式指数を組合せたポートフォリオを組めばリスク分散のより大きな効果が期待できます

さらに、リスクを軽減するより効果的な方法は、相関係数を活用することです。

相関係数とは、異なる二つの銘柄の値動きの関係を表した係数のことです。

この指標は、一般的に目に触れる機会はあまりないので、ここでは触れませんが、これを活用するメリットは、儲かるファンドと損するファンドを混在させるため、「大きな利益も大きな損もない」中程度のリスクに抑える効果が望めるということです。

ETFは株式や投資信託とどこが違うか?

3つの金融商品にはそれぞれに特徴がありますが、異なる点を次にまとめてみました。

このうち、コスト比較において、信託報酬(運用管理費)は、ETFと投資信託のインデックスファンドを比べてみても、ETFの方が投資信託よりおおよそ半分以下のコストになります。

その主な理由として、信託報酬は、投資信託の場合、商品を販売する証券会社や銀行などの販売会社、運用を行う運用会社、資金の管理を行う信託銀行の3社に配分されるのに対し、ETFの場合、運用会社と信託銀行の2社だけの配分なので、一社少ない分、料率も下がる傾向です。

運用会社と信託銀行の2社だけの配分

ETFの運用に関する最近の動きについて

日銀の金融緩和政策の一環として、2010年から始まった日銀によるETFの買入は、2020年には、年間約7兆円の運用規模となっています。

今年の買入は、大幅に減額となっていますが、6兆円程度の上限の撤廃や株式市場の株価の下落局面で買入する運用方針に変更がないようなので、今後も株価の下支えは、ある程度期待できそうです。

世界のETFの市場規模は、ここ10年で約6倍と拡大傾向にあり、資産残高は、日経新聞(2021年6月7日)によると2021年5月時点で、1,000兆円を超えています。

それに加え、最近、アメリカでは暗号資産と呼ばれる仮想通貨のビットコイン先物ETFの上場、オーストラリアでも仮想通貨に関連したETF上場の動き、その他、カナダやブラジルなどもこの種の取引を開始しているなど、新たなカテゴリーが加わってきているのも事実です。

ETFは、投資信託以上に分散投資が可能で、信託報酬などのコストが安い、日銀の株価下支えによって急激な騰落リスクを抑え、リターンも期待できる、といったことなどを考慮すれば、今後も注目される金融商品となり得ます。

老後資金を準備するための中長期の資産形成については、選択肢の一つとしてETFの運用も検討してみてはいかがでしょうか。(執筆者:CFP、1級FP技能士 小林 仁志)