※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

2022年の社会保障 7月参院選が「天国と地獄の分かれ目」に 重要政策の見通しを解説

ビジネス 社会
2022年の社会保障 7月参院選が「天国と地獄の分かれ目」に 重要政策の見通しを解説

今年は、みなさんにとってはどんな年になりそうでしょうか。

世界的な金利の引き上げがあるとはいえ、企業業績はそれほど悪化しないでしょう。

ただ問題は、みなさんのご家庭がどうなるかということ。

先月詳しく書きましたが、給料はなかなか上がりそうにない。

そんな中で、電気・ガスといった公共料金や食料品などの物価が上がっていきますから、家計にとってはけっして楽観視できない1年になりそうです。

そんな中で、7月には参議院選挙があります。

この参議院選が、私たちの「天国」と「地獄」を分ける境になりそうです。

社会保障についてみると、今年前半は私たちに嬉しい「天国」政策が出てきますが、今年後半になると、痛みを伴う「地獄」政策になります。

2022年の社会保障

【天国】医療保険が改善された!

今年1月1日から、健康保険の傷病手当金が、以前よりも使いやすくグレードアップされました。

傷病手当金とは、会社の健康保険などに加入している人が、病気や怪我で働けなくなったときに、1つの病気につき最長1年6か月を限度として、給料の3分の2が支給されるという制度です。

3日の待機期間があり、4日目から給付の対象になります。

たとえば、給料が30万円の人が病気で会社を休んで3日の待機期間後に1か月会社を休んだとしたら、給料の3分の2の20万円が支給されます。

これまでは、この最長1年6か月には、会社を休んだあとに復職して働いた日も含まれていました

たとえば病気で3か月会社を休み、その後職場復帰して1年間働いたけれどまた病気がぶり返して会社を休んだとしたら、3か月しか休めませんでした。

ただガンの治療ように、会社を休んだり復帰したり、また休んだりということを繰り返すうちに、最長の1年6か月を過ぎてしまうということもままあります。

こうした人のために、1月1日からは、通算で1年6か月ということになりました

つまり、会社に復帰した日数はカウントされず、休んだ日だけで1年6か月ということになったのです。

【天国】雇用保険も改善された!

1月1日からスタートした、もう1つの良い制度は、「雇用保険マルチジョブホルダー制度」。

複数のところで仕事をする人でも、失業保険に入って失業給付が受けられるという制度です。

条件は、

1. 複数の仕事で雇用される65歳以上の人

2. そのうち2つの事業所(1つの事業所で1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計すると、1週間の所定労働時間が20時間以上になる。

3. 2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上ある。

4. 本人がハローワークに申し出る。

この4つを満たすと雇用保険に入れるというものです。

65歳を超えても働く高齢者の場合、1か所では自分が納得できるような収入が得られなかったり、働く時間が短くなるケースも多くなります。

こうした、複数の勤務先を掛け持ちするという人に対して、1つの会社では雇用保険の加入条件に満たなくても、2つの事業所の勤務時間を合算すれば雇用保険に入れるようにしたのです。

Wワークのシニア

【地獄】今年後半は、厳しい制度改革が待っている

用心しなくてはいけないのは、今年後半には、痛みを伴う事柄が増えること。

2022年7月には、参院選があります。

この選挙は、岸田内閣にとっては、長期政権になるかどうかを左右する大切な選挙。

ここで大勝すれば、3年ほどは選挙がないはずなので、よほどのことがない限り長期政権への土台をしっかり築くことができます。

それを狙っているのか、不都合な政策は秋以降に繰り延べされています。

たとえば、本来なら4月からスタートしてもおかしくない、老人の医療費負担増は10月からになりました。

後期高齢者(75歳以上)で、本人の年収が200万円以上の方は、医療費の自己負担が1割から2割に上がります

単身世帯の場合は、課税所得が28万円以上かつ収入が200万円以上が対象となります。

また、雇用調整助成金などの財源が底をついたために行われる、雇用保険料の値上げなども、秋以降に持ち越されました。

加えて、昨年末に先送りになった贈与税の実質増税も、年末の税制大綱では出てきそうです。

実は、アメリカも今年は11月に中間選挙があるので、中国に対して過度に強気な態度が激化しそうです。

中国は、日本の最大の貿易相手でもあるので、米中対立の影響で経済面に厳しい状況が出てくるかもしれません。

選挙後の厳しい状況も見据え、しっかり家計を運営していきましょう。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)

《荻原 博子》
この記事は役に立ちましたか?
+5

関連タグ

荻原 博子

執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子 荻原 博子

経済ジャーナリスト 1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「私たちはなぜ貧しくなってしまったのか」(文藝春秋)「一生お金に困らないお金ベスト100」(ダイヤモンド社)など著書多数。 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集