4月に、輸入小麦の「政府売渡価格」が17.3%上がります

日本の小麦は、約9割を政府が輸入して値段を決め、「政府売渡価格」として企業に売っています。

昨年4月に5%アップ、10月に19%アップ。

それがさらに4月に17.3%アップするので、トータルで約1.5倍になります。

昨年夏にアメリカやカナダが高温・乾燥で不作となったのをはじめとして、世界的に小麦が不作だったことが大きな要因となりました。

皮肉なことに、こうした世界的な不作の中でロシアとウクライナは小麦が豊作だったのですが、戦争が起きたことでこの好材料も帳消しになり、今年10月の改定では、さらに小麦価格上が急騰する可能性があります。

4月の値上げには、ウクライナ戦争の影響は少ししか加味されていませが、10月の改定では、モロに反映されるからです。

しかも、トウモロコシなども、原油価格が急騰する中で代替え商品のエタノーネ生産で供給が細って高騰しています。

日本では、国産牛や国産豚であっても、海外からの輸入飼料に頼っているので、こうしたものも値上がりしていくことが予想され、食卓の悲鳴が聞こえそうです。

小麦価格の高騰

もう1度、「コメ」の実力を見直しましょう。

ほとんどの食品が値上がりしますが、こんな中で、値下がりしているものがあります。

それは、「コメ」です。

「コメ」は豊作だったことに加え、コロナで外食産業の需要が減って在庫が積み上がっています。

農水省によると昨年12月時点の小売業者向けの価格は、前年比92%と、1割近く安くなっているのです。

だとしたら、今の時期、「コメ」を食べるという選択はアリでしょう。

小麦の価格高騰でお米の価値を再確認

パン・お菓子 → 米に変えるといくら安くなるのか

皆さんは、朝食に何を食べていますか。

パン食という方が多いと思いますが、いま、食パンは、6枚切り1枚で25円前後

2枚だと50円くらいになります。

ただ、食パンはそれだけでは食べられないので、バターを塗ったりジャムをつけたり、ミルクやスープ、コーヒーなども飲むという人が多いでしょう。

そうなると、1食100円くらいになります。

いっぽう「コメ」は、ごはん茶碗1杯で20円から25円、ここに卵をかけて卵かけご飯にしても50円くらいで食べられます。

今は、ポテトチップスなどのスナック菓子も値上がりしていますが、スナック菓子1袋の値段で、おにぎりなら7〜8個はできます。

ですから、子供のおやつをおにぎりに替えると、腹持ちもいいし安上がりで節約にもなりそうです。

食の安全保障の一環として食を守る欧米と、田んぼをつぶす日本

今まで日本では、約8兆円かけて減反政策を進め、田んぼを潰してきました

国の減反政策自体は2017年に廃止されましたが、実はその後も自治体が生産目標を設定して続けているところが多くあります。

ただ、今回のように世界的な食料高騰の中では、「コメ」は、私たちの食卓の救世主となる可能性があります。

田んぼは、潰すのは簡単ですが、復活させるには長い年月と労力とお金がかかります

食料は、一朝一夕にはつくれないのです。

そのため、欧米など先進国では、すぐに生産できない食料を安全保障の一環と位置づけ、農業に多額の補助金をつぎ込んでいます。

よく「日本の農業は補助金漬け」と言われますが、フランスの農家の補助金は、日本の比ではなく約8割は政府の補助金となっています。

田んぼはつぶすと作るの難しい

21世紀は「飢餓の世紀」、先進国が農業に力を入れる理由

21世紀は、「飢餓の世紀」と言われています。

なぜ、アメリカやヨーロッパなど先進国がこれほどまでに農業を保護しているかといえば、食糧危機になった時に自国民を飢えさせないため

いま、先進国と言われている国々には農業国が多く、発展途上国と言われる国には工業国が多い

発展途上国はお金も手間もかかる農業生産に力をいれる余力がないので、手っ取り早く工業製品をつくって稼ぎ、先進国から食料を買っています。

ただ、本当に食料が足りなくなると、先進国は、ワクチンと同じで自国民を優先するということになるでしょう。

そうなると、日本が、基礎研究の費用を削った結果新型コロナでワクチンをつくることができずに多くの人を死なせてしまったように、食料価格が高騰し、買い付けもままならずに植える国民を出す可能性があります。

21世紀は、食糧不足と人口爆発で「飢餓の世紀」になるという予想があります。

すでに中国は、自国民のために、なんと世界の小麦在庫の51%を買い占めたと言われています。

ウクライナ侵攻が始まった2月24日も、中国政府は、ロシア産の小麦の輸入を拡大すると発表しています。

こうした中で、日本政府は上がっていく小麦価格に打つ手なし。

国民を飢えさせない準備を本気でしているとはとても思えず、心もとないばかりです。(執筆者:経済ジャーナリスト 荻原 博子)