株主優待投資家にとって最も怖いもの、それは株主優待の廃止ではないでしょうか。

2021年、2022年(3月18日現在)の株主優待廃止銘柄は約90社もあります。

先日も個人投資家に人気のあったJT(2914)が株主優待の廃止を決定しました。

参照:日本たばこ産業(pdf)

JTについては高配当目当てで投資されている方が多く、株主優待廃止を理由に売る投資家は少なかったかもしれません。

しかし株主優待目当ての投資家が多い銘柄が廃止された場合、思わぬ損失が出る危険があります。

そこで本記事では2021年、2022年の株主優待廃止銘柄についての特徴を調査しました。

ぜひ今後の株主優待投資にお役立てください。

株主優待廃止しやすい 企業の特徴

株主優待廃止銘柄の調査内容

本記事では以下6つの項目について調査しました。

(1) 優待内容

(2) 業種

(3) 上場市場

(4) 廃止理由

(5) 時価総額

(6) 優待利回り

本記事の調査の結論は以下の通りです。

株主優待が廃止されやすい銘柄

・ クオカード銘柄

※特に製造業、サービス業、不動産業、

・ 株主優待新設後東証1部へ昇格した銘柄

・ 流通株式時価総額が100億以下か少しだけ上回っている銘柄

それではどうして上記結論となったのか、各項目の調査結果を見ていきましょう。

【優待内容】

 

株主優待内容

≪筆者作成≫

予想通りかもしれませんが、株主優待廃止第1位はクオカードでした。

金券と合わせると40%を超え、最も廃止リスクを考慮する必要があります。

意外な結果だったのが第2位の商品(サービス)割引です。

自社の商品やサービスを贈呈するため比較的廃止されにくいと考えていたのですが、機関投資家にとっては食品など扱いが難しいためか公平な株主還元という理由で廃止が目立ちました

2022年はお砂糖優待で有名なフジ日本精糖(2114)が廃止を発表しています。

参照:フジ日本精糖(pdf)

業種

 

業種の内訳

≪筆者作成≫

株主優待廃止第1位の小売は株主優待実施企業が多いため妥当ですが、製造業、サービス業、不動産業の多さが目立ちます。

各業種の株主優待内容を見ると、半分以上がクオカードか金券でした。

株主優待廃止を避けるなら、クオカード優待銘柄の中でも製造業、サービス業、不動産業は避けた方がよいと言えます。

上場市場

市場のグラフ

≪筆者作成≫

最も株主優待廃止されやすい市場は東証1部です。

これは上場銘柄数が多いので当然と言えるでしょう。

株主優待が廃止された理由に2022年4月の市場再編が関係している可能性があります。

市場再編後東証1部に相当するプライム市場に残るには必要株主数が2,200人から800人に緩和されますが、そのかわり流通株式時価総額が100億以上と増額されるため、株主数を増やすより時価総額を上げるための施策が重要となるのです。

時価総額を上げるためには機関投資家など大口投資家に投資してもらう施策が必要なため、株主優待より配当を重視することは当然の流れと言えるでしょう。

よって株主優待導入時の理由が「東証1部へ市場変更するため」であったと思われる企業は株主優待廃止リスクが高いでしょう。

廃止理由

廃止理由のグラフ

≪筆者作成≫

TOBなどで上場廃止を除くと、ほとんどの株主優待廃止理由は配当金重視です。

これは上場市場で考察した通り、プライム市場維持のため時価総額を上げる施策を重視するためでしょう。

意外と少なかった株主優待廃止理由は財務状況悪化です。

現在コロナ禍で苦しむ人気株主優待飲食企業などは、株主優待廃止をそこまで警戒しなくてもよいかもしれません。

時価総額

時価総額のグラフ

≪筆者作成≫

グラフの通り大企業でも中小企業でも株主優待廃止されており、特に特徴は見受けられませんでした。

優待利回り

優待利回りのグラフ

≪筆者作成≫

株主優待利回りが1%以下の銘柄が50%を超える結果となりました。

株主優待利回りが高いから廃止されやすいという事はなく、むしろ株主優待利回りが低いから廃止しても株主から文句を言われないだろう、と考える企業が多いのかもしれません。

株主優待廃止されやすい銘柄のまとめ

・クオカード銘柄

※特に製造業、サービス業、不動産業、

・株主優待新設後東証1部へ昇格した銘柄

・流通株式時価総額が100億以下か少しだけ上回っている銘柄

本記事の考察結果は上記3点となります。ぜひ投資の参考にしてください。(執筆者:株式ディーラー歴10年 勝越 晴)