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国民年金は所得保障と死亡保障が付いた、約10年で元が取れる終身年金

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国民年金は所得保障と死亡保障が付いた、約10年で元が取れる終身年金

公的年金(国民年金、厚生年金保険など)の一種である国民年金の、保障を受けられる被保険者は、次のような3種類に分かれております。

保障を受けられる 被保険者は3種類

【国民年金の第1号被保険者】

日本に住んでいる20歳以上60歳未満のうち、第2号被保険者や第3号被保険者に該当しない、自営業者、農業者、フリーランス、学生、無職の方などは、第1号被保険者になります。

この第1号被保険者は納付書や口座振替などにより、各自が国民年金の保険料を納付します。

【国民年金の第2号被保険者】

厚生年金保険に加入している会社員や公務員などは、65歳以上で老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)の受給権がある方を除き、第2号被保険者になります。

このように第2号被保険者になる年齢には、上限はあっても下限はないため、例えば高校を卒業した後に就職し、厚生年金保険に加入した場合には、20歳になる前から国民年金に加入します。

また第2号被保険者の国民年金の保険料は、給与から控除された厚生年金保険の保険料から賄われているため、各自が国民年金の保険料を納付しなくても、納付したという取り扱いになるのです。

【国民年金の第3号被保険者】

第2号被保険者に扶養されている、20歳以上60歳未満の配偶者のうち、年収が原則として130万円未満の方は、所定の届出をすると第3号被保険者になります。

この第3号被保険者の国民年金の保険料も、第2号被保険者の給与から控除された厚生年金保険の保険料から賄われているため、各自が国民年金の保険料を納付しなくても、納付したという取り扱いになるのです。

老齢基礎年金と国民年金の保険料は毎年4月に改定される

公的年金の保険料を納付した期間、国民年金の保険料の納付を免除または猶予された期間などの合計が、原則10年以上ある場合、受給資格期間を満たすため、65歳になると国民年金から老齢基礎年金が支給されます。

また20歳以上60歳未満の間に、国民年金の保険料の納付を免除または猶予された期間、国民年金の保険料の未納期間などが、1か月もなかった場合、満額の老齢基礎年金が支給されます。

この満額の老齢基礎年金や、第1号被保険者が納付する国民年金の保険料は、賃金や物価の変動に合わせて、毎年4月に改定されるため、年度ごとに金額が変わる場合が多いのです。

2022年度の満額の老齢基礎年金は、77万7,800円(月6万4,816円)になりました。

また第1号被保険者が納付する国民年金の保険料は、月1万6,590円になりました。

前者の満額の老齢基礎年金は前年度より3,100円ほど、金額が少なくなっておりますが、後者の国民年金の保険料は前年度より20円ほど、負担が軽くなっております

国民年金は約10年で元が取れる終身年金

月1万6,590円という国民年金の保険料を、20歳から60歳までの40年間に渡って、一度も欠かさずに納付した場合、合計は796万3,200円(1万6,590円×12か月×40年)になります。

この金額を満額の老齢基礎年金である77万7,800円で割ってみると、次のようになるため、65歳で老齢基礎年金の受給を始めから、約10年で元が取れるのです。

796万3,200円÷77万7,800円=10.238…

また老齢基礎年金は終身年金のため、その後は長生きするほど、お得になっていくのです。

このように約10年で元が取れる理由のひとつは、老齢基礎年金の財源の「2分の1」は税金だからです。

そのため20歳から60歳までの40年間に渡って、国民年金の保険料の全額免除を受けた場合、一度も保険料を納付しなくても、38万8,900円(77万7,800円の2分の1)の老齢基礎年金を受給できます。

一方で免除の手続きを行わず、国民年金の保険料の未納を続け、原則10年の受給資格期間を満たせなくなった場合、老齢基礎年金を受給できなくなります。

そうなると納付した税金を、取り戻す機会を失ってしまうため、もったいないと思うのです。

なお老齢基礎年金の支給開始年齢は、国民年金が全面的に始まった1961年4月から、ずっと65歳になっておりますが、将来的には引き上げされるかもしれません。

ただ日本人の平均寿命(2020年は男性が81.56歳、女性が87.71歳)から考えると、70歳くらいまでの引き上げなら、なんとか元が取れると思うのです。

国民年金には障害基礎年金という所得保障がある

国民年金が全面的に始まった当初、大学生などの20歳以上の学生や、会社員などに扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は、強制加入ではなかったため、国民年金に加入したい方だけが、任意加入していたのです。

しかし学生は1991年4月から、また会社員などの配偶者は1986年4月から、国民年金に強制加入するようになったのです。

その理由のひとつは病気やケガで障害を負った当時に、国民年金に任意加入していなかったため、障害基礎年金を受給できなかった方が、沢山いたからです。

ただ強制加入といっても学生であれば、申請によって学生納付特例を受けると、20歳になってから卒業するまで、国民年金の保険料を納付する必要はありません

また会社員などの配偶者であれば、届出によって第3号被保険者になると、国民年金の保険料を納付する必要はありません

それでも所定の障害状態になった時には国民年金から、障害基礎年金という所得保障を受けられるため、病気やケガによる収入の減少をカバーできるのです。

病気やケガによる収入の減少をカバーできる

国民年金の保険料の掛け捨てを防ぐ「死亡一時金」

国民年金の被保険者などが亡くなった時に、所定の受給要件を満たす場合には、その親族に遺族基礎年金が支給されるため、国民年金には死亡保障の機能もあるのです。

ただ遺族基礎年金を受給できる親族は、次のいずれかになっているため、例えば高校を卒業する年齢までの子がいない夫婦は、納付した国民年金の保険料が、掛け捨てになる可能性があります。

・ 子(18歳到達年度の末日までの間にある、または20歳未満で1級か2級の障害状態)のある配偶者

・ 子(同様の要件を満たしている)

そこで保険料のすべてが掛け捨てにならないようにするため、次のような要件を満たす第1号被保険者が亡くなった場合には、国民年金から死亡一時金が支給されるのです。

・ 亡くなった日の前日において、第1号被保険者として国民年金の保険料を納付した月数が、合計で36月以上ある

・ 亡くなった方が老齢基礎年金と障害基礎年金の、いずれも受給していない

また死亡一時金を受給できるのは、亡くなった当時に生計を同じくしていた親族であり、その順位は「配偶者 → 子 → 父母 → 孫 → 祖父母 → 兄弟姉妹」になるため、例えば配偶者が受給すると、他の方は受給できません。

なお原則10年の受給資格期間を満たしている、第1号被保険者の夫との婚姻期間が、原則として10年以上あるなどの、所定の受給要件を満たす妻は、60歳から65歳までの間に、寡婦年金を受給できる場合があります。

この寡婦年金と死亡一時金の、どちらも受給できる妻の場合、選択した一方のみが支給されるため、両者の金額を比較したうえで、金額の多い方を選んだ方が良いのです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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