多様な働き方が推進される現代において、会社員からフリーランサーに転身するとった働き方も増えてきています。

自営業を始めとしたフリーランサーは、労働・社会保険法上も保護が手厚いは言えず、万が一、フリーランサーに転身した夫が他界した場合の社会保険制度(遺族年金に焦点をあて)を確認しておきましょう。

フリーランサーの夫が死亡後 遺族年金はもらえるのか?

遺族年金の種類とは?

万が一、家族が他界してしまった場合、遺族年金の他にも死亡一時金や寡婦年金といった社会保険制度はありますが、今回は遺族年金に焦点をあてます。

遺族年金には次の2つの種類があります。

・ 遺族基礎年金

・ 遺族厚生年金

詳細は以降で後述します。

遺族基礎年金

遺族年金の要点とはまず、1点目の遺族基礎年金は国民年金から支払われるものですが、前提として、18歳年度末に達するまでの子(障害を有する子の場合は20歳未満)がおり、かつ婚姻していないことという要件があります。

すなわち、子供がいない家庭や既に当該年齢を超えてしまっている場合、遺族基礎年金はもらえないということです。

これは、誤解を恐れずに言うと、後述する厚生年金から支払われる遺族厚生年金とは異なり、「子供のための」年金という性質がある為です。

遺族厚生年金

次に2点目の遺族厚生年金ですが、本事例のようにフリーランサーに転身した後に該当し得るケースを確認しましょう。

(1) 「厚生年金加入中の会社員時代に初診日のある」病気等で当該初診日から5年以内に他界した

(2) 障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給権者が他界した

(3) 老齢厚生年金の受給者または受給資格を満たしておりかつ国民年金と厚生年金の加入期間が25年以上ある方が他界した

まず (1) について、もちろん確認はするべきですが、5年を超えている場合、その時点で可能性がなくなり (2) については気付かないというケースはあまりないでしょう。

そして、問題は (3) になります。

家族であればある程度は把握できているのでしょうが、婚姻前の期間や生前であっても転職を繰り返している場合は全ての期間を詳細に把握できているケースはむしろ稀です。

その場合、自身の記憶だけで見切りをつけるのではなく、年金事務所に相談し、25年を満たしているか否かを確認しておきましょう

年金の時効は5年間です。

後で受給資格があったとわかっても5年を超えていれば、時効消滅により受け取れない分が発生してしまいます。

遺族年金の保険料はなぜ25年なのか?

2017年8月1日以降、これまで年金を受け取るには原則25年の保険料納付が必要でしたが、10年に短縮されました。

15年もの短縮は報道等でも大きく取り上げられましたが、なぜ遺族年金には「25年」という要件が残っているのでしょうか?

それは、法律上の遺族年金の保険料納付要件は、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに2/3以上の保険料納付が必要とされています。

なお、特例的に65歳未満の方に限り、2026年4月1日前までは死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの直近1年間で未納がないこととされています。

原則の要件で「2/3」という要件を掲げているにもかかわらず、「10年納めていれば」遺族年金がもらえるとなってしまっては、原則の保険料納付要件が形骸化してしまう為と推察します。

年金事務所に相談するということも視野に

自身の加入記録であっても正確に把握できているとは限らない中で、夫の加入記録まで正確に把握できている方は多くはないでしょう。

また、婚姻前の期間も併せて考えると、年金事務所で新たに発掘される期間があるという可能性も否定できません。

よって、自身で計算しただけで諦めるのではなく、年金事務所に相談するということも視野に入れておきましょう。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)