2022年6月7日に宝島社から、「年収200万円で豊かに暮らす」というタイトルの本が発売されたそうです。

この本を読んだ方、または本の内容に興味のある方が、ツイッター内において、年収200万円で暮らせるか否かについての各人の意見を、いくつもツイートしておりました。

これを受けて「年収200万円」というキーワードが、ツイッターのトレンドに入ったのです。

とても興味深い話だと思ったので、さまざまな方のツイートを見ていたら、家賃や住宅ローンの有無によって、かなり意見が違ってくるような印象を受けました。

実際のところ「手取り月収-家賃=8万5,000円未満」を、貧困と定義する方がいるため、家賃などの影響は大きいのだと思います。

年収が200万円という場合、月収は約16万6,666円であり、ここから各種の税金や保険料の合計額(概算で約2万7,000円)を引くと、手取り月収は13万9,666円になります。

仮に家賃が5万円だった場合、「手取り月収(13万9,666円)-家賃(5万円)」は8万9,666円になるため、8万5,000円未満を辛うじて上回る水準です。

こういったデータから考えると、年収200万円の暮らしを続けていくのは、大変なのではないかという懸念があるのです。

またツイッターで大きな反響があった点から考えると、年収200万円の暮らしを他人事と思えない方が、増えているのではないかという懸念もあるのです。

年収200万円以下で暮らすなら

社会保険の加入条件は2種類に分かれている

所定の加入条件を満たす場合、パートやアルバイトなどの短時間労働者であっても、社会保険(健康保険は75歳まで、厚生年金保険は70歳まで)に、加入する必要があります。

また社会保険の加入条件は、次のような(A)と(B)の2種類に分かれているのです。

(A)社会保険の適用が拡大された後の新基準

2016年10月から社会保険の適用が拡大されたため、次のような5つの要件をすべて満たすと、社会保険に加入します。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  • 雇用期間が継続して、1年以上(2022年10月からは2か月超)見込まれる
  • 月額賃金が8万8,000円以上(年収だと約106万円以上)である
  • 学生ではない
  • 従業員の人数が501人以上(2022年10月からは101人以上、2024年10月からは51人以上)の会社で働いている(労使の合意がある500人以下の会社も含む)

(B)4分の3基準

「1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、正社員の4分の3以上である」というのが4分の3基準であり、2016年10月よりも前の期間は、こちらのみで判断しておりました。

以上のようになりますが、年収が200万円以下の場合、社会保険の保険料が給与から控除されるのを、負担に感じるかもしれません。

しかし次のような3つの理由により、社会保険には加入しておいた方が良いと思うのです。

理由1:国民年金より保険料が安い

国民年金の保険料は毎年4月に改正されており、2022年4月以降は収入にかかわらず、月1万6,590円になります。

一方で月額賃金が8万8,000円という方が、他の要件も満たして社会保険に加入した場合、厚生年金保険の保険料は月8,052円になります。

このように月額賃金の金額によっては、国民年金の半分くらいの負担で済むのです。

しかも厚生年金保険の保険料の一部は国民年金に回るため、8,052円の保険料を納付した期間のうち、20歳以上60歳未満の期間は、国民年金の保険料を納付したという取り扱いになるのです。

また65歳になった時に、国民年金に加入している方には老齢基礎年金が支給されますが、厚生年金保険に加入している方には老齢基礎年金に加えて、老齢厚生年金が支給されるのです。

厚生年金保険の保険料は月額賃金によって決まるため、この金額が一定以上になると、国民年金の保険料より高くなります。

しかし月額賃金が16万6,666円(年収だと約200万円)の場合、厚生年金保険の保険料は月1万5,555円になるため、国民年金の1万6,590円よりは安く済むのです。

なお国民年金には全額免除、納付猶予、4分の3免除、半額免除、4分の1免除など、保険料をゼロにしたり、少なくしたりする制度があります。

また年収200万円以下の方が所定の申請をすれば、いずれかを受けられる可能性があります。

ただ国民年金から支給される老齢基礎年金は、保険料を40年納付した場合の満額でも、2022年度額で77万7,800円(月6万4,816円)にしかならず、免除を受ければ更に少なくなる点に、注意する必要があります。

理由2:配偶者に対する優遇がある

月額賃金が8万8,000円の方が厚生年金保険に加入した場合、上記のように保険料は月8,052円です。

この方が年収130万円未満の20歳以上60歳未満の配偶者を、所定の届出によって第3号被保険者にした場合、その配偶者は国民年金の保険料を納付する必要がないうえに、納付したという取り扱いになります。

つまり8,052円という厚生年金保険の保険料を納付するだけで、二人分の国民年金の保険料である3万3,180円(1万6,590円×2)を、納付したことになるのです。

また厚生年金保険の加入期間が原則20年以上ある方が、65歳になって老齢厚生年金の受給を始める時に、その方に生計を維持されている次のような配偶者がいる場合、加給年金という年金版の家族手当が加算されます。

  • 65歳未満の配偶者(厚生年金保険の加入期間が原則20年以上あり、かつ60歳~65歳までの間に、特別支給の老齢厚生年金を受給している場合などを除く)

原則65歳から受給できる老齢厚生年金は、納付した厚生年金保険の保険料が高いほど、金額が多くなります。

一方で配偶者を対象にした加給年金は、納付した保険料の金額にかかわらず、2022年度額で25万6,900円~38万8,900円(老齢厚生年金の受給者の生年月日で金額が変わる)になります。

そのため納付した厚生年金保険の保険料が低かったとしても、不利にならないというメリットがあるのです。

理由3:公的な保障が厚くなる

健康保険には存在しても、国民健康保険には存在しない場合が多い保険給付の代表的なものは、傷病手当金ではないかと思います。

この傷病手当金とは業務外の病気やケガで、4日以上仕事に就けなかった時に、支給開始日から通算で1年6か月を限度として、休職前の月給の3分の2程度が支給される制度です。

健康保険への加入によって、傷病手当金を受給できるようになると、病気やケガで仕事を休んだ時の公的な保障が厚くなるため、その分だけ民間の医療保険の保障を、見直しできる可能性があります。

また厚生年金保険への加入によって、遺族厚生年金を受給できるようになると、死亡した時の公的な保障が厚くなるため、その分だけ民間の生命保険の保障を、見直せる可能性があります。

こういった見直しによって、民間保険の保険料を節約できれば、その節約分を他の支出に回せるため、給与の手取りが減ったとしても、社会保険に加入した方が良いと思うのです。