税務調査を受けた際、調査担当者の指摘に納得できないときは、不服申し立てできる制度が存在します。

本記事では不服申し立てで納税者側が勝つ確率と、不服申し立ての結果に納得できなかった場合の対応方法を解説します。

不服申立制度

不服申立制度の概要

不服申立制度には、「再審査の請求」と「審査請求」の2種類あります。

再調査の請求」とは、税務署長などが行った更正・決定や差押えなどの処分に不服がある場合、納税者が税務署長などに対し、処分の取消しや変更を求める手続きです。

手続きする期間は、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内ですが、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。

審査請求」とは、国税不服審判所長に対して、申し立てをする制度です。

国税不服審判所は、国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する裁決を行うことを目的に、国税庁の特別の機関として執行機関である国税局(税務署)から分離して設置された機関です。

税務署へ再審査の請求をせず、最初から国税不服審判所へ審査請求をすることもできます

ただ審査請求の期間手続きは、税務署長等へ再審査請求をした場合は1か月、国税不服審判所へ直接審査請求を直接行う場合は3か月以内と、過程違いにより与えられた手続きする期間は異なります。

国税不服審判所で納税者の意見が認められる割合は13.0%

国税庁ホームページで公開されている「令和3年度における審査請求の概要」によると、令和3年度の審査請求の件数は2,458件、審査請求の処理件数は2,282件となっています。

処理された件数のうち、納税者側の意見が認容された割合は13.0%と、不服申し立てで勝てる確率は低いです。

なお納税者が審査請求(再審査の請求)の内容に納得できない場合、行政上の不服申し立てを行った後であれば、裁判所に対して訴訟を提起することが可能です。

国を相手に訴訟して勝った割合は6.5%

国税庁ホームページで公開されている「令和3年度における訴訟の概要」によると、令和3年度の訴訟発生件数は187件、訴訟が終結した件数は199件です。

訴訟が終結した件数のうち、訴訟が認められた(納税者側が勝訴した)件数はわずか13件と、6.5%の低水準となっています。

直近10年間で最も訴訟が認められた割合が高かったのは平成29年度の10%ですので、訴訟しても、納税者側の意見が認められない可能性が高いのが現実です。

納税者側が勝訴すると税制の取り扱いが変わることがある

裁判において納税者側が勝てる可能性は低いですが、勝訴した際の影響力はとても大きいです。

たとえば競馬の馬券の払戻金は、従来一時所得として課税されていましたが、馬券に関係する裁判で国側が敗訴したことで、一定の条件を満たした場合は一時所得ではなく、雑所得として計算することも認められるようになりました。

裁判等で納税者が勝つことは容易ではありませんが、税務署の処分に納得できない場合は、不服申し立てすることも選択肢としてお考えください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)