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60歳になるまでにマイナンバーカードを、取得した方が良い3つの理由

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60歳になるまでにマイナンバーカードを、取得した方が良い3つの理由

総務省のウェブサイトの中にある、「マイナンバーカード交付状況について」というページを見てみると、現在のマイナンバーカードの交付状況がわかります。

最新のデータ(2022年7月末時点)を見てみると、「人口に対する交付枚数率」は全国で45.9%でした。

約1年前(2021年7月1日時点)は34.2%だったので、着々と交付枚数は増えているようです。

60歳になるまでに取得しよう

また年齢別の「人口に対する交付枚数率」を見てみると、10代は30%台、20~50代は40%台に止まっております。

一方で60歳以降を見てみると、次のように50%を上回っている場合が多いため、10~50代よりは交付枚数率が高めなのです。

・ 60~64歳:52.7%

・ 65~69歳:49.0%

・ 70~74歳:50.4%

・ 75~79歳:52.2%

・ 80~84歳:51.7%

・ 85~89歳:45.6%

・ 90歳以上:37.6%

この理由について考えてみると、例えば高齢になって運転免許証を返納した後に、顔写真付きの身分証明書がなくなる場合があります。

マイナンバーカードを取得していれば、こういった状況になっても、困らずに済むからだと推測されます。

個人的には次のような3つの理由により、60歳になってからではなく、60歳になるまでに、マイナンバーカードを取得した方が良いと思います。

理由1:確定申告にかかる手間や時間を省ける

遺族年金(遺族基礎年金、寡婦年金、遺族厚生年金など)や、障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金など)は、非課税という取り扱いになります。

一方で原則65歳から支給される老齢基礎年金と老齢厚生年金、経過措置で60~65歳までの間に支給される特別支給の老齢厚生年金には、所得税などが課税されるのです。

ただ「年金所得者に係る確定申告不要制度」があるため、次のような2つの要件を満たす場合には、確定申告(所得税を自分で計算して納付する手続き)を、実施しなくても良いのです。

・ 公的年金等(老齢基礎年金、老齢厚生年金、特別支給の老齢厚生年金など)の収入金額の合計が400万円以下で、かつ、その公的年金等のすべてが源泉徴収の対象になっている

・ 公的年金等に係る雑所得以外の所得(例えば労働によって得た給与所得、生命保険金の受け取りによる一時所得など)の合計が、20万円以下である

60歳以降に会社員として働いているため、公的年金等の他に給与収入がある場合には、給与所得が20万円以下という要件を満たせるか否かが、ポイントになってくると思います。

給与所得を算出する際は、年間(1~12月)の給与収入の合計から、給与所得控除額(会社員の必要経費)を差し引きますが、これの最低額は55万円になります。

そのため年間の給与収入の合計が75万円以下であれば、「75万円-55万円=20万円」により、給与所得が20万円以下という要件を満たせるのです。

一方で年間の給与収入の合計が75万円を超えると要件を満たせず、確定申告が必要になるため、60歳以降に老齢年金を受給しながら、会社員として働いていると、確定申告が必要になる場合が多くなります。

これを負担に感じる方がいるかと思いますが、マイナンバーカードを取得し、パソコンやスマホを使ってe-Taxで確定申告すると、税務署まで行くための手間や時間などを省けるのです。

またマイナンバーカードの取得者が利用できるマイナポータルと、e-Taxの情報連携によって、医療費通知情報のデータがe-Taxに自動入力されるため、医療費控除を受けるための手間や時間なども省けます

こういった理由から60歳までに、マイナンバーカードを取得した方が良いと思うのです。

理由2:ねんきんネットを利用できる

60~70歳までの間に厚生年金保険に加入している方、または70歳以降に厚生年金保険の適用事業所で働いている方は、老齢厚生年金の全部または一部が、支給停止になる場合があります。

こういった支給停止が始まるのは、給与(月給+直近1年間の賞与の総額÷12)と、老齢厚生年金の月額の合計が、一定の基準額(現在は47万円)を超えた場合です。

また一定の基準額を超えるほど、支給停止になる老齢厚生年金は増えていき、最後は全部が支給停止になります。

自分で計算するのは難しいと感じる方は、マイナンバーカードを取得した方が良いと思うのです。

その理由としてはマイナンバーカードを使って、マイナポータルにログインし、簡単な連携手続きをすると、ねんきんネットを利用できるようになります。

またねんきんネットに対して、60歳以降に勤務先から受け取れそうな給与の金額を入力すると、支給停止になる老齢厚生年金の目安額を、試算してくれるからです。

このような試算を60歳になる前に行い、支給停止にならない給与の範囲がわかったら、60歳以降はそれを参考にして、働き方などを決めれば良いと思います。

理由3:医療費の自己負担が手続きなしで軽くなる

高齢になるほど病気やケガになりやすくなるため、医療費の負担が重くなります。

こういった負担を軽減するため、1か月あたりの医療費の自己負担が一定の上限額(自己負担限度額)を超えた場合には、各人が加入する公的医療保険から、高額療養費が支給されます。

そのため「自己負担限度額を超えた支払いは手続きによって後日に還付」、または「医療費の支払いは自己負担限度額まで」の、いずれかの取り扱いになるのです。

この自己負担限度額は70歳を境にして金額が変わるだけでなく、各人の所得水準によっても金額が変わりますが、例えば70歳以上の方の自己負担限度額は、次のような金額になります。

70歳以上の方の自己負担限度額

≪画像元:厚生労働省(pdf)≫

例えば「一般」に該当する方の自己負担限度額は、月5万7,600円(外来だけの上限額は月1万8,000円)です。

また「住民税非課税等」に該当する方の自己負担限度額は、月2万4,600円か1万5,000円(外来だけの上限額は月8,000円)です。

このように「住民税非課税等」であれば、月1~2万円程度の自己負担で済むのですが、入院する前などに「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受け、これを病院などの窓口に提示する必要があります。

もし提示がなかった場合は「一般」に該当する方と、自己負担限度額が同じになるため、数万円は自己負担が上がってしまうのです。

もちろん手続きを行い、後日に還付を受ければ良いのですが、その分だけ手間と時間がかかります。

こういったデメリットを解消してくれるのが、健康保険証としての登録を済ませたマイナンバーカードなのです。

その理由としてはマイナンバーカードを、健康保険証として使える病院などであれば、「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付を受けなくても、「住民税非課税等」の自己負担限度額が適用されるからです。
マイナンバーカードを健康保険証として使える病院などは、まだ少ないのですが、今後に使える機会が増えれば、取得しておいて良かったと思えるはずです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

【関連記事】:【目次から探せる】マイナンバーカード・マイナポイント 申請お助けガイド

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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