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介護生活を支える「高額介護合算療養費」とは

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介護生活を支える「高額介護合算療養費」とは

人生100年時代となり、現役引退後の生活も考えていく必要性が高まっています。

特に労働収入がなくなる現役引退後は、年金だけでなく、健康保険とは少し毛色の違う介護保険に対しても一定の知識が必要です。

今回は健康保険と介護保険を合わせて一定の自己負担額を超えた場合に対象となる「高額介護合算療養費」にフォーカスをあて解説します。

高額介護合算療養費

高額介護合算療養費とは

病院などへ受診した際の健康保険の自己負担額と介護サービスを受けた際の介護保険の自己負担額を合算して一定の限度額を超えた場合に、その超えた額が「高額介護合算療養費」として、支給される制度です。

高額療養費制度では70歳以上の方と70歳未満の方では考え方が異なる部分がありますが、高額介護合算療養費については、2018年8月1日から70歳以上の方と70歳未満の方は同様とされました(一部例外あり)。

また、2021年8月1日から下図のとおり、負担限度額の見直しがおこなわれます。

ご自身の所得と照らし合わせておくことで、生活設計の見通しが立てやすくなります。

参照:厚生労働省(pdf)

高額介護合算療養費のメリット

医療保険の場合、年齢を重ねるごとに医療機関へ受診する頻度は多くなるのでしょうが、一般的には病気にかかった場合、あるいは怪我をした場合でなければ医療機関を受診することはありません。

他方、介護の場合は加齢による心身の変化に起因して介護生活が始まるものですので、多くの場合、介護生活が始まると一生涯続くことが少なくありません。

まず、介護保険を利用するには介護認定を受ける必要があり、1割から3割の範囲内で介護保険サービスを受けることができますが、一生涯続くことも少なくない介護生活では仮に1割負担であったとしても通算すると一定以上の支出につながることがあります。

よって、負担すべき限度額の上限があることで、ある程度金銭的な負担が和らぐというメリットがあります。

介護保険で利用可能なサービス

医療保険であれば、業務災害や通勤災害以外の私生活上で罹患した風邪など、多岐にわたり医療保険サービスの対象となりますが、介護保険の場合、医療保険と比べて限定的です。

一例を挙げると介護サービスの利用における相談やケアプランの作成、居宅での家事支援等サービス、訪問介護サービス等です。

他方、日常的な介護のためとはいえ、住宅の改修費用などは対象外です。

特に対象外となるものについては、年金でまかなえるのか等、十分検討しましょう

高額療養費と高額介護合算療養費の相違点

医療保険でよく耳にする高額療養費は「月単位」で計算されるのに対し、高額介護合算療養費は「年単位」(8/1~7/31)で計算されます。

相違点ではありませんが、高額介護合算療養費の要件として、高額療養費が支給されていることは問われません。

高額療養費と高額介護合算療養費の共通点

食事療養標準負担額(入院時の食事代として負担すべき標準的な額)と生活療養標準負担額(入院時の療養環境として負担すべき標準的な額)は含まれません。

医療費控除

医療保険同様に確定申告時に医療費控除の対象となるものもありますので、介護サービスを利用した領収書は保管しておきましょう

実際に医療費控除を利用する場合、高額介護合算療養費で戻ってきた額は除いて書かなければなりませんので、注意が必要です。

高額介護合算療養費の時効は2年

年金は時効が5年であるのに対し、高額介護合算療養費の時効は2年となりますのでこの点も注意が必要です。

また、年齢が近い高齢ご夫婦の場合、両方で医療サービスと介護サービスを受けることは珍しくありませんので活用すべき制度です(同じ医療保険に加入する場合は世帯での合算が可能)。

しかし、いずれも申請しなければ給付を受けることはできませんので家族のサポートなどを経て申請することも一案です。(執筆者:社会保険労務士蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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蓑田 真吾

執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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