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【贈与税改正】気を付けたい贈与税と民法の規定は同じでありません

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【贈与税改正】気を付けたい贈与税と民法の規定は同じでありません

遺産が、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人)以上あると、相続税申告が必要になります。

この相続税の対象になる遺産には、相続開始前3年以内の暦年贈与も含まれ、原則課税対象となります。

ただし相続人以外への贈与の場合や相続時に財産を取得しない相続人の場合は加算対象になりません。

ただし法定相続人でなくても、遺言で財産をもらう人、または法定相続人でない孫を死亡保険金の受取人に指定している(みなし相続人)は、加算対象となりますので注意が必要です。

贈与税改正

税制大綱によれば

2023年の税制大綱によれば、課税対象となる暦年贈与(1年間に110万円までは非課税)の加算期間が3年から7年と変更されるようです。

これにより、駆け込みの相続税対策に網をかける形になるようです。

相続時精算課税制度を利用した贈与では、何年前でも加算されてきましたが、改正後は年110万円までは非課税になるようです。

となりますと、相続時精算課税制度を利用した贈与の方が死亡直前の相続税対策に利用できそうですね。

相続税対策の落とし穴

よく言われるのが、特定の方に生前贈与を行うことで、相続人間に不公平感が出てしまい、相続問題が争族問題となってしまうことです。

「推定相続人の子」へ贈与すれば、相続人以外への贈与は3年以内の贈与対象から除かれるため、孫のいる相続人へ贈与を行い、子のいない相続人へは贈与しないことで、相続税対策はできても、遺産分割時のもめごとの種となりやすいです。

特別受益としての贈与

民法では、遺産の前渡しとみなされる生前贈与は特別受益として、全て遺産に加算したうえで、取得分を計算します。

これは原則何年前の贈与でも加算です。

つまり、相続税の計算上は、3年以内の暦年贈与のみが対象ですが、特別受益とみなされた贈与は何年前の贈与でも対象となるのです。

遺留分の計算上の話

民法改正により、遺留分を算定する計算上の贈与(特別受益)は10年に改正されました。

遺留分は、故人が、遺産を特定の人に相続するよう遺言書がかかれていた場合、遺言でもらえなかった相続人は遺産に対し法定相続分の半分(直系尊属以外の場合)が、遺留分の額として請求できる制度です。

もとになる、遺産には、相続開始時の財産に、遺産分割の時と同様に、特別受益となる生前贈与が加算されますが、ここの計算上の特別受益は10年以内の贈与です。

持ち戻し期間が、相続税と民法で違います

相続税対策の話と民法での贈与の持ち戻し期間はそれぞれ違います。

相続財産が、基礎控除以下の財産だった場合、相続税対策の話は関係ありません。

相続税対策で贈与をする必要もないわけです。

ところが、遺産分割がもめた時には、民法が出てきます

遺産の前渡しとなる贈与がおこなわれていれば、特別受益として、遺産に加算したうえで、法定相続分に分け、生前に贈与を受けていた相続人は、その贈与分をマイナスした残りが相続時の取得分となります。

相続税問題がなくても分割の問題は別問題です。

対策が争族の種とならないように

相続でよくあるパターンが、「他の相続人の方が得していた」という話です。

各人それぞれ同様に感じているようですが、親は生前贈与を公平に考えてやっていたりします。

相続人にしてみると他の相続人への贈与は、大変気になり忘れませんが、もらった方は、その時は感謝して覚えていても忘れていたりします。

民法では生前にちゃっかり贈与を受けていても、もらい得にはならないようになっています。

最終的には譲るが勝ちです。(執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也)

《橋本 玄也》
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橋本 玄也

執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也 橋本 玄也

父の死をきっかけに相続に関心を持つ。その後、祖母、母の相続と3回相続を経験。自身の体験から相続人の気持ちがわかるFPです。愛知県の会計事務所にて20年近く相続専門の実務担当として様々な体験をし、遺産分割はこれまで500件以上関わりました。まとまる相続、相続人全員の方から喜んでいただくのを生きがいに、おかげさまで在職中担当したお客さますべて、全員の合意による遺産分割を行うことができました。現在は経験を活し、老人会、市役所、商工会議所、ハウスメーカー、金融機関、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会等、講師を行っています。 <保有資格>:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、宅地建物取引士、相続診断士 寄稿者にメッセージを送る

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