※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

2024年1月からスタートする予定の新NISA 特徴・注意点、現行制度を利用している場合の留意すべきポイント

投資 投資信託
2024年1月からスタートする予定の新NISA 特徴・注意点、現行制度を利用している場合の留意すべきポイント

「貯蓄から投資」という国の政策の一環で導入されたNISA(少額投資非課税制度)は2014年から始まっています。

しかし、直近で2,000兆円を超える日本の個人金融資産のうち、株式や投資信託等のリスク資産割合は僅かながら増加傾向ですが、現金・預金などの安全資産が過半数を占めており、この状況は依然として変わっていません。

米国(約13%)やユーロ圏(約34%)などと比べても明らかで「貯蓄から投資」の流れになっていないことを表しています。

日本は、ゼロ金利水準がここ30年間続くデフレ状態であったので、今までは、お金を現預金で持っていても目減りしませんでした。

新型の感染症やウクライナ状勢などによりエネルギーや原材料価格の高騰に加え円安進行の影響で物価高を招くなど、その状況は今や一変しています。

貯蓄から投資へ

なぜ「貯蓄から投資」なのか

その理由には、

消費者物価が5%上昇すると、モノを購入するためには5%余分に出費しなければならないため、お金の価値は完全に目減りするから

があります。

これはインフレ率を上回る儲け(利益)がないと将来の資産形成に支障をきたすことを意味します。

この金融制度は、昨年末の「令和5年度税制改正大綱」のなかで公表され、正式には2024年の1月から導入される見通しです。

この記事では、NISAとつみたてNISA、および改定となる新NISAにつての特徴・変更点などや新しい制度の使い勝手、現行NISAの取り扱いについての留意点など、いくつか紹介していきます。

現行NISAおよび新NISAの特徴について

NISAとは、証券優遇税制の廃止に合わせて導入された税制優遇制度の一つで、2014年1月より10年間の時限措置でスタートしました。

その後、2018年からは投資可能期間が20年間のつみたてNISAが導入され現在に至っています。

現行制度の特徴については、いくつかの項目について確認していきます。

現行NISAの主な特徴1:利用可能な年齢

昨年まで20歳以上でしたが、2023年1月1日時点で満18歳以上の人が利用可能となりました。

現行NISAの主な特徴1:投資可能な期間および非課税となる期間

  • 一般NISA:5年間
  • つみたてNISA:20年間

とそれぞれ異なります。

現行NISAの主な特徴2:税制上の措置

運用期間中や払出時においては、たとえば株の配当金や投資信託の分配金(普通分配金)または売却益などにたいして税金(20.315%)が課されないので、この点が節税のメリットです。

積立時は所得控除がありません。

運用中や払出時に損失が発生した場合は、損益通算や繰越控除が利用できません

損益通算と繰越控除

損益通算とは、1年間に発生した利益と損失を合算することをいいます。

1年間の利益が10万円、損失が5万円であった場合、利益は差引5万円なので、支払うべき税金は、

1万円{(10万円-5万円)×※20%}

となり、損失が出た分の税金が軽減されます。

損益通算の結果、損失となった場合は、確定申告により最長3年間損失を繰越して控除できます。

これを繰越控除といいます。

※この税率には計算上復興特別所得税を含んでいません。

現行NISAの主な特徴3:年間投資上限額と最大利用可能額

年間の上限額は、

  • 一般NISA:120万円
  • つみたてNISA:40万円

累計上限額は、一般NISA600万円、つみたてNISA800万円など、購入上限額が定められています。

ただし、これらの非課税上限枠は期間中の売却は可能ですが、売却した部分の枠を再度使用することはできません。また、未使用枠は翌年以降の繰り越しもできません。

現行NISAの主な特徴4:投資対象商品

投資可能な金融商品のうち、

  • 一般NISAはETF(不動産投資信託)やREIT(上場投資信託)を含む上場株式や投資信託
  • つみたてNISAは金融庁が定めた投資信託やETFなど

これらは証券会社や銀行などの金融機関が指定する商品に限られます

現行NISAのその他の主な特徴

一般NISAの投資方法は一括購入および積立が自由です。

つみたてNISAは定期的かつ継続的な積立のみです。

運用資産の引き出しについてはいずれも可能です。

金融機関の変更は年単位であれば可能です。

新NISAの特徴について

新NISAとは

NISAは元々イギリスの金融制度を参考に導入されましたが、日本の場合、将来の資産形成にとっては、英国の恒久的な制度と異なり投資期間や非課税となる期間が限定されていたため、中途半端な制度となっていました。

この問題を改善するのが来年から始まる新制度ですが、現行制度との変更点は次のような項目です。

  1. 成長投資枠(一般NISA)とつみたて投資枠(つみたてNISA)の併用が可能
  2. 投資可能期間および非課税期間は無期限
  3. 年間投資上限額は、現行より増額し、成長投資枠240万円、つみたて投資枠120万円

最大利用可能額(累計非課税投資上限額)は、成長投資枠・つみたて投資枠合わせて1,800万円、その内、成長資枠は1,200万円(内数)まで可能。

売却した部分の枠は再度使用することも可能など、これらの改定は、制度の抜本的な見直しと恒久化により


「長期的なライフプランと資金計画がより立てやすくなる」

「投資期間を気にする必要がなくなる」


など、使い勝手が良くなることが大きなメリットといえます。

現行NISAの今後の取り扱いに関する注意点

現行NISAを利用している又はこの年末までに利用を検討している場合は、手間を要せず来年の新NISA口座の開設が可能としています。

現行制度から新制度へのロールオーバー(乗り換え)はできないルールとなっています。

現行制度と新制度は、全く別枠ということになります。

現行NISAは、現行制度の非課税措置が投資可能期間まで適用されます。

それぞれの特徴


利益がでなければメリットがないNISA!

NISAは利益に対してのみ特典を得ることができ、損失の場合には損益通算や繰越控除も利用できません。

この制度における税の優遇措置は、利益が出なければ成り立たちません。

これからNISAを始めようと考えている人は、来年1月からスタートする新NISAからがお勧めです。

その理由は、現行制度から新制度へのロールオーバー(乗り換え)不可で別枠になるからです。

これが、NISAの利用を検討している人が新NISAを待つべき理由です。

ロールオーバー不可による影響とは?

別枠になるとどうなるのか。

たとえば、非課税期間が5年と短い現行制度の一般NISAを利用している場合は、5年後の現行NISA終了時点で保有資産を「売却する」か「一般の課税口座に移し替え」かの選択をしなければなりません

その場合は、その時点で含み益が出ていれば売却を選択し、税の優遇を得られるため何の問題もありません。

仮に含み損が出ていた場合は、価格上昇を期待し、この時点で損切りせずに課税口座に移管するとします。

1株1,000円で購入したA社の株式は、5年後の現行NISA終了時点で1株500円になったとします。

この時点では売却せずに一般の課税口座に移管。

その後、株価は1株700円まで上がったのでこの時点で売却したとします。

このケースの損失は、1株当たり340円となります。


▲300円 700円-1,000円(※1)

▲40円 売却益:200円=700円-500円(※2) → 税金:200円×20%=40円

※計算は分かりやすくするため1株単位としています、また手数料、消費税、復興特別所得税等は含まず

現行NISA(1,000円※1)でなく一般の課税口座に移管した時点の株価(500円※2)が取得額となります。

本来、NISAがロールオーバー可能ならば、売却益は発生せず、損失は300円(1,000円-700円)で済む計算です。

このケースのように、現行NISAは新制度へのロールオーバー不可による影響により、売却益に課税される税金分が余計にかかる計算となります。

現行NISAを利用中または今年中に利用を検討している人にとって留意すべきNISAで、この点は知っておいた方が良いといえます。

インフレが進んでいる現況は、お金の価値が確実に下がっているため、安全資産である預貯金や現金などもリスク資産となり得ます。

NISAは、資産形成において、非常に有効なツールの一つでもあります。

「リスクは一切取りたくない」という人にとっても、この制度の利用を検討してみる価値は十分にありそうです。(執筆者:CFP、1級FP技能士 小林 仁志)

《小林 仁志》
この記事は役に立ちましたか?
+23

関連タグ

小林 仁志

執筆者:CFP、1級FP技能士 小林 仁志 小林 仁志

オフィスアセットポート 代表 山梨県生まれ。電器メーカーに入社後本社および米国・シンガポール・マレーシア等の事業所に勤務。在職中は財務経理を中心に総務人事・経営戦略・内部監査等の職種を経験したほか、同社の子会社監査役を務め2011年退任、2012年4月より独立系FPとして事業活動を開始。専門分野においては、特に団塊世代の年金・医療保険・税金等のリタイアメントプランや旅行とお金のプラン、住宅ローンや保険の見直し、株式・投資信託等の資産運用など。 <保有資格>:CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、総合旅行業務取扱管理者、登録ロングステイアドバイザー(ロングステイ財団)、他 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集