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初任給からの資産運用は「奨学金の返済があるか否か」で運用先を選ぼう

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初任給からの資産運用は「奨学金の返済があるか否か」で運用先を選ぼう

新年度が始まる4月頃になると、新社会人の初任給の使い道に関するアンケート調査が、よく実施されています。

個人的に気になっているのが、新社会人の方が資産運用に対して、どのくらい興味を持っているかです。

これについて調べていたら、auじぶん銀行が新社会人と社会人3年目の方を対象にして、2020年4月24日~28日に実施した、「新社会人と社会人3年目のお金に関するアンケート」を見つけました。

アンケートによると新社会人では36.8%の方が、社会人3年目では30.8%の方が、資産運用を行っているようです。

その理由について質問したところ、「将来や老後のため」という意見が目立ったそうなので、2019年6月頃に話題になった「老後2,000万円問題」が、新社会人などの意識に影響を与えたのかもしれません。

また資産運用を行っている方に、取り入れている資産運用について質問したところ、トップ5は次のようになっていました。

1位:株式(58.6%)

2位:投資信託(39.6%)

3位:定期預金(24.3%)

4位:NISA(23.7%)

5位:iDeCo・確定拠出年金(23.1%)

定期預金という身近な金融商品より、株式の方が2倍くらい多いというのは、かなり意外な感じがしました。

アンケートが実施されたのは、新型コロナによる経済の悪化を食い止めるため、世界各国の中央銀行が金融緩和を始めた直後です。

また金融緩和の影響などによって、下落していた株価が急上昇したので、このタイミングで株式投資を始めた新社会人などが、一気に増えた可能性があります。

初任給からの資産運用

NISAの非課税投資枠は2024年から引き上げされる

株式、投資信託、定期預金から生じた利益(売却益、分配金、配当金、利子など)に対しては原則として、20.315%の税金(所得税、復興特別所得税、住民税の合計)が課税されます。

例えば100万円の利益が生じた場合、税金として20万円くらいが徴収されるため、手取りは80万円くらいになります。

一方でNISA(一般NISA、つみたてNISAなど)の口座を通じて、株式や投資信託を購入した場合は原則として、利益に対して課税されないのです。

またiDeCoに拠出した掛金を使って、投資信託や定期預金を購入した場合も原則として、利益に対して課税されないのです。

そのため100万円の利益が生じた場合、税金として徴収される20万円くらいを、手元に残しておけるのです。

このようにNISAやiDeCoは、税制上の優遇が非常に大きいため、年間あたりの投資金額や掛金の金額に、所定の上限が設けられています。

例えば少額から投資できるため若者の利用者が多い、つみたてNISAに関しては、年間あたりに積立できる金額の上限は40万円です。

少ないと思う方がいるかもしれませんが、最長で20年に渡って積立できるため、合計の非課税投資枠は800万円(40万円×20年)にも達するのです。

また一般NISAとつみたてNISAを統合した新NISAが、2024年から始まると、年間あたりに積立できる金額の上限は、120万円(生涯あたりの非課税投資枠は1,800万円)に引き上げされます。

iDeCoに加入している方が、年間あたりに拠出できる掛金の金額も、制度が開始された頃より引き上げされており、かつ加入できる年齢の上限も、60歳から65歳に引き上げされました。

こういった点から考えると将来的には、新社会人などが取り入れている資産運用の1位が、NISAかiDeCoに変わるかもしれません。

iDeCoの掛金を拠出すると税金が安くなる

給与に対して課税される所得税は簡潔に表現すると、次のような手順で算出するのです。

(A) 1~12月に支払われた給与の合計額-給与所得控除額=給与所得

(B) 給与所得-所得控除(全部で15種類)=課税所得

(C) 課税所得×税率-税額控除=所得税

またiDeCoの掛金は (B) の所得控除の一種である、小規模企業共済等掛金控除になります。

そのためiDeCoの掛金を拠出すると、拠出前よりも課税所得が低くなるため、所得税の負担が軽減されるのです。

給与に対して課税される住民税も、同じような手順で算出するため、住民税の負担も軽減されるのです。

こういったメリットはNISAにはないため、iDeCoは税制面においてNISAより優れているのです。

iDeCoは最低でも60歳になるまで引き出しができない

つみたてNISAの積立期間は最長で20年になりますが、途中で積立している投資信託の全部または一部を売却し、それによって得られた現金を引き出しても良いのです。

一般NISAや新NISAも同じように、自分が希望するタイミングで引き出せるのです。

それに対してiDeCoは、加入している方が死亡したり、一定の障害状態になったりしないと、最低でも60歳になるまで引き出せないルールになっています。

脱退一時金の制度を利用すると、60歳になる前に引き出せる場合がありますが、かなり支給要件が厳しいのです。

こういった点はNISAと比較した時の、iDeCoのデメリットではないかと思います。

例えば近い将来的に留学や起業などで、まとまった現金が必要になる方は、このデメリットに注意した方が良いのです。

また失業などで収入が途絶えた場合、手元の現金を奨学金の返済に充てるかもしれないので、奨学金の返済がある方も注意した方が良いのです。

なお新NISAは他のNISAと違って、保有している投資信託を売却すると、その分の非課税投資枠が復活します。

そのため新NISAで貯めた現金を、奨学金の繰り上げ返還(返済)に使った後に、老後資金などを目的にして再び積立を始めても、非課税投資枠の面では不利にならないのです。

株式の比率が低い投資信託を選んだ方が良いケース

つみたてNISAは積立額と、積立したい投資信託を最初に設定すれば、証券会社などがお金を引き落として、その投資信託を定期的に購入するため、いつ購入するのかを自分で判断する必要はありません

またつみたてNISAで積立できる投資信託は、金融庁が定めた厳しい基準をクリアした商品だけになるため、初めから選択肢が絞られているのです。

そのため仕事などが忙しい新社会人でも取り組みやすいし、続けやすいと思うのです。

どの投資信託を選べば良いのかがわからない方は、例えば「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」などの、全世界の株式で運用する低コストのインデックスファンドを選べば良いと思います。

ただこういった株式の比率が高い投資信託は、特に金融危機が発生した際には、値動きが激しくなります。

また奨学金の返済が難しくなったので、投資信託を売却して現金化しようとしたら、そのタイミングで株価が下落していたため、希望する金額を引き出せない場合があるのです。

これらを不安に感じる方は、株式だけなく債券も含まれているため、投資信託の値動きが小さくなりやすい、4資産均等型などのバランスファンドを選べば良いと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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