毎年、この時期を迎えると「年末調整」の書類を書かねばなりません。とても面倒です。しかし、この作業をすることによって、サラリーマンは翌年の2月16日~3月15日のあいだに最寄りの税務署に行って確定申告をしなくてすんでいると思えば、ラクなものです。
ただし、「納税に関する作業がラクでいいのかぃ?」という話が別にありますね。人は実際に行動することでいろいろなことを考えます。「税務署にこれまで行ったことのない人」よりも「毎年行ってる人」のほうが、ふつう、税金に対する意識は高いはず。自分の税金に興味関心を持っている人は、政治に対する興味関心も強いはずです。
年末調整は会社の仕事になっていますけれど、本当は、納税は個人の義務。本来個人がすべきことを会社が代行してやってくれてると考えるのが適当です。会社員は毎月、給与を受け取りますが、そこからはいつも所得税が差し引かれています。所得税は1月から12月までの所得合計に対してかかるため、12月末にならないと所得が確定しないはずなのに、1月からしっかり所得税は徴収されています。
1月から11月の給与明細で天引きされている所得税額は、実は予定額なんですね。確定した額ではありません。そして、12月に所得が確定するので、12月給与で調整するのが「年末調整」。所得税には(住民税も同様)、さまざまな控除が設けられています。控除とは、税金の優遇と考えていただいていいと思います。
なぜ、さまざまな控除があるかといえば、たとえば、独身の人よりも養う家族がいる人のほうが、生活にコストがかかります。だからそんな人は税金を安くしよう。ただし、扶養親族も働いていて一定の所得を得ている場合には、安くする税金の額を少しだけにしよう・・・というような配慮なのです。
その他にも、昨日も触れた「生命保険料控除」や地震保険料控除などがあります。これらの情報を年末に確定させて、その人の1年間の所得税額を決めるのが「年末調整」です。