衆院選での自民党の圧勝を経て、26日に発足する安倍晋三政権は2013年4月に任期満了となる日銀総裁の人事の検討に着手、自民党は政権公約で2%の物価目標の設定を掲げていることから、金融緩和に積極的な有識者を軸に調整が進む見通しです。安倍氏は日銀総裁人事を巡り、「物価目標に賛成いただく方になっていただきたい」と明言しており、デフレからの早期脱却に向け「大胆な金融緩和」を求めるとのことです。
安倍政権の誕生を受けて、昨日のマーケットは円安・株高が進行しました。遂に待ちに待った景気回復が期待される局面となっていますが、安倍氏が主張する「大胆な金融緩和」政策には注意が必要です。
市場関係者の間では日銀の総裁候補に、物価目標の採用に前向きな伊藤隆敏・東大教授や、政府・日銀による外債購入ファンドを提案する岩田一政日本経済研究センター理事長らの名前が挙がっており、これらの政策が実現することになれば、今後は長期的な円安トレンドになる可能性が高くなります。
「大胆な金融緩和」とは簡単に言えば、円の発行量を増やすことで、人為的な物価上昇とインフレを作り出すことです。また、米国でシェールガスの商業化が始まっているので、日本の原発政策の後退に伴い、米国のシェールガスが日本へ大量に輸出されることになれば、これも長期的な円安要因となります。
日本国民がせっせと貯めた円預金が、金融緩和政策とシェールガス革命によって、気がついたら、円の価値が半分以下に減ってしまっていたというようことが起こりかねない状況です。
こうした金融リテラシー教育がなされないまま、日本で「大胆な金融緩和」政策が進んでいくことに関して、非常な危うさを感じずにはいられません。いままで金融には無関心だった人達にも、外貨運用による自己防衛が欠かせない時代となってきたと考えるのが賢明でしょう。