昨今の大学生の就職状況は非常に厳しい状況
この春、大学にご入学された方、ご入学おめでとうございます。新たに始まる大学生活に、期待と不安が入り混じっているかもしれません。私立大学(文系)であれば、一般的に初年度で100万円以上の入学金と授業料、4年間で合計400万円以上の学費を支払うことになります。それだけのお金を支払うわけですから、支払った分だけの価値があるようにしたいものです。
無事に大学を卒業し、就職先が決まり、社会人として活躍していく・・・当たり前のことだと思われるかもしれませんが、その当たり前が難しい時代になってきています。
例えば、大学の中退率ですが、読売新聞教育取材班『大学の実力2011』中央公論新社(2010年)によると、全国563大学の中途退学率の平均は8.4%となっています。しかし、最も高い大学では中途退学率が32.8%になっています。
そして、無事に卒業できた場合でも、ご存じの方も多いように、昨今の大学生の就職状況は非常に厳しい状況になっています。
平成24年度学校基本調査(速報値・文部科学省)によると、平成24年3月に約55万9千人が卒業。その中で、就職が決まった人は約35万人(約66%)。進路未定者のうち就職も進学もしなかった人は8万6千人(約16%)。1万9千人はアルバイトなど一時的な職業に就き、大学院などには7万6千人(約14%)が進学しています。
中には、就職が決まらないためにやむを得ずフリーターや大学院進学を選んだ人も多くいたとみられています。大学生の就職率には様々なデータがありますが、学校基本調査は実態に近い数字だと思われます。
さらに、就職が決まった人のうち、3年以内に約30%が退職すると言われています。離職率の高い企業であれば、3年以内に半数以上が退職してしまう場合もあります。あくまで概算ですが、大学に入学した人のうち、卒業し就職が決まり、就職後3年を経過しても就職先の企業に勤めている人の割合は約40%となっているのです。
中退する、就職が決まらない、または就職後3年以内に退職することが“悪い”とは一概には言えませんが、フリーターになってしまう可能性が高いのも事実です。一度、フリーターになってしまうと、正社員になることが難しく、30代になってもフリーターで過ごしてしまう危険性が高くなっています。
大学生活は自己管理が大切
価値観の問題かもしれませんが、大学まで教育費を支払ってきた結果が“フリーター”であれば、これまで支払ってきた教育費が“ムダ”になってしまったと言っても言い過ぎではないでしょう。それだけでなく、親の今後のライフプランにも大きな影響を及ぼします。
そのためには、大学生活が非常に重要になってきます。大学生活は高校生活までとは違い“自由”です。しかし、自己管理がしっかりとできていなければ、その“自由”が仇になるのです。
入学当初は、授業に出席し、授業もしっかりと聞いている。しかし、大学生活に慣れてくれるにつれて、授業に出席しない、授業に出席していても授業を聞いていない、寝ている、友人と私語をしている学生が増えてきます。
そのような状況になると、自己管理ができているとは言えません。また、授業の単位も数多く落としてしまうことにも繋がります。1年生で躓いてしまうと、2年生で挽回するのは難しいのが現状です。当然、就職活動にも響いてきます。
就職が決まらない理由には単位の取得以外にも数多くの理由はありますが、1年生の時に、良い習慣をつけるのか?悪い習慣をつけてしまうのか?によって、2年生以降の大学生活にも影響してきます。
就職するために大学生活を過ごす訳ではありませんが、入学した直後の今だからこそ、子供の将来のために親としてできることもあると思います。