生命保険は、契約者や被保険者の立場、環境により準備したい保障額は当然に相違します。今回は、契約者が法人で、被保険者が企業の社長という設定で考えてみましょう。
まず、個人契約と違い法人契約の場合、死亡した場合における守備範囲が広くなることにその特徴があります。企業は公器としての側面も併せ持っている事を考えれば頷けますね。個人においては遺族の生活保障が主たる守備範囲ですが、法人の場合はそれに加えて企業側のリスクもその範囲に入ってきます。
それでは企業側のリスクに対する守備とは何でしょうか。まず、社長が死亡した後、経営の破綻を招くことなく、安定した経営の継続を図る為の手立てに必要な資金。
それを事業保障資金として、具体的に提示してみると、
となるでしょう。これらのうち、特に1年以内に返済期限のくる短期債務、1年分の従業員の人件費は是非カバーしておきたいものです。
次に社長の死亡退職金ですが、その退職金の目安としては下記の一般的に功績倍率方式が採用されます。
(例:社長3.0 副社長2.8 専務2.6 常務2.4 取締役2.0)
さらに弔慰金ですが、その適正額は下記となります。
最終報酬月額× 6ヶ月(業務外死亡)
(退職金、弔慰金の説明に目安・適正額とあるのは、不当に高額な場合は損金参入が認められない場合がある為です)
ここまでくれば法人契約で社長が死亡した場合の保障額として、上記のa、b、cをそれぞれ分析した上で、その合計額を保障額としてひとまず掴むことが出来ます。
はい、ひとまず、、、です。
つまり、これだけ(ハード面)では社長の死亡時の対策としては不十分で、さらに役員退職金規程・自社株等の対応(ソフト面)でも準備が必要と思うのです。機会があれば、これらについても順次記事にしていきたいと思いますので、しばらくお待ちください。